台湾の蔡英文総統
さらに驚くべきことは過去７カ月間の変化だ。誰もがワクチンの枯渇に苦しめられていた今年５月第３週の台湾の週間感染者（３３９０人）は韓国（４３６０人）と大差なかった。７カ月後経過した先週、台湾の感染者は６５人にとどまったが韓国は４万７８３６人に達した。台湾は今月２１日には地域感染者０人（海外流入は１０人）を記録した。
「１０人でも２０人でも飲食店利用に困難がなく、台北は忘年会の真っ最中だ」
韓国貿易投資振興公社（ＫＯＴＲＡ）台北貿易館のキム・ジュンギュ館長は２２日、現地の状況をこのように伝えた。今夏の感染者急増当時に実施していた「室内５０人、室外１００人」の人員制限はすでに解除され、「飲食店内の食卓配置１．５メートル間隔、飛沫伝播遮断のための通風強化」など第２段階のルールだけが維持されている。キム館長は「来月の春節を控えて帰省客を通した感染を懸念して緊張の中で備える雰囲気」と伝えた。
台湾は世界に広がったデルタ株に続きオミクロン株まで防いで日常回復に軟着陸している。ネズミを捉えるように統制する中国式「ゼロコロナ」とも差別化している。頼清徳・副総統（６２）は今年１０月、米国ハーバード大学生を対象とした講演で「台湾モデルは科学と民主が２本の柱」と主張した。科学はコロナ遮断のための先制措置、段階的防疫、科学技術（ＩＴ）の活用で、民主は社会的合意をベースに政治リーダーシップが率先垂範する方式で葛藤を遮断してそれぞれ実現したという説明だ。克服の秘訣を要約すると、先制措置・快速対応・透明公開・スマート防疫・政府と民間の資源を統合した共同防疫・民主ガバナンスなど６つに要約される。
◆蔡英文総統が直接「防疫疎通」…サービス業の支援金は職員数に合わせて給付
特に注目されるのは、政府が国民とした約束を守って信頼を実現する「順次防疫」で行われた点だ。５月１５日、台湾中央感染症指揮センター（ＣＤＣ））は伝染病警報を第３段階で引き上げた。当時、蔡英文総統（６５）は国民疎通に注力した。同月１８日、ＣＤＣで演説してワクチン開発・調達状況を不安に思う国民に正直に公開した。同月３１日の映像談話では「３級防疫で大規模ワクチン接種までは相互協力、団結一致だけが最善の策」と国民理解と支援を訴えた。
台湾は非台湾人の入国と空港の乗り継ぎを禁止した。遊興施設の運営は禁止され、飲食業所はテイクアウトだけを許容した。商店と大型スーパーの統制も強化した。防疫措置は７月２６日まで短く太く続いた。イム・ビョンオク前韓国人会長は「２００３年７３人が亡くなった重症急性呼吸器症候群（ＳＡＲＳ）を経験した台湾人が積極的に協力した」とし「（中国の妨害で）世界保健機構（ＷＨＯ）にも加入できない台湾が自ら守らなければ倒れてしまうという切迫感も作用した」と話した。
台湾は防疫第３段階で被害を受けたサービス業種に雇用維持のために税金を減免し、支援金を給付した点も注目すべき点だ。韓国人企業「スンフン」のソン・ギョサン代表は「昨年と比較した売上下落幅と従業員数を考慮し、公平かつ科学的に支援金を支給して自発的参加を誘導した」と明らかにした。
ワクチン確保では官民が総力戦を繰り広げた。政府ワクチン購入チームが奔走している間、ｉＰｈｏｎｅ生産業者であるフォックスコンの郭台銘会長（７１）もファイザーワクチン５００万回分を調達した。７月には自主開発した高端（Ｍｅｄｉｇｅｎ）ワクチンの緊急使用を承認し、台湾政府が５００万回分を購入し、８月には蔡総統が接種した。
台湾ＣＤＣは７月第４週の週間感染者が１５２人まで減少したのをみて防疫を第２段階に緩和した。遊興施設の営業は許容したものの、利用者全員にＱＲコードを利用した実名登録、体温測定、マスク着用を義務化した。ゲーム場とカラオケ利用客は出入りする時に１５～３０分間の換気を義務づけた。先週には移動中の取食禁止を条件に、すべての夜市営業を正常化した。劇場などの公演施設も１．５メートルの間隔だけを維持すればいいようにした。
台湾は海外流入を防ぐためにビザ発行を最小化していて、すべての入国者は７＋７＋７隔離（防疫ホテルで７日隔離、在宅隔離７日を経て自律観察７日をしながら３回の核酸（ＰＣＲ）検査を義務づけている。違反者には最大１００万台湾ドル（約４１０万円）の罰金を払わせることができる。
データに基づいた科学的・段階的防疫は米国も同じだ。ジョー・バイデン政府は新型コロナ感染者数、伝播速度、入院率などをベースに規制に緩急をつけて調整している。
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