3月3日、スペイン・バルセロナで開催されたモバイルワールドコングレス(MWC)2025展示館の入口にファーウェイとシャオミの広告が見える。 キム・ナムヨン記者
最近スペインのバルセロナで開催されたMWC(Mobile World Congress)2025」でも技術覇権の実体が如実に表れた。中国国有企業ファーウェイ(華為技術)は人工知能(AI)基盤のスマートシティソリューションを公開した。教育・交通・エネルギー・治安など都市インフラを一つのネットワークで統合して随時制御する構造だ。人工知能の出現で技術はもはや生産性向上の手段ではなく、都市全体を統制する道具であり支配力の象徴になっている。
ファーウェイの技術力は決して偶然ではない。中国は「科学崛起」を国家戦略として2049年の建国100周年には科学技術超強国を完成するという明確な長期的目標を提示した。2025年の研究開発(R&D)総投資額は約800兆ウォン(約83兆円)にのぼり、研究人材と科学論文被引用件数はそれぞれ世界1位だ。2024年ネイチャーインデックス基準で世界上位10大学のうち8つが中国の大学だ。10年前まで北京大学1つだった事実を考えると変化の速度に驚く。
このすべての変化は結局、人材によるものだ。中国は「千人計画」と「万人計画」で海外から多数の碩学と核心研究者を迎え入れてきた。千人計画に通して高級人材に高額年俸と住宅・研究費を提供しながら帰国を誘導し、万人計画に通して若い科学者と応用技術人材まで包括して支援の範囲を広げた。こうした野心に満ちた戦略で中国は数千人の世界トップレベルの人材を確保し、技術覇権競争の基盤を迅速に築いた。
半面、大韓民国は技術覇権競争という外部の危機と同時に、少子高齢化という深刻な内部の危機に直面している。過去10年間に34万人の理工系人材が海外に出て、修・博士級の「脱韓国」の流れが強まっている。生産可能人口はますます減り、地域の大学と研究機関は人材基盤の崩壊を心配している。インフラはあっても人材がなければ技術主権は虚しい言葉になるしかない。
目に見えないという技術の特性のため、技術に従属しても表面上は認識しにくい。特に隣国の中国の急成長は朝鮮時代の明と清に500年以上従属した歴史と1636年の丙子胡乱の恥辱を思い出させる。技術従属は標準とプラットホームの依存を通じて国家の自立権を蚕食する。一度広がった技術格差は以前のように追い上げるのは難しく、危機は積み重なっていく。
過去に国家の主権を軍事力で守ったとすれば、今は技術力が盾だ。国民のデータ、産業競争力、未来世代の雇用まですべてが技術の上で動く。技術主権は大層なスローガンではない。しかし危機は機会だ。技術主権を確保すれば経済も回復し、国家の自律性と安保も守ることができる。
政府は短期的な成果を狙った予算投入を越えて、長期的かつ一貫した科学技術政策を設計する必要がある。科学技術界は国民が実感できる成果で信頼を得て、民間と協力して技術競争力を大幅引き上げなければいけない。同時に世界主要国を相手に技術外交と国際協力を強化し、半導体・AI・バイオなど国家戦略技術分野で影響力を確保することが求められる。優秀人材養成のために大学と産業現場を連結する教育改編と共に、海外流出人材が韓国に戻ってくるよう国家レベルのプロジェクトを推進するのがよい。
科学技術はもう政治の核心アジェンダとなり、大韓民国の生存戦略だ。政策の一貫性、人材に対する果敢な投資、国家的な実行力が切実だ。大韓民国憲法第1条は「大韓民国の主権は国民にあり、すべての権力は国民から生ずる」と規定している。しかし技術主権なしに国家主権を守るのは難しい。技術が弱い国は国民の自由も安保も経済的自立も守れない。技術主権は宣言でなく必ずつかみ取らなければならない生存条件だ。今はまさに技術で大韓民国の未来を立て直す時間だ。
キム・ヨンシク/国家科学技術研究会理事長
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