石破首相が3日に官邸で記者らの質問に答えている。[写真 ロイター=聯合ニュース]
石破首相は21日、トランプ大統領の意志とは違い関税交渉と安全保障問題は個別に議論すべきとの考えを明らかにした。この日開かれた参議院予算委員会で石破首相は「関税の交渉と安全保障の問題をリンクさせて考えるべきだと思っていない」と明らかにした。「米国は日本を守るのに日本は米国を守らない」というトランプ大統領の発言も「事実と異なる」として否定した。その上で、「きちんとした事実を認識してもらうのは国家として当然のこと。そういう立場で交渉に臨みたい」と強調した。
交渉妥結の速度に対しても慎重な姿勢を示した。4月末から5月初めまでの大型連休中に訪米しトランプ大統領と会談する考えはあるかとの質問に「早く行けばいいというものではない」と述べた。
石破首相が関税交渉に対し相次いで所信発言をしているが選択肢は多くない。日本経済新聞は選挙を考慮するほかない石破首相の立場を考慮しこの日2種類のシナリオを提示した。
最初は石破首相が早期妥結を見る場合だ。90日の関税猶予期間が終わる時期は7月9日だ。参議院選挙が同月20日に行われるのが有力な状況で猶予期限内に交渉を終えるのは石破首相に有利に作用できる。「商品券スキャンダル」が起き支持率が20%台に下落した石破首相には参議院選挙勝利は政権の運命を賭けるほど重要だ。批判の声を継続している野党の攻勢も一定部分防げるという政治的利点もある。6月の国会閉会に際し野党が不信任案を提出できるが、国難状況で猶予期間中に交渉を陣頭指揮している石破首相を引きずり下ろすのは容易でないということだ。短所もある。「早期合意」を急ぐ場合、米国のペースに巻き込まれかねない。日経は「トランプ氏が不満を示す農産物や自動車、安全保障の分野で譲歩した場合は政権への失望が広がりかねない」と指摘した。
もうひとつのシナリオは交渉の長期化だ。第1次トランプ政権で当時の安倍政権がしたように交渉を長引かせることだ。当時も日本は7月の参議院選挙を控えた状況で4月に交渉を開始したが、妥結は選挙が終わった9月に持ち越したという説明だ。日本は自動車に対する関税を防ぐ代わりに米国産牛肉と豚肉に対する関税を引き下げた。ただ石破首相が総合対策本部長として交渉を指揮するだけにリスク要素は石破首相には致命的になりかねない。関税猶予期間が90日と一時的の上に、野党側の不信任案提出を防ぐのも難しいと分析される。ある自民党議員は日経に「交渉がある程度進んでいたら90日の期限の延長もあり得る。米側にとっても道筋が見えていれば打ち切るのはもったいない。日本の政治日程をしっかり米国に伝えなければならない」と話した。
一方、本交渉を控えて日本政府は米国産のコメ輸入拡大をはじめ米国製自動車に対する規制を再検討しているという。
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