18日、ソウル麻浦区(マポグ)SBSプリズムタワーで開かれた中央選挙放送討論委員会主管の第21代大統領選挙候補者討論会で、各政党の大統領候補が準備をしている。左側から国民の力の金文洙(キム・ムンス)候補、民主労働党の権英国(クォン・ヨングク)候補、改革新党の李俊錫(イ・ジュンソク)候補、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)候補。[写真 国会写真記者団]
野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)大統領選候補は、トランプ政府との関税交渉について説明している途中に「今のようにソフトパワーをむしばみながら、米国という信頼、信用のようなものをむしばめば長くは続かないだろう」と話した。続いて「結局ある時点ではブレーキがかかるはずだが、その時までしっかりと耐え切ることが重要」と話した。また「我々が真っ先に立ち上がって急いで交渉を早期妥結する必要はない」と明らかにした。
だが、すでに対米輸出減少などが指標ではっきりと確認される中で「耐えるのが交渉戦略」という趣旨の主張は説得力に欠ける場合もある。中国のように、米国が立場を変えるまで自分の出血を甘受する「チキンゲーム」に耐えられるような国がそれほどないためだ。
李氏は韓米同盟、韓米日協力を強調しながらも「完全に集中、オールインしてはいけない」とも述べた。また、台湾有事の際について「我々があまりに深く関与しすぎる必要はない。距離を保たなくては」としながら、これまでの「中国にも謝謝(感謝)し、台湾にも謝謝し、他の国と仲良く過ごせばいい」という発言趣旨を維持した。
実用外交を強調したものとみられるが、これは国際秩序がすでに米中を筆頭に明確に陣営化されているというのに、韓国がすべての国と等しく仲良くやっていくことが現実的に可能なのかという質問につながる。
李氏は19日、ソウル竜山(ヨンサン)駅での遊説中には「北朝鮮がなぜ休戦ラインに障壁を築くのか。南側からタンクで乗り込んでくるのが心配で怖いから、タンク用の障壁を築いたのではないか」とし「〔尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府が〕とても長い間北朝鮮を刺激したが、北朝鮮が気づいてよく耐えた」と述べた。
与党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補はテレビ討論で「韓国戦争の時も中国共産党は我々に攻め込み、我々の敵国だったではないか」とし「米国は我々を助けて大韓民国を守った当事者ではないか。米国と中国が同じ水準ではないだろう」と話した。
該当の発言の事実関係自体は間違いではないが、その後、韓中は1992年に国交を正常化させて今は戦略的協力パートナー関係にある。韓米間の血盟を強調するためにあえて70年前の戦争を持ち出してきて中国を「敵国」と描写する必要はあるのかという指摘が提起される理由だ。
金氏はまた「非核化は今はかなり難しい状態」とし「核均衡に持っていかなくてはならない」と話した。最近国際社会の一角で北朝鮮の非核化目標がますます遠のいているという心配が出ている中で、韓国の有力大統領候補が非核化に懐疑的ともみられる発言をしたのは間違った信号を与えかねないことから議論の余地がある。
「核均衡」発言は韓国も核を保有すべきだという核武装を示唆するようにも映る。金氏がこれに先立って戦術核再配備、米国と協議を通した核兵器設計技術蓄積などに言及した脈絡と重なり、無用の誤解を生じさせかねない。
梨花(イファ)女子大学国際学部の朴仁煇(パク・インフィ)教授は「選挙期間中の候補たちのすべての発言は外交資産に負担にならないように細心の注意が必要」と話した。
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