ソウル瑞草(ソチョ)のサムスン電子社屋 [聯合ニュース]
米商務省と財界によると、サムスン電子は先月13日、米商務省産業安全保障局(BIS)に「先端半導体および集積回路に対する追加調査措置」暫定最終規則(IFR)に対する意見書を提出した。米連邦規則制定ポータルに公開された意見書で、サムスン電子は「サムスンは該当規則が米国の国家安全保障を効果的に保護することを望むが、同時にこの規制が意図せぬ結果を招いて革新を阻害するという懸念を緩和することを願う」と明らかにした。
公開された文書で、サムスン電子は具体的にどんな状況を憂慮するかは明らかにしなかったが、「公開される場合、営業活動にマイナスの影響を及ぼしかねない」として機密文書も提出した。サムスン電子の関係者は中央日報に「現在、米国側と意思疎通をしている」と話した。2月から施行中の規制に対して米商務省は先月まで業界の意見をまとめ、近く「最終規則」を発表するとみられる。米装備企業AMAT・KLAと米国半導体協会(SIA)も商務省にこれに関する意見を提出した。
◆米国のファウンドリー規制
サムスン電子が憂慮する今回の規制はバイデン前政権が任期終了直前の1月16日に発表した。ファウンドリー企業が14-16ナノメートル(nm、1nm=10億分の1メートル)以下の工程でトランジスター基準300億個以上集積された半導体を製造する場合、顧客の身元を把握しなければならず、これを米国に四半期別に報告するように義務づける内容だ。
当時、エステベズ商務次官(産業・安全保障担当)は「ファウンドリー企業が製造した半導体がブラックリスト企業に流れないよう企業に検証させる」と話した。中国ファーウェイが昨年スタートアップ「SOPHGO」名義でTSMCでチップを迂回製造した事例を今後防ぐという意志だった。今回の規制で米商務省はSOPHGOなど疑わしい企業をブラックリストに追加し、サムスン電子・TSMC・インテルなど主要ファウンドリー・テスト企業24社に顧客検証責任を負わせた。
◆規制するほど強まる中国半導体の力量
サムスン電子など半導体業界は今回の規制の逆効果を憂慮している。ファウンドリー企業が受注した顧客情報を米国に四半期ごとに報告する場合、従来の中国ファブレス(半導体設計専門)顧客を失うおそれがあるからだ。特に顧客の確保に困難があるサムスン電子の打撃が大きいと予想される。
さらにこうした規制は結局、中国の半導体自立度を高める可能性がある。サムスン電子・TSMC・インテルなどはすべて規制対象であり、中国ファブレス(半導体設計専門)企業はSMICなど中国ファウンドリー企業にチップ製造を依頼する可能性が高い。半導体業界の関係者は「ファウンドリーは多様な顧客の問題を解決しながら技術力が蓄積されるが、米国の規制が中国ファウンドリーに顧客を集中させ、技術自立を後押しする形になる」と分析した。
多数のTSMC出身者を迎えた中国SMICは昨年10-12月期基準で世界ファウンドリー3位(シェア5.5%)だ。2位サムスン電子(8.1%)を追撃していて「サムスンのファウンドリーのライバルはTSMC(67.1%)でなくSMIC」という声が出ている。米国半導体協会も商務省に提出した意見書に「米国の製造・雇用・核心技術分野のリーダーシップが阻害されないよう輸出統制がなければいけない」と明らかにした。米国の規制が長期的には中国の半導体自立を後押しすることになりかねないという懸念だ。
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