イスラエルがガザ地区での地上作戦を拡大すると、イランが「レッドラインを越えた」と反発するなど、中東情勢がさらに悪化している。イスラエルのネタニヤフ首相はパレスチナの武装勢力ハマスとの戦争が「第２段階」に入ったと２８日（現地時間）宣言した。ハマスせん滅を目標にしたガザ地区の地上戦が本格化したということだ。イスラエル軍が戦車などを動員してガザ地区北側に「橋頭堡」を確保した中、ハマスやヒズボラなどを支援してきたイランは強硬対応を予告した。

◆イスラエル「戦争は第２段階」…イラン「レッドライン越えた」

２９日の英ＢＢＣなどによると、イランのライシ大統領はこの日、ソーシャルメディア（ＳＮＳ）Ｘ（旧ツイッター）に「シオニスト（ユダヤ人民族主義）政権の犯罪がレッドラインを越えた」とし「これは全体の行動を招きかねない」と警告した。


続いて「米国は我々に何もするなと言いながらイスラエルに全方向からの支援を続けている」とし「米国は『抵抗の枢軸』にメッセージを送ったが、戦場ではっきりと応答を受けた」と強調した。「抵抗の枢軸」とはイランが支援する中東の反イスラエル同盟を意味する。ハマスをはじめ、レバノンのヒズボラ、シリアのバシャール・アル・アサド政権、イラクのシーア派民兵隊、イエメンのフーシ派反乱軍などが含まれる。ライシ大統領が話した「応答」とは、これらがシリアとイラクの米軍基地を相次いで攻撃したことをいう発言と考えられる。

これに先立ちネタニヤフ首相は前日の記者会見で「ガザ地区で始まった地上軍事作戦で戦争は第２段階に入った」とし「長く難しい戦争になるだろう」と述べた。ネタニヤフ首相は「第２段階の目標はハマスの統治と軍事力を破壊し、人質を連れ戻すこと」と強調した。

イスラエル軍の報道官、ダニエル・ハガリ少将も「機甲・工兵・歩兵で構成された戦闘兵力が２７日午後からガザ地区北部の地上で作戦を遂行している」と明らかにした。ハマス側も２７日午後からガザ地区内でイスラエル軍と戦闘をしていると伝えた。

イスラエル軍によると、投入された地上軍はガザ地区北部の一部を掌握し、防御ラインを構築した。軍事専門家らはイスラエル軍がハマス武装隊員の多数がいると推定されるガザシティを封鎖するために東側からの進入を続けると予想していると、ウォールストリートジャーナル（ＷＳＪ）が伝えた。

国境を越えたイスラエル軍の動向も一部確認された。日本経済新聞は２６日と２８日にガザ地区を撮影した商業用衛星写真（プラネット・ラボ提供）に基づき「イスラエル軍がガザ地区内部３キロほどの地点まで進撃したと分析された」と報じた。

またイスラエル軍は前日の一日間にハマス指揮所など４５０カ所を空襲し、ハマス航空部隊のトップ、アセム・アブ・ラカバ氏を殺害した。アブ・ラカバ氏は７日のイスラエル南部奇襲攻撃当時、ハマスのドローン（無人機）とパラグライダー攻撃および空中探知と防空作戦を指揮したという人物だ。


イスラエル「ハマスとの戦争第２段階開始」　イラン「レッドライン越えた」（２）