韓米連合空中訓練に反発して挑発を続けてきた北朝鮮が６日、自国の核保有国の地位は不可逆的だとし、事実上の「核廃棄不可」を宣言した。

北朝鮮労働党機関紙の労働新聞はこの日１面に「今年史上最高の閲兵式（軍事パレード）が盛大に挙行され、共和国武力の軍事技術的強勢と実戦能力を天下に刻印させた」とし「わが国家の地位は不可逆的になった」という内容の記事を掲載し、軍事力を評価した。

北朝鮮が言及した国家の地位は「核保有国地位」を意味するとみられる。すでに韓米と国際社会が要求してきた「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄（ＣＶＩＤ）」に正面から対抗し、「不可逆的な（Ｉｒｒｅｖｅｒｓｉｂｌｅ）核保有」を宣言した格好だ。


統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「９月に金正恩（キム・ジョンウン）が最高人民会議の施政演説で明らかにした『核放棄は不可能な領域になった』という主張を改めて強調したものだ」とし「国際社会は自分たちの核保有を認めるべきであり、これを基礎に米国との核軍縮会談に進むという意志を表したとみられる」と述べた。

軍当局によると、北朝鮮は５日午前、平安北道東林郡一帯から西海（ソヘ、公開）上で弾道ミサイル４発を発射した。専門家らは北朝鮮が今回発射したミサイルが４月に公開した「新型戦術誘導武器」の可能性があると分析した。

東林郡は中朝国境付近の都市、中国・丹東から約３０キロ離れたところだ。中国の国境から近いところで北朝鮮が西海にミサイルを発射したのは今回が初めて。今回のミサイル発射場所に関連し、太永浩（テ・ヨンホ）国民の力議員は「戦争勃発時に米国の核の応戦が稼働しなければ、北が圧倒的に優勢になるかもしれない」とし「米国が本土から大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）で中朝国境から発射した北のミサイルの原点を打撃しようとする場合、中国のレーダーに米国が自国を攻撃するかのように観測される可能性があり、応戦をためらうしかない」と述べた。

北朝鮮がミサイル発射に先立ち中国と事前調整をしたかどうかは確認されていない。ただ、中国船舶が集まっている西海にミサイルを発射したのは極めて異例というのが、専門家らの評価だ。

朴元坤（パク・ウォンゴン）梨花女子大北朝鮮学科教授は「中国が航行禁止区域を設定していないというのは、北が中国に事前に知らせずミサイルを発射した可能性があるということ」とし「中朝関係の全体の流れで見ると、北が中国の第２０回党大会初期にも挑発するなど中国を考慮していないという印象も与える」と話した。

北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応して韓日米安保協力が強化される状況で、金委員長が中国にある種のメッセージを発信したという分析もある。

康ジュン栄（カン・ジュンヨン）韓国外大国際地域研究センター長は「北の立場では、韓日米が強硬に出てきても味方がいないと感じ、抗議レベルで西海に発射した可能性がある」とし「中国の第２０回党大会も終わり、今後Ｇ２０首脳会議（１５－１６日、インドネシア・バリ開催）も開かれるだけに、中国が対米交渉が円滑になるように動いてほしいというメッセージとして読み取ることができる」と話した。

半面、一部では北朝鮮が中国と事前協議を経てミサイル発射場所と方向を決めた可能性があるという見方も出ている。それだけ両国が密着しているという解釈だ。中国の立場でも北朝鮮に軍事的行動空間を開けば、中間選挙を控えたバイデン米政権に圧力を加えることができるという布石だ。

チョン・デジン原州漢拏大教授は「４日の北外務省報道官の声明は、中国の張軍国連大使が最近の安保理会議で『北朝鮮の最近の発射行為は米国など関連国の言葉や行動と直接関連している』と指摘したのと軌を一にする」とし「『脱冷戦期』に孤立無援で核武装を推進した北が『新冷戦』が可視化しながらブロック化に便乗して中国との連携を強化すると予想する」と話した。

第２０回党大会を終えた中国が対北朝鮮特使を派遣するかどうかも両国関係の重要な観戦ポイントだ。中国は今回の党大会で習近平国家主席の３期目を確定した。

中国は党大会直後に社会主義国家に特使を派遣して関連内容を説明するのがこれまでの慣例だった。第１９回党大会が開かれた２０１７年には、党大会閉幕から２３日目に当時の宋濤対外連絡部長を習主席の特使資格で北朝鮮に送った。

このため第２０回党大会が閉幕して２３日目となる１３日ごろ、中国が特使派遣などで北朝鮮に接触する可能性がある。北京外交家では今回の党大会で政治局員に新たに入った李書磊中央宣伝部長や北朝鮮担当で中央書記処第一書記の蔡奇常務委員が特使として北朝鮮を訪問する可能性があるという見方が出ている。