青瓦台が2月12日にSNSを通じ、文在寅大統領が青瓦台官邸でペットの犬とともにする姿を公開した。文大統領は猫と、豊山犬、保護した犬などを育てている。[写真 青瓦台]
韓国ではすでに犬の食用を禁止しようというのが多数世論だ。動物福祉問題研究所AWAREが5月に成人男女2000人を対象に実施したアンケート調査の結果、「犬・猫を殺してその成分が含まれた食べ物を生産・販売する行為」を法的に禁止すべきかとの質問に回答者の78.1%が同意すると答えた。
現在の食品衛生法上、犬を食品原料として調理・流通するのは違法だが、犬の食用そのものに対する禁止条項はない。また、犬は「家畜」に分類されるが畜産物衛生管理法では除外されている。これまで犬の食肉処理と食用を禁止する内容を盛り込んだ動物保護法が発議されているが、係留中の状態で今回の文大統領の発言により関連議論が急流に乗るのか注目される。
◇犬農場産業規模、2800億ウォン
現在全国1500の飼育農家で育てている食用犬は100万頭で、年間70万頭が販売されているという。1頭当たり40万ウォン程度で取引され、犬農場産業は年間約2800億ウォン規模だ。
食用犬農家団体は文大統領の今回の発言をめぐり、韓国政府がこれまでの食用犬農家に対する責任は回避し生計を止めようとしていると反発する。全国食用犬農家連合会のチョ・ファンロ事務総長は「政府が78年以降に畜産物加工処理法を改正し犬を食品から削除して以来これまで無法地帯として放置してきた。責任は回避しながら食用犬で暮らす農家の生計は考えもせずに禁止するということ自体が『犬が笑うこと』」と話した。
◇「犬食肉処理法? 世界的流れに逆らう」
食用禁止よりは食肉処理関連法を用意して残酷な食肉処理環境を改善すべきという声も出ている。「犬が牛や豚のように食用として消費される場合は法律を設けて苦痛なく食肉処理するようにすれば良くないか」ということだ。
チョ事務総長は「犬が残忍で非衛生的に処理されると言うが、われわれは政府にこれまで食肉処理場許可を出してほしいと数えきれないほど要求してきた。牛や豚のようにわれわれも法に基づいて家畜が苦痛を感じないよう食肉処理ができるように規定を作れば従いたいが、政府は犬が畜産物衛生管理法の対象ではないため出せないとして目をそらしてきた」とした。
動物権利団体の考えは違う。すでに犬を人道的に食肉処理する方法はなく、犬食肉処理法を制定する場合、犬を畜産動物に指定する犬の食用を公式化した国第1号という汚名をかぶることになりかねないということだ。
動物権利団体「動物解放の波」のイ・ジヨン代表は、「犬を人道的に食肉処理する方法に対しては世界的に前例がない。最近犬を電気で食肉処理するのも動物虐待に該当するという判決が下された。動物保護法に違反せず食肉処理できる方法はない状況のためそうした主張は現実的でない」と反論した。
続けて「先進国でない国でも犬の食用は禁止されているがこれを許容すれば先進国へ向かう方向性から大きくはずれるもの。合法的な畜産業で動物が苦痛なく食肉処理されるのでもない。犬を合法的に食肉処理するならば世界で最初に犬の食用を認める国として記録されるだろう」と付け加えた。
◇農林部「官庁・団体間で十分な議論必要」
食用犬企業などは犬の食用を禁止する場合、農場主を他の家畜に転換させたり廃業補償をするという約束が必要だと強調する。チョ事務総長は「犬を飼育するために作った施設や装備はどうするのか。全国1500の農家を3人家族と計算しても4500人の生計がかかっている」と吐露した。その上で「犬の食用を禁止するならば利害当事者を呼んで何を望むのかを聞き、それに見合った対策や案を作ってほしいということ。暮らしていけるように牛であれ鶏であれ他の家畜への転換に向けた支援が必要だ」と話した。
農林畜産食品部は犬の食用禁止問題と関連し、社会的合意や関係官庁と団体間の十分な議論が必要だという立場だ。農林畜産食品部関係者は「多様な意見が存在し、まだ社会的合意や国民的共感が形成されたとは見難いのが事実。犬の食用禁止に対する賛成は多いが、法律で禁止すべきかについては相当数の国民が反対の立場を出しているため」と明らかにした。
その上で「これ食用犬農場を畜産業のひとつの畜種として容認してきたが、これを法で禁止する場合、廃業や転業に対する補償や制度的支援が必要かもしれない。このほかにも犬の肉を販売する食堂などさまざまな利害関係が絡まっているため、関係官庁や動物保護団体などと十分な議論をしなければならない状況」と付け加えた。
この記事を読んで…