２０２２年サッカー・ワールドカップ（Ｗ杯）カタール大会が日本時間２１日明け方に開催国のカタールとエクアドルによる開幕戦で約１カ月にわたる熱戦に突入した。開幕戦が開かれたアルホールのアルバイトスタジアムは「砂漠の真ん中で盛大なＷ杯を行う」という開催国カタールの野望が実現された場所だ。首都ドーハから車で４０分ほど北に行くと衛星都市アルホールに出て、荒涼な原野の果てに蜃気楼のようにスタジアムが登場する。

６万人収容のスタジアムの外観は映画で見たアラブ遊牧民のテントを連想させた。建設費用４兆ウォン（約４１８６億円）。２００２年の韓日大会開幕戦が開かれたソウルのワールドカップスタジアムの建設費２０６０億ウォンの２０倍に達する。天文学的費用を投じたスタジアムらしく天候などの環境変化に関係なく内部温度を摂氏２２度で維持する。砂漠の太陽熱を利用して電気を作り、この電気で冷やした水をスタジアム全体に循環させて冷たい風を作るシステムだ。


カタール大会は世界になかったＷ杯、これまでのすべての大会を凌駕するＷ杯を指向する。カタールはこのため天文学的な資金を注ぎ込み初めてのマネーフェスティバルを整えた。大会を行う８カ所のスタジアム建設と関連インフラ構築にかかった金額は３１０兆ウォンだ。高速道路と空港、港湾を整備し、３路線の地下鉄を新設した。


◇優勝６０２億ウォン、ベスト１６行けなくても１２９億ウォン

合わせてドーハ近郊のルサイルは百貨店、ショッピングモール、ゴルフ場などを備えた遊興都市に変えた。国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）は真夏の昼間の最高気温が４０度を上回る熱射の地でＷ杯を成功裏に行うために開幕時期を６月から１１月に移すなど後押しした。

カタール大会の開催費用は４年前のロシア大会の１５兆ウォンの２０倍を超える。これに先立ち行われた過去７回の大会開催費用をすべて合わせた額より５倍以上多い。総額６３００億ウォンの賞金も過去最大規模だ。優勝トロフィーを手にする国は６０２億ウォンを賞金として受け取る。４年前のロシア大会の５０９億ウォンより１００億ウォンほど上がった。準優勝チームも４３０億ウォンを受け取る。グループリーグの壁を超えられなかった国も参加手当てだけで１２９億ウォンだ。

カタール大会のまた別の特徴は「コンパクトさ」だ。カタールは国土面積が１万１６００平方キロメートルで京畿道（キョンギド）と同水準だ。スタジアム８カ所が首都ドーハから半径５０キロメートル以内に集まっている。現場で移動してみると韓国チームの試合会場であるエデュケーション・シティ・スタジアムと最も近いアフマド・ビン・アリ・スタジアムは地下鉄で１駅、移動時間７分の距離だ。例えばソウルのワールドカップスタジアムを基準とすると、合井（ハプチョン）駅辺りもうひとつスタジアムがある格好だ。

カタールの人口は２８０万人だが、その半分近い１２０万人以上の観客が大会期間中に一気に訪問するため宿泊費が高騰するのは予想された結果だ。カタール当局は３万室を超える客室を新たに建てるなど確保したが力不足だ。イングランドが代表選手団の家族とガールフレンドらに宿舎として提供したクルーズ船の場合、１泊の料金は９５７万ウォンだ。カタール当局がドーハ市内各地に用意したコンテナ型宿舎は「難民キャンプのようだ」と言われるが１泊２８万ウォンだ。

さらにカタールでは試合だけ見て宿泊は周辺国で解決する方法まで登場した。航空機によるシャトル便がアラブ首長国連邦と１日６０便、オマーンと４８便、サウジアラビアと４０便など１日１６８便が飛ぶ。米経済誌フォーブスが計算した米国人２人が１０日間の日程で大会を観覧するのに必要な最小経費は８３０万ウォンだ。４年前のロシア大会より３倍ほど多い金額だ。

世界になかったＷ杯、これまでのすべての大会を凌駕するＷ杯を開くための準備過程には移住労働者の血と汗と涙がにじんでいる。英ガーディアンなど外信によると、スタジアムと各種インフラ建設過程で６５００人に達する移住労働者が死亡したと推定される。

今回の大会期間中に、スタジアム内外ではビールを飲むことはできない。当初柔軟な立場を見せたカタール当局だが開幕２日前にスタジアム周辺のビール販売区域を閉鎖した。飲酒を禁止するイスラム法のためだが、ＦＩＦＡのインファンティーノ会長は１９日の公式会見で「（試合前後の）３時間程度ビールを飲まなくても生きられる」としてカタールの決定を支持した。