日本の岸田政権が昨年12月に安全保障戦略書改定を通じ今後5年以内に防衛費を国内総生産(GDP)の2%まで引き上げ、敵の基地を反撃できる軍事能力を確保することを明らかにした。バイデン米大統領は13日の日米首脳会談で日本の軍事大国化を歓迎した。
米国はかなり以前から日本が世界2~3位の経済力に見合うように軍事力を増強し北東アジアの安全保障にさらに積極的な役割を担うことを望んでいた。米国はまだ世界最強の経済・軍事大国だが米国に挑戦する中国との相対的権力格差は減った。2000年の中国の名目GDPは米国の12%だったが2020年には70%まで追撃した。対外的挑戦は激しくなるのに米国の経済的負担能力は減ると米国は同盟に負担を分担しようと要求してきた。NATO同盟国のうちドイツがこれに従い、いまや日本も防衛費を倍加することにした。
日本はこれまで平和憲法改正と軍事的正常国家化に消極的だった。安倍晋三元首相が憲法改正と軍事国化を推進したが世論は大きく動かなかった。しかし日本の政界と世論の動向が昨年起きた3つの事件で大きく変わっている。
最初に、ロシアのウクライナ侵攻だ。これは中国も似た方式で台湾を不意に攻撃しないかという疑念を呼び起こした。日本人は中国が台湾を武力統一すれば台湾に近接した東シナ海の日本領土が脅威を受け、日本の貿易輸送路と半導体供給源が中国の統制に入ることになるか懸念する。このため日本は最近米国・台湾との3者連帯を強化している。
2番目、台湾海峡での安全保障危機高調局面だ。昨年8月のペロシ前米下院議長の台湾訪問直後に中国は台湾周辺6海域で軍事訓練をした。その訓練中に中国のミサイル5発が日本の排他的経済水域に落ちた。軍事専門家らは台湾で軍事的状況が展開する際に日本が介入すれば中国の軍事的ターゲットになることがあるということを警告するメッセージと解釈する。
3番目、日本にさらに差し迫っている脅威は北朝鮮だ。北朝鮮は昨年数十回のミサイル発射を敢行した。昨年10月には北朝鮮のミサイルが日本領空を通過し、11月に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)は北海道西側の日本の排他的経済水域に落ちた。日本の安全保障戦略書は「北朝鮮の軍事動向はわが国の安全保障にとり、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威になっている」と指摘する。
韓国はこうした状況変化をどのように見るべきだろうか。中国の相対的権力上昇、中ロの米国主導の自由主義秩序に対する挑戦、台湾危機、北朝鮮の脅威、これに対応した日米同盟強化と日本の軍事力増強が相次ぐ、巨大な国際権力政治ダイナミックが展開している。この過程で日本の「軍国主義化」の可能性という韓国人の懸念は後回しにされている。日米の政策決定者は日本の方向転換が韓国に得だと話す。韓国も日本と同じように自由主義国際秩序を望み、北朝鮮の脅威に直面しており、台湾海峡の平和・安定が重要ではないかということだ。韓国はどのような戦略的立場を設定すべきだろうか。
最初に、このような状況変化を肯定的に受け入れることだ。日本を19世紀の帝国主義国や1930年代の軍国主義国でなく、21世紀の自由主義秩序守護に向け努力する民主主義友邦国と受け止めて協力することだ。国民感情上容易ではない勇気が必要な選択だ。そうした選択をする場合、韓米同盟と韓米日3カ国協力を強化して北朝鮮の脅威に対処し、欧米・日本が主導する自由主義国際秩序の中で韓国の経済的利益、特に供給網問題解消と技術力強化を勝ち取ることができる。
2番目、日本に対する批判的な見方と政策を堅持することだ。日本が過去史問題に対し十分に謝罪せず軍国主義化が懸念されるため日本と協力できず、軍事力増強に反対するということだ。国民感情に合致する選択かもしれない。その場合、韓米同盟はぐらつき北朝鮮の安全保障脅威に対する韓米日共助システムも弱まり、韓国は国際外交舞台であいまいな位置に押し出されるだろう。前政権が韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を取り上げた時に見たように韓日関係と韓米関係は別個ではない。
3番目、韓米同盟や韓日関係に背を向け親中国に回ることだ。その場合、韓国は西側世界とともにすることによって得てきた恩恵を徐々に放棄しなければならないだろう。米中対決の中で韓国は安全保障と経済ともに米中間の選択を強要されている。中国を選択すれば中国主導の位階的、権威主義的東アジア国際秩序に編入されることになる。その場合、韓国は西側と遠ざかり、外交的孤立の中で核を持つ北朝鮮を韓半島(朝鮮半島)の代表走者として接しなければならないだろう。
国際情勢を政派的に解釈し感性的に対応する場合には耐えられない後遺症が伴う。世の中が乱世に入り込んでいる時は特にそうだ。冷徹な分析と賢明な判断が切実な時だ。
尹永寛(ユン・ヨングァン)/ソウル大学政治外交学部名誉教授、元外交通商部長官
米国はかなり以前から日本が世界2~3位の経済力に見合うように軍事力を増強し北東アジアの安全保障にさらに積極的な役割を担うことを望んでいた。米国はまだ世界最強の経済・軍事大国だが米国に挑戦する中国との相対的権力格差は減った。2000年の中国の名目GDPは米国の12%だったが2020年には70%まで追撃した。対外的挑戦は激しくなるのに米国の経済的負担能力は減ると米国は同盟に負担を分担しようと要求してきた。NATO同盟国のうちドイツがこれに従い、いまや日本も防衛費を倍加することにした。
日本はこれまで平和憲法改正と軍事的正常国家化に消極的だった。安倍晋三元首相が憲法改正と軍事国化を推進したが世論は大きく動かなかった。しかし日本の政界と世論の動向が昨年起きた3つの事件で大きく変わっている。
最初に、ロシアのウクライナ侵攻だ。これは中国も似た方式で台湾を不意に攻撃しないかという疑念を呼び起こした。日本人は中国が台湾を武力統一すれば台湾に近接した東シナ海の日本領土が脅威を受け、日本の貿易輸送路と半導体供給源が中国の統制に入ることになるか懸念する。このため日本は最近米国・台湾との3者連帯を強化している。
2番目、台湾海峡での安全保障危機高調局面だ。昨年8月のペロシ前米下院議長の台湾訪問直後に中国は台湾周辺6海域で軍事訓練をした。その訓練中に中国のミサイル5発が日本の排他的経済水域に落ちた。軍事専門家らは台湾で軍事的状況が展開する際に日本が介入すれば中国の軍事的ターゲットになることがあるということを警告するメッセージと解釈する。
3番目、日本にさらに差し迫っている脅威は北朝鮮だ。北朝鮮は昨年数十回のミサイル発射を敢行した。昨年10月には北朝鮮のミサイルが日本領空を通過し、11月に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)は北海道西側の日本の排他的経済水域に落ちた。日本の安全保障戦略書は「北朝鮮の軍事動向はわが国の安全保障にとり、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威になっている」と指摘する。
韓国はこうした状況変化をどのように見るべきだろうか。中国の相対的権力上昇、中ロの米国主導の自由主義秩序に対する挑戦、台湾危機、北朝鮮の脅威、これに対応した日米同盟強化と日本の軍事力増強が相次ぐ、巨大な国際権力政治ダイナミックが展開している。この過程で日本の「軍国主義化」の可能性という韓国人の懸念は後回しにされている。日米の政策決定者は日本の方向転換が韓国に得だと話す。韓国も日本と同じように自由主義国際秩序を望み、北朝鮮の脅威に直面しており、台湾海峡の平和・安定が重要ではないかということだ。韓国はどのような戦略的立場を設定すべきだろうか。
最初に、このような状況変化を肯定的に受け入れることだ。日本を19世紀の帝国主義国や1930年代の軍国主義国でなく、21世紀の自由主義秩序守護に向け努力する民主主義友邦国と受け止めて協力することだ。国民感情上容易ではない勇気が必要な選択だ。そうした選択をする場合、韓米同盟と韓米日3カ国協力を強化して北朝鮮の脅威に対処し、欧米・日本が主導する自由主義国際秩序の中で韓国の経済的利益、特に供給網問題解消と技術力強化を勝ち取ることができる。
2番目、日本に対する批判的な見方と政策を堅持することだ。日本が過去史問題に対し十分に謝罪せず軍国主義化が懸念されるため日本と協力できず、軍事力増強に反対するということだ。国民感情に合致する選択かもしれない。その場合、韓米同盟はぐらつき北朝鮮の安全保障脅威に対する韓米日共助システムも弱まり、韓国は国際外交舞台であいまいな位置に押し出されるだろう。前政権が韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を取り上げた時に見たように韓日関係と韓米関係は別個ではない。
3番目、韓米同盟や韓日関係に背を向け親中国に回ることだ。その場合、韓国は西側世界とともにすることによって得てきた恩恵を徐々に放棄しなければならないだろう。米中対決の中で韓国は安全保障と経済ともに米中間の選択を強要されている。中国を選択すれば中国主導の位階的、権威主義的東アジア国際秩序に編入されることになる。その場合、韓国は西側と遠ざかり、外交的孤立の中で核を持つ北朝鮮を韓半島(朝鮮半島)の代表走者として接しなければならないだろう。
国際情勢を政派的に解釈し感性的に対応する場合には耐えられない後遺症が伴う。世の中が乱世に入り込んでいる時は特にそうだ。冷徹な分析と賢明な判断が切実な時だ。
尹永寛(ユン・ヨングァン)/ソウル大学政治外交学部名誉教授、元外交通商部長官
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