韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁が5日午前(現地時間)、アジア開発銀行(ADB)年次総会参加のために訪問したイタリア・ミラノのホテルで記者団を交えた懇談会を開いている。[写真 韓国銀行]
実際に李総裁が心配した政治不確実性が経済を押さえ付けている。今年1-3月期韓国経済は前四半期比マイナス(-0.2%)成長となった。昨年1-3月期に比べても後退した。前年比マイナス成長は1998年通貨危機、2009年国際金融危機、2020年コロナ禍の時以外にはなかった。国内外の不確実性が消費・投資心理を冷え込ませた。
財政も景気不振を食い止める役割を十分に果たすことができなかった。韓国政府は予算の迅速執行を公言したが実績は伴っていない。韓国政府の今年1~2月予算総支出(累計)は116兆7000億ウォン(約12兆円)で昨年より10兆5000億ウォン減少した。対予算比の進捗率は17.3%で、前年比2.6%ポイント減となった。1-3月期累積執行率(41.7%)は昨年並の水準で目標を達成したと言うが、戒厳事態で冷え切った内需景気を活性化させるのに充分だったとみるのは難しい。予算を下半期よりも上半期に多く執行すれば民間投資と消費を活性化して景気不振に先制的に対応することができる。年末に時間に追われて予算を無理に執行したり不用処理される事態も最小限にとどめることができる。
崔相穆(チェ・サンモク)前経済副首相の辞任で部署間の懸案を調整する経済関係長官会議など各種政府会議体制が本来の役割を果たすことが難しくなった。経済副首相ではなく企財部第1次官が代わりに出席したF4会議(マクロ経済・金融懸案懇談会)でも力を十分に出し切ることができなかった。新政府が発足して聴聞会を経て新しい長官が任命されるまで政策リーダーシップ不在事態は避けられないだろう。大統領から経済副首相まで代行体制の限界を政府システムで対応して被害を最小化するしかない。
先月トランプ発関税爆弾が落とされた時、「突然暗いトンネルに入っていく感じ」と話した李総裁は「今でもほとんど全く同じ」と嘆いた。大統領選挙レースに突入した政界は国政の危機状況を深刻に受け止めなくてはならない。不安な対外信用度を考慮して財政に深刻な負担を与える無責任な公約発表を自制することが重要だ。
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