通商分野でも米国と中国の覇権競争が続く見通しで、これに対応して韓国企業はサプライチェーン管理力を強化すべきという指摘が提起された。１２日に法務法人広場国際通商研究院が主管し、韓国貿易協会とソウル大学国際大学院が共同主催した「２０２２年グローバル通商環境見通しと対応」セミナーでだ。

産業界・学界の通商スペシャリストは、今年米中覇権競争が深化し、デジタル化が加速して、各国が気候変動対応を強化し世界の貿易環境の不確実性が増加すると予想した。竜仁大学のパク・スンチャン教授は「中国内消費萎縮、炭素中立政策によるエネルギー消費縮小、米中覇権競争によるグローバルサプライチェーン多角化と技術孤立の加速化などが予想される。中国は長期的に米国と戦略的競争体制を企てると同時に国内では革新成長政策を追求するだろう」と予想した。

ピーターソン国際経済研究所のゲーリー・ハフバウアー上席研究員は「バイデン政権はトランプ政権と似た基調の貿易政策を維持しているが、（中国との対立を招く）労働・環境・人権など社会的価値と関連した議題をより優先視している。中国との競争で優位を確保するためにインド太平洋経済フレームワーク（ＩＰＥＦ）でアジア諸国との連帯を企てているが、民主党内の反発で年内には実質的な貿易自由化議論が取り上げられるのは難しいだろう」と予想する。


これに伴い、企業がぶつかるリスクもまた大きくなると予想される。韓国貿易協会のチョ・ソンデ通商支援センター室長は「グローバルサプライチェーン再編の内容と範囲を予測しにくく企業経営にさらに大きな負担が発生するだろう」と予想した。対外経済政策研究院のヨン・ウォンホ副研究委員は「各国のサプライチェーン再編は結局中国依存を減らすことになるもの。経済安保的考慮だけでなく、労働・人権・環境などの価値がレバレッジになるだけに国同士の協力とＥＳＧ経営がより重要になるだろう」と予想した。

こうした通商パラダイムの転換期を迎え企業の対応戦略設定も急がれる。ポスコ経営研究院のイ・ジュワン研究委員は「多くの経済圏が核心産業のサプライチェーン自立度を高めようとするので企業は現地に生産基地を構築すべきだが、これは現実的に難しい実情。過去のサプライチェーン構築は収益性・アクセス性を優先にしたとすれば、いまは安定性・危機対応を追求する戦略が必要だ」と説明した。産業通商資源部のユン・ソンヒョク産業政策課長は「韓国企業は『短期コスト削減』から『復原力』中心の経営戦略で再編すべき」と助言した。

通商交渉本部長を務めた法務法人広場のパク・テホ国際通商研究院長は「同盟関係である米国の要求を無視することもできず、かと言って原材料サプライチェーンの中国依存構造を離脱するのも難しい状況で悩みが大きい」と指摘した。パク院長は「サプライチェーンを多角化し、管理能力を強化することが短期的な戦略。長期的には革新を通じて技術的優位を確保し、ＥＵや日本など他の先進国との技術革新パートナーシップを構築する必要がある」と助言した。