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【時視各角】中国のようにならないか怖くなる=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
審判が手を上げた選手は決まり悪そうに相手に近付き彼の手を持ち上げた。勝ったと思ってにこにこ笑っていたら事態が急転したその選手はタオルで涙をふきながらリングを下りていった。審判判定3対2で五輪の金メダルが1個追加される瞬間だったが手にした太極旗を振ることができない人が多かった。外国人観客はわけがわからないという表情になった。88年のソウル五輪ボクシングライトミドル級決勝戦の光景だ(ユーチューブで1988 Olympics-Boxing71kg Finalと入力すれば動画が出てくる)。

金メダルを取った選手は韓国のパク・シホン、涙を見せた選手は米国のロイ・ジョーンズ・ ジュニアだった。パク・シホンは第2ラウンドでスタンディングダウンにあった。ボクシング専門家が録画映像を分析して出した資料によると、ジョーンズは303回のパンチを繰り出し86回の有効打撃に成功した。パク・シホンは188回に32回だった。当時外信は「最悪の判定」と批判した。翌日の韓国の新聞には「最後の『金』ひどかった…観衆・市民非難」という見出しの記事が掲載された(それでもいまの中国とは違った)。

米国は国際オリンピック委員会(IOC)に提訴した。審判が買収されたと主張した。ドイツの週刊誌シュピーゲルは東ドイツの情報機関シュタージの資料を根拠に、韓国大企業会長のロビー疑惑を提起したりもした。5人の審判のうちパク・シホン勝利の判定を下したウガンダ、モロッコ、ウルグアイの審判は不正確な判断のため資格停止処分を受けた。IOCは「買収」の主張に根拠はないと判断した。金メダルの持ち主は変わらなかった。最終結論が出るのに実に9年かかった。


疑惑はそのように埋められたが、われわれは以心伝心でわかる。買収までは違うかもしれないが、最小限の手厚い接待はしただろうことを。大企業オーナーが務める各競技連盟会長の役割のひとつが長くそれだった。どうにか五輪開催国になり、金メダルの数が国力を見せるものと固く信じた時代だった。あらゆる手段を総動員した国威発揚。1世代前のその歴史を最近の北京冬季五輪を通じて再び思い起こす。中国、あまりに見慣れた風景だ。「君は私の過去」だ。

北京冬季五輪の問題は若干の憤怒と苦々しさの誘発にとどまる。本当に恐ろしく怖いのは中国がわれわれの未来になることだ。この数年間「小中華」の道に逆戻りするような姿が韓国社会に現れ続けている。高位公職者犯罪捜査処という超憲法的機関が生まれ犯罪容疑がない民間人の通信情報を収集する。中国の公安が思い起こされる。何日か前には放送局のプロデューサーがラジオ番組で「私には寛大で他人には尊大で、このカードであのカードを防ぐ」という話をして番組から降板することになった。連日政府側に偏った発言をする他のラジオ番組の進行者は何の制裁も受けずに巨額の出演料をしっかりともらっているのにだ。中国のように人が突然姿を消したりはせず幸いだ。

2019年11月、韓国政府は東海(日本名・日本海)で見つかった船に乗っていた北朝鮮住民2人を北朝鮮に強制追放した。船舶の拿捕から板門店(パンムンジョム)を経た送還まで5日かかった。すぐに送り返したことについて韓国政府は彼らが北朝鮮で凶悪犯罪をしたためだと明らかにした。韓国政府が確保した犯罪の証拠はなかった。彼らの生死の可否はわからない。後に必ず過程と理由が糾明されなければならない韓国政府の反倫理的行為だ。命を賭けて国境を越えた脱北者を中国政府は捕まえて送還するのに忙しい。韓国がいつの間にかそれをまねている。

中国に似ていく韓国が恐ろしい。だから中国にさらに鋭敏になる。それを「保守化」と規定する人たちがいる。それなら中国のように市民の自由が抑圧され人権侵害が頻繁に起きる国になっていくことが、そしてそうした状況を寛大に理解することが進歩的態度という話なのか。こうした価値転倒の強引さが広がっているのも退行の証拠だ。

イ・サンオン/論説委員



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