16日、ソウル中区の韓国銀行(韓銀)で物価安定目標運営状況点検説明会が開かれた。李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は「最近、物価上昇ペースが速まり、その範囲も拡大している中、消費者物価上昇率は相当期間高い水準が続くと予想される」と述べた。 [写真=韓銀]
李総裁は16日、今年下半期の物価安定目標運営状況を点検した結果を発表する記者会見で「(今年は)物価上昇が相当な幅で拡大し、来年も相当期間は目標水準(2%)を上回る物価騰勢が続くと予想される」とし「今後の物価経路をめぐる不確実性は非常に高い」と述べた。韓銀がこの日に発表した「物価安定目標運営状況点検報告書」によると、今年11月までの消費者物価指数(CPI)上昇率(前年同期比)は2.3%で、昨年(0.5%)に比べて上昇幅が大幅に拡大した。
韓銀の物価安定目標(2%)を超える水準だ。価格変動幅が大きいエネルギーと食料品の価格を除いたコア物価上昇率も今年10-12月期に2.1%となり、7-9月期(1.3%)に比べ上昇幅が拡大した。
◆サプライチェーン問題、原油高で物価目標を超える
国内物価がこのように上昇曲線を描いたのは、世界サプライチェーン問題、原油高、原材料価格の上昇など外部要因のためだ。国際原油価格(ドバイ原油基準)は1月の1バレルあたり約50ドルから10月末には84ドルまで上昇した。
さらに大きな問題は、サプライチェーン問題が火をつけた物価上昇が賃上げなどにつながり、全方向でインフレ圧力を強める可能性がある。李総裁は「供給要因が長期化すれば、その影響が最終財価格に転嫁され、これは賃金上昇につながり、追加の(物価)上昇圧力として作用する」という見方を示した。
急騰する物価は「インフレファイター」中央銀行の本能を刺激している。新型コロナウイルスのオミクロン株登場が経済成長に大きな影響を及ぼさないという予想も出ている。米国が緊縮のペースを速めたことで、韓銀の立場では8月と11月に続いて追加利上げのためのパズルがはまる状況だ。
李総裁は「最近強化された社会的距離が短期的に国内の経済と消費にある程度の影響を及ぼすのは避けられない」としながらも「輸出や投資活動などを総合すると、今年の経済成長率予測値(年4%)を調整する状況ではない」と診断した。
さらにFRBの通貨政策基調も緊縮に方向を定め、韓銀の立場では追加利上げに対する負担感が減るとみられる。FRBは15日(現地時間)の連邦公開市場委員会(FOMC)で、来月からテーパリング(資産購入縮小)規模を増やすなど緊縮に向けた加速ペダルを踏むことにした。インフレに驚いたFRBはFOMCの後、テーパリング規模を現在の倍(月300億ドル)に増やすと明らかにした。政策金利も来年3回にわたり引き上げる考えを表した。
FRBは「新型コロナのパンデミックと需給不均衡が引き続き高い水準のインフレを起こしている」と診断した。こうした見解を反映するかのように、今年の米個人消費支出(PCE)価格指数上昇率を5.3%と予測した。
◆英中央銀行も政策金利引き上げ
パウエルFRB議長は「高い物価上昇率が定着するのを防ぐため、あらゆる手段を使う」と述べた。政策金利引き上げも「テーパリングが終わった後、長くは待たないはず」と明らかにした。FRBが速度を上げたことでテーパリングは来年3月に終了する予定だ。FRBが利上げカードを使う最も早い時点が来年3月ということだ。バンク・オブ・アメリカ(BoA)とシティグループは「FRBはテーパリングが終わった直後の来年3月に利上げをする」と予想した。英国の中央銀行も約3年ぶりに政策金利を引き上げ、物価の安定を図っている。英中央銀行は16日、政策金利を年0.1%から0.25%に引き上げた。
李総裁は「我々(韓銀)が動くことができる時に一歩先に動いたのが今後の通貨政策の運用に余裕を与えた」とし「国内状況に合うよう(政策金利引き上げ)速度を調整する余裕を取り戻した面がある」と評価した。続いて「通貨政策正常化政策は対外要因よりも国内要因に合わせて運用する」と強調した。
通貨政策正常化に入った韓銀が来年1-3月期に追加利上げをするという市場の見方は強まっている。李総裁も否定しなかった。李総裁は「国内の景気や物価などを総合的にみると、金利正常化に向かっていくという従来の基調に変化がない」と明らかにした。
信栄証券リサーチセンターのチョ・ヨング研究委員は「期待インフレが高まる状況で需要側面の物価上昇圧力が強まり、今後、物価上昇率は2%台を超える可能性も高い」とし「オミクロン株登場による供給側面の制約で物価がさらに上がる余地もあるだけに、来年1-3月期はもちろん1月中の政策金利引き上げの可能性も依然として高い状況」と話した。
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