シリアのイラン領事館がイスラエル軍の爆撃を受け、イラン革命防衛隊（ＩＲＧＣ）幹部が死亡したと、海外メディアが報じた。これに対しイラン政府は報復を公言し、イスラエルとハマスの戦争による中東の紛争拡大に対する懸念が強まっている。

１日（現地時間）のロイター通信と現地メディアによると，イスラエル軍はこの日昼１２時１７分ごろ、ダマスカス南西側のイラン大使館の隣にある領事館の建物をミサイルで攻撃した。イランプレスＴＶなどによると、イスラエルはミサイル計６発を領事館に向けて発射した。ニューヨークタイムズ（ＮＹＴ）はイラン革命防衛隊の精鋭特殊部隊コッズ部隊のモハンマド・レザ・ザヘディ司令官と将軍２人、将校４人など少なくとも７人以上が死亡したと報じた。ザヘディ司令官は２０２０年にイランの国民英雄カセム・ソレイマニ司令官が米軍の爆撃で死亡した後、最も注目されてきた標的だった。

イスラエルは今回の爆撃に対する立場を表明しなかった。ただ、ＮＹＴは匿名のイスラエル当局者４人を引用し、イスラエルが今回の攻撃を認めたと報じた。イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は米ＣＮＮ放送に「ここは領事館でも大使館でもなく、ダマスカスの民間建物に偽装したコッズ部隊の軍事建物」と主張した。


イランは直ちに報復を予告した。イラン国営ＩＲＮＡ通信によると、イランの最高指導者ハメネイ師はこの日の声明で「シオン主義政権（イスラエル）のトップに呪いがあるはず」とし「この邪悪な政権を我々の勇敢な人たちの手で懲罰するだろう」と述べた。

ライシ大統領も「明白な国際法違反であるこの非人道的攻撃を非難する」とし「この卑怯な犯罪は代価を払うことになるはず」と警告した。国連イラン代表部はイスラエルの「深刻な国際法違反」に対して国連安全保障理事会（安保理）を招集するべきだと主張した。

イラン政府は米国も非難した。アブドラヒアン外相は今回の空襲に関連し、テヘランにあるスイス大使館の米国利益代表部職員を呼んだ。また、Ｘ（旧ツイッター）で「米国は必ず責任を取るべき」と批判した。

親イラン勢力のレバノン武装組織ヒスボラ側は今回の攻撃を「犯罪」とし「処罰と報復なしには終わらないはず」と明らかにした。ヒズボラは昨年１０月に戦争が始まって以降、イスラエルと国境を挟むレバノン南部地域でイスラエルを攻撃してきた。

これに対抗してイスラエルはパレスチナのハマスを支援するイランを非難し、シリア内のイラン関連軍事施設などを攻撃してきた。シリアのアサド政権がイランと近い関係であり、この国に親イラン民兵隊などイランの支援を受ける勢力が多数あるからだ。このためイスラエルとイランの武力衝突に飛び火する可能性があるという懸念が絶えず提起されてきた。

ＮＹＴは「今回の空襲はイスラエルとイランの間で数年間隠密に展開されてきた『影の戦争』で最も致命的な攻撃」とし「中東内の敵対感が強まる可能性がある」と分析した。米国との紛争拡大を望まないイランはその間イスラエルとの直接対立を避けてきたが、領事館の建物に対する攻撃を看過できない状況になったからだ。

ウォールストリートジャーナル（ＷＳＪ）も「イスラエルとイランが長く中東全域で密かに進めてきた『宣戦布告のない戦争』が新たな局面に入るかもしれない」と警告した。