トランプ米大統領が2025年3月12日から発効されるアルミニウムと鉄鋼材に対する関税賦課の大統領令に署名し持ち上げて見せている。[写真 ホワイトハウス]
ラトニック米商務長官は9日、NBCニュースとのインタビューで「12日に予定された鉄鋼とアルミニウムに対する25%の関税賦課は日程通りに行われるのか」という質問に「そうだ」と答えた。この関税は先月10日にトランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウム、派生商品に対して25%の関税を課すと予告した大統領令に伴ったものだ。
鉄鋼業界は慎重論の中で関税政策変化の否定的・肯定的影響を確認している。長所としては、輸出量を弾力的に調節できる点が挙げられる。第1次トランプ政権当時から韓国に課された年263万トンの鉄鋼クオータ制は細部品目別に輸出量が決まる。米国内需要が大きくさらに多くの輸出が可能な品目があったとしても、品目別割当量を超えて輸出するのは難しかった。
韓国鉄鋼協会の統計によると、昨年米国に輸出された鉄鋼材約276万トンのうち鋼管類が108万9200トン、熱延鋼板・重厚板・冷延鋼鈑など板材類が131万6900トン、棒形鋼類が19万3500トンほどだった。韓国貿易協会貿易通商研究院のチャン・サンシク院長は「関税を課されても競争力がある企業は積極的に出る可能性もある。鋼管類、特に油田用鋼管など高付加価値品目が米国内の需要に対し供給がほとんどなかった」と話した。
だが鉄鋼業界では無関税クオータ廃止により価格競争力低下と収益性低下を懸念する声が依然として大きい。関税で価格競争力が高まった米国製鉄鋼に対する需要が増え、米国の鉄鋼輸入が減るかもしれないという懸念だ。昨年の韓国の対米鉄鋼輸出の割合は13.1%で米国は韓国鉄鋼に最大の輸出市場だ。
また、鉄鋼とアルミニウムだけでなく、これを活用した派生品目に対する関税賦課により不確実性が大きくなる点も問題に挙げられる。韓国貿易協会のハン・アルム首席研究員は「鉄鋼とアルミニウムが使われた自動車部品や電機・電子部品類も派生商品に該当するが、どのような基準で関税を課すのか細部事項がなく不確実性が大きくなった。現在は追加ガイドラインを待つしかない」と話した。
ただまだ具体的な計画は出ていないが、トランプ大統領が推進するアラスカの天然ガスプロジェクトが現実化するならば韓国企業の鉄鋼輸出には好材料として作用する見通しだ。プロジェクトに使われる鋼管やプラント製作に必要な厚板と形鋼需要が増える可能性があるためだ。
米国に鋼管を輸出する世亜(セア)製鋼関係者は「政府と業界との議論を通じて事業性・現実性検討が必要だ」としながらも、「アラスカのガス管事業が現実化するならば巨大市場が創出されるだけに鉄鋼業界にはとても魅力的な市場になるだろう」と予想する。
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