左からウクライナのゼレンスキー大統領、トランプ米大統領、ロシアのプーチン大統領。[写真 AFP=聯合ニュース]
ロシアは2014年に強制併合したクリミア半島に加え、2022年に始まった全面戦争を通じてウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州、南部のザポリージャ州とヘルソン州などウクライナ領土の20%を占領した状態だ。ロシアはこのうちドンバスと呼ばれる東部ドネツク州とルハンシク州を必ず編入するとの意志を見せている。これに対しクリミア半島と地理的に隣接した南部地域は戦線を凍結する線でロシアが実効支配を維持する可能性が大きいと外信は分析する。
このためウクライナが戦争を終わらせるには領土の一部を放棄することは避けられないのが実情だ。韓国外国語大学国際地域大学院のチェ・ソンフン教授は「ウクライナ軍のドンバス撤退を前提にロシアがスーミ州とハルキウ州で確保した緩衝地帯をウクライナに譲り渡せば停戦または終戦に達する可能性がある」とした。ウクライナ南東部を割譲し、ロシアの西進を認め、地政学的にはウクライナを欧州とロシアの緩衝地帯に設定する結果で終結する公算が大きいという話だ。
ウクライナが一部領土を放棄する見返りとして掲げている北大西洋条約機構(NATO)加入を今回の米ロ首脳会談で議題として取り上げるかもカギだ。ロシアのプーチン大統領はウクライナのNATO加入断念だけでなく西側の軍事支援中断まで要求している状況でウクライナの要求が貫徹されるのは難しいという分析が支配的だ。
トランプ米大統領もやはりNATOの拡張を喜ぶ可能性は低そうだ。米国がNATOで不当に多くの負担を背負っていると考えているためだ。これに対しゼレンスキー大統領は「領土問題は安全保障と切り離すことはできない」と連日強調している。
インフラとエネルギー開発など経済協力と米国のロシア制裁緩和など米ロ関係復元もやはり争点のひとつだ。韓国国家戦略研究院ユーラシア研究センター長のトゥ・ジンホ氏は「米国はアラスカの液化天然ガス(LNG)開発を通じてインド太平洋地域にエネルギー供給網を拡充しようとしている。ロシアからも大規模投資誘致を通じて西側の対ロシア制裁を緩和する効果を上げられる」と話した。
これに加えロシアが米国の制裁緩和を約束されればこれまで国際舞台から疎外されていたロシアが「普通の国」に復帰する信号弾になる。米国が1867年の帝政ロシア時代に購入したアラスカで両国首脳が会うこと自体が膠着局面にある米ロ関係の再設定を象徴するという分析が出ている。このほか米国とロシアが豊富な北極資源を共同開発したり北極航路開拓で力を合わせられるという見通しも提起される。このほかロシアのウクライナ侵攻後に中断されたロシアと米国を結ぶ直行便が復元される可能性もある。
首脳会談を通じた具体的な合意導出を離れ、会談自体が中国とロシアの関係を弛緩する効果を上げられるという見通しもある。ウォール・ストリート・ジャーナルは11日、「ロシアは米国との関係をリセットする機会とみている。ロシア国営メディアは両強大国間の和解と今回の首脳会談を描写している」と伝えた。
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