トランプ米大統領が5月にホワイトハウスで自身が署名した大統領令の書類を持ち上げて見せている。[写真 AP=聯合ニュース]
代表的事例が尿素だ。小麦、トウモロコシ、コメなど米国の主要輸出作物栽培に必須の肥料だ。米市場分析機関ストーンエックスによると、5月に米国に輸入された尿素の64%がロシア製だった。トランプ大統領が基本関税を施行した1カ月前のシェアと比較すると2倍以上増えた。
主要輸出国であるカタールやアルジェリアの尿素価格が10%の基本関税の影響で上がり、関税から自由なロシア製尿素の価格競争力が高まった。同紙は「米国はロシア製尿素にさらに依存することになった。トランプ関税が呼び起こした意図しない結果」と評価した。
トランプ大統領は各国が米国に行った不公正な貿易慣行を防ぐとして全方向に関税を施行した。関税対象には南太平洋のニュージーランド領トケラウと北極圏に位置するノルウェー領スバールバル諸島のような島と、南インド洋のハード島とマクドナルド諸島のような無人島も含まれた。
だがロシアは含まれなかった。トランプ政権が明らかにした理由は「すでに制裁を多く受けている」だ。ホワイトハウスのレビット報道官は「ロシアは米国の制裁により意味ある貿易が事実上中断された。キューバ、ベラルーシ、北朝鮮も既存の関税が非常に高く制裁を受けており(関税対象から)除外された」と明らかにした。ベッセント米財務長官も「ロシアとベラルーシは制裁を受けている」と話した。しかしロシアとウクライナを相手に停戦仲裁に出たトランプ大統領がロシアを意識して政治的決定を下したという分析もある。
ロシアが「関税特恵」をこれ以上得られないだろうという見方も出ている。トランプ大統領の停戦要求にもロシアのプーチン大統領が応じず、忍耐心を失ったトランプ大統領が関税で脅したためだ。トランプ大統領は14日、「われわれはプーチンにとても不満だ。もし50日以内に(停戦)合意がなされないならば、非常に厳しい関税を(ロシアに)課すだろう。関税は約100%水準になり、セカンダリー関税と呼べる」と話した。
制裁対象国と貿易をした責任を問い第三国に高率の関税を課すという警告だ。米国のウィテカー北大西洋条約機構(NATO)大使は「ロシアから石油を購入するインドと中国などを狙ったもの。ロシア経済に大きな影響を及ぼすだろう」と話した。実際に米上院ではリンジー・グレアム議員の主導でロシアから原油やガスを輸入する国に500%の関税を課す法案が議論中だ。
しかしトランプ大統領が制裁を決行するのは容易でないだろうという分析も出ている。貿易データ分析会社ケプラーのアナリストはCNNに「ロシアが担う世界の1日の原油消費量だけで340万バレル。ロシア産原油供給が閉ざされれば原油価格は明らかに上がるだろう」と話した。
スイスの大手投資銀行UBSのアナリストは「トランプ大統領が原油高を嫌うというのは自明の事実。(セカンダリー関税は)プーチン大統領だけでなくトランプ大統領にも圧力」と話した。原油価格上昇がトランプ大統領が懸念する米国の物価上昇を呼び起こしかねないためだ。
北朝鮮のリンゴとビールはロシアへ…経済も密着
一方、ウクライナ戦争を機に本格化した北朝鮮とロシアの協力が軍事分野を超え経済に広がっている。北朝鮮産のリンゴがロシアのスーパーマーケットに並べられ、北朝鮮の漁船がロシア極東の海岸に集まるなど、昨年6月に両国が結んだ「包括的かつ戦略的なパートナーシップに関する条約」の結果が現れていると英フィナンシャル・タイムズは伝えた。
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