文在寅（ムン・ジェイン）大統領は２日、３日間のハンガリー国賓訪問日程を開始した。

文大統領はイタリアでの主要２０カ国（Ｇ２０）首脳会談と、英国で開かれた第２６回気候変動条約締約国会議（ＣＯＰ２６）に続き、この日午後今回の歴訪の最後の訪問地となるハンガリーに到着した。

ハンガリーは盧泰愚（ノ・テウ）政権時代の１９８９年に東欧圏の国で韓国と初めて正式に国交を結んだ国で、韓国大統領のハンガリー訪問は２００１年の金大中（キム・デジュン）大統領から２０年ぶりだ。


青瓦台（チョンワデ、大統領府）は今回のハンガリー訪問を、バッテリーと電気自動車など核心産業分野の協力強化の機会と考えている。半導体をはじめバッテリーなどは米国が中国を狙ったサプライチェーン競争の核心に挙げる対象だ。

文大統領はこれと関連し、ハンガリー訪問日程のうち同国のアーデル大統領との首脳会談をはじめ、ハンガリーで開かれる第２回ビシェグラードグループ（Ｖ４）首脳会議にも参加する。

Ｖ４はハンガリー、チェコ、スロバキア、ポーランドで構成された欧州内の地域協議体だ。これら４カ国は欧州連合（ＥＵ）内の韓国の最大輸出市場であり、韓国の自動車、家電、バッテリー関連企業が集中的に進出している欧州内の生産拠点でもある。欧州にある韓国企業の生産法人１５２社のうち１３６社がＶ４にある。

青瓦台（チョンワデ、大統領府）高位関係者はこのため今回の歴訪前からＶ４各国との関係改善に対し「文大統領のハンガリー訪問によりバッテリー、デジタル、バイオなど新産業とインフラなどの核心分野でサプライチェーン協力を強化していく契機を作れるだろう」としながら今回の歴訪が「サプライチェーン競争」と関連があることを隠さなかった。

文大統領はハンガリー訪問に先立ち、Ｇ２０首脳会議期間中の先月３１日にバイデン米大統領が主導したサプライチェーンと関連した首脳会議に参加した。Ｇ２０のセッションとは別にバイデン大統領がＧ２０会議参加国のうち１４の同盟国首脳を呼んで緊急開催した会議で、事実上米中のサプライチェーン競争で米国側に立てという圧迫の性格が濃厚だとの評価を受けた。

バイデン大統領はこの会議で自身の開会あいさつに続き文大統領に最初に発言機会を与えた。文大統領の席もバイデン大統領の右側に配置された。

これについて青瓦台核心関係者は「米国がサプライチェーン競争で最も重要に考える分野を先導している韓国を核心パートナーと捉えていることを示した場面。文大統領が会議直後に欧州内の生産基地であるＶ４国と協力を強化する背景にはサプライチェーン競争で存在感を強化しようとする意図もある」と伝えた。

一方、文大統領はこの日ハンガリーに到着した直後に国賓訪問の最初のスケジュールとして２０１９年に発生したドナウ川遊覧船事故犠牲者追悼空間を訪れた。この事故で遊覧船に乗っていた韓国人３３人のうち２６人が死亡・行方不明となった。ハンガリー政府はドナウ川の川岸に犠牲者を追悼する空間を設置した。

文大統領は「遊覧船事故当時にハンガリー政府が行方不明者の捜索と救助に向け最善を尽くしたことに感謝する。韓国国民だけでなくハンガリー国民も２人が犠牲になったが、その方に対しても哀悼の言葉を捧げる」と話した。その上で「ハンガリー国民が１周忌、２周忌のたびにともに追悼の気持ちを寄せてくれたことを韓国国民は忘れない。今後永遠に両国国民の友情として続いていくだろう」とした。

文大統領はハンガリー国賓訪問を最後に９日間の欧州歴訪を終え５日に帰国する予定だ。