イスラエルとイランの紛争が５日目となった１７日、トランプ米大統領がイランに向けた強硬姿勢を見せて緊張が高まりニューヨーク証券市場は値下がりで取引を終えた。

この日ニューヨーク証券市場でダウ平均は前日より０．７０％安の４万２２１５．８０ドルで取引を終えた。Ｓ＆Ｐ５００は０．８４％安の５９８２．７２、ハイテク株中心のナスダック指数は０．９１％安の１万９５２１．０９でそれぞれ取引を終えた。


イスラエルとイランの武力衝突が続き中東地域の地政学的リスクが高まった影響を受けた。


トランプ米大統領はカナダで開かれた主要７カ国（Ｇ７）首脳会議の日程を１日前倒し急きょ帰国の途につき、同日朝にホワイトハウスに復帰した。続けて同日昼にホワイトハウスで国家安全保障チームと会議を開き、今回の紛争に米国が直接介入するのかを議論した。

トランプ大統領はこの日、ソーシャルメディアのトゥルースソーシャルへの投稿で、イランの最高指導者ハメネイ師の所在を知っているとしながら「民間人や米軍にはミサイルを発射しないよう望む。われわれの忍耐心が尽きている」と警告した。続けてイランに「無条件降伏せよ」と促すこともした。

この日発表された小売り指標が予想外に大きく下落したことも景気低迷の懸念を拡大し証券市場に負担を与えた。この日米商務省が発表した米国の５月の小売り販売は７１５４億ドルで前月比０．９％減少した。ウォール街では関税政策の不確実性と景気低迷の懸念で米国の消費者の心理が悪化し個人消費支出を押さえ込みかねないと懸念してきた。

テスラの株価は３．９％下がりこの日のナスダック指数下落を牽引した。

米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）がこの日から２日間の日程で連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）を開いた中で、市場ではＦＲＢのパウエル議長が１８日の金利据え置き決定後の会見で今後の政策方向に対しもう少しハト派的（通貨緩和選好）な発言をするのか関心を傾けている。

危険回避心理とＦＲＢの早期利下げの期待感に米国債利回りは下落した。電子取引プラットフォームのトレードウェブによると１０年物米国債利回りはこの日のニューヨーク証券市場の取引終了間際に４．３９％と前日より０．０１％下がった。

中東の緊張が持続し国際原油価格も急騰した。この日ＩＣＥ先物取引所でブレント原油先物終値は１バレル＝７６．５４ドルで前日より４．４％上昇した。ニューヨーク商品取引所でウエスト・テキサス・インターミディエート（ＷＴＩ）先物は１バレル＝７４．８４ドルで前日より４．２８％上がった。

国際金価格は安全資産需要増加にもかかわらず横ばいにとどまった。ニューヨーク商品取引所で金先物終値は１オンス＝３４０６．９ドルで前日より０．３％下落した。

この日主要６通貨に対するドルの価値を反映したドル指数はニューヨーク証券市場の取引終了時点で９８．８１となり前営業日比０．９％上昇した。