米国政府が韓国で推進中の「網使用料義務化」法案に対し、「反競争的」と改めて問題を提起した。

ネットフリックスなど米国の動画配信サービス企業を支援する様相のため今後韓米間の貿易紛争の火種になりかねないという懸念も出ている。

米通商代表部（ＵＳＴＲ）は先月２９日に公開した報告書「２０２４国別貿易障壁」で、韓国と関連して「２０２１年から外国コンテンツ提供企業などが韓国のインターネットサービスプロバイダー（ＩＳＰ）に網使用料を払わせる法案が多数発議された」と紹介した。その上で「一部の韓国ＩＳＰはそれ自体がコンテンツ提供事業者のため米国のコンテンツ提供企業などが支払う網使用料は韓国の競争者に利益を与えることになる」と主張した。


ＵＳＴＲは１９８５年から毎年、韓国、日本、欧州連合（ＥＵ）、中国など主要貿易相手国６０カ国以上の貿易障壁を評価しているが、韓国の「網使用料義務化」計画を代表的な貿易障壁と規定した形だ。

現在ネットフリックスなどは韓国で３大ＩＳＰ事業者のＳＫブロードバンド、ＫＴ、ＬＧユープラスの網を利用している。これまでＩＳＰは加入者がネットフリックスなどを見るために自分たちのインターネット網を利用するだけに別に費用を支払わなければならないと主張してきた。

これと関連して、世界的コンテンツ事業者に網使用料支払い義務を課す電気通信事業法改正案など関連法案が国会に７件発議された。これを受けＵＳＴＲは２０２２年５月に、これら法案が「米国企業を特定して規制するもの」としながら大きく反発した。続けて昨年の貿易障壁報告書でもこれらの法案が「韓国の特定企業に有利に作用する」として反対の立場を強調した。

米国の反発の中で韓国政府内でも「網使用料義務賦課が韓米自由貿易協定（ＦＴＡ）に違反することになりかねない」という懸念が出ている。昨年韓国産業通商資源部は「網利用の代価を議論する際に通商問題を必須的に考慮すべきで、韓米ＦＴＡなど国際規範を順守しなければならない」という立場を明らかにした。

一部では米国政府が自分たちの貿易障壁は正当だと主張して韓国の網使用料賦課構想に反対するのは「居直り」という分析も出ている。

実際にＵＳＴＲは今回の報告書序文に「各貿易パートナーは適法な公共目的を増進するための措置をする主権的権利を持つ」として貿易障壁自体を主権の領域で扱った。ＵＳＴＲが貿易障壁報告書を出しながら貿易障壁を「主権的権利」と書いたのは異例だ。