5日(現地時間)、マクロン仏大統領は国民向け演説で欧州のための「フランスの核の傘論」を話した。マクロン大統領は「米国がウクライナ戦争における立場を変え、欧州に関税を課そうとしている」と述べた。そして「米国が我々側にいない場合に備えなければいけない」と主張した。その間、欧州は事実上、米国の核の傘の下で保護された。欧州で核兵器を持つ国はフランス(290発)と英国(225発)の2国だけだ。これに加えてドイツ・イタリアなど6カ所の北大西洋条約機構(NATO)基地にある100発の米国の核兵器が欧州を守った。その欧州が自ら強くなろうとし、独自の核武装に向かおうとしている。欧州連合(EU)首脳は最近8000億ユーロ(約128兆円)規模の国防費を増額することにし、ドイツなどは大規模な景気浮揚を進める。
これを触発したのはトランプ米大統領の「関税戦争」だ。ここには同盟国も自由貿易協定(FTA)国家も例外はない。まず米国の3大貿易国(カナダ・メキシコ・中国)を狙った。米国は4日からカナダ・メキシコ・中国の輸入品に対する新規関税を課した。カナダとメキシコに対して25%、中国に対して10%の税率が適用される。トランプ大統領の就任から43日目だ。該当国は激しく反発した。カナダのトルドー首相は同日「愚かなこと」と批判し、300億カナダドル(約3兆円)規模の米国産輸入品に報復関税を発効した。中国は米国の農畜水産物を対象に関税を引き上げ、メキシコも9日に報復関税を予告した。
トランプ大統領は突然、メキシコとカナダに対する25%関税を課した後、わずか2日後に1カ月猶予することにした。先月に続いて2回目の猶予だ。しかしトランプ政権は各国の反発には何一つ動じなかった。ベッセント米財務長官は「トルドーのようなばか者(numbskull)になりたいのなら関税はさらに上がるだろう」と強調した。米国は来月2日から世界各国の対米関税率や非関税障壁を考慮して「相互関税」を課す計画だ。全世界は米国が招いた国際秩序の混沌の中に急速に吸い込まれている。
ところが金融市場で破裂音が出始めた。米国市場から資金が抜ける兆候が表れている。「米国関税賦課→相手国の報復関税→米国の報復関税」という悪循環のため、成長を見せていた米国経済が沈滞の沼にはまるのではという不安感が漂い始めた。当初、トランプ関税政策は物価にはある程度の影響を与えても景気には大きな衝撃は与えないという見方が多かった。しかし関税戦争が本格化しながら「トランプセッション(トランプ発景気沈滞、Trump+recession)」懸念が増幅した。ブルームバーグによると、JPモルガンチェースは米国景気沈滞の可能性を昨年11月末の17%から4日には31%に、ゴールドマンサックスは1月の14%から4日には23%にそれぞれ高めた。株式市場は落ち幅が拡大し、ドル安も進んだ。その間、資金が米国金融市場から欧州など他の国に抜けたからだ。米国株式市場は最近下落が続き、トランプ大統領就任前の水準にまで下がった。特に主要銘柄のエヌビディアとテスラの株価はトランプ大統領の就任前に比べてそれぞれ25%、63%も下落した。
もう世界各国はトランプ大統領が撃った関税爆弾を避けるために関税障壁を用意し、国家間の合従連衡もする見通しだ。国家間の関係は道徳や理念よりも国益で決まる流れが加速するしかない。19世紀半ばの英国帝国主義当時に首相を務めたパーマストン卿が述べたように「我々(英国)には永遠の友邦も永遠の敵もない。永遠なものは我々の利益だけ」という時代になった。今は多極化の時代であり、各自が生きる時代だ。我々の先祖は旧韓末に弱小国の悲哀を痛感した。政治混乱期の今、韓国にあまりにも大きな挑戦が近づいている。
キム・チャンギュ/経済産業エディター
これを触発したのはトランプ米大統領の「関税戦争」だ。ここには同盟国も自由貿易協定(FTA)国家も例外はない。まず米国の3大貿易国(カナダ・メキシコ・中国)を狙った。米国は4日からカナダ・メキシコ・中国の輸入品に対する新規関税を課した。カナダとメキシコに対して25%、中国に対して10%の税率が適用される。トランプ大統領の就任から43日目だ。該当国は激しく反発した。カナダのトルドー首相は同日「愚かなこと」と批判し、300億カナダドル(約3兆円)規模の米国産輸入品に報復関税を発効した。中国は米国の農畜水産物を対象に関税を引き上げ、メキシコも9日に報復関税を予告した。
トランプ大統領は突然、メキシコとカナダに対する25%関税を課した後、わずか2日後に1カ月猶予することにした。先月に続いて2回目の猶予だ。しかしトランプ政権は各国の反発には何一つ動じなかった。ベッセント米財務長官は「トルドーのようなばか者(numbskull)になりたいのなら関税はさらに上がるだろう」と強調した。米国は来月2日から世界各国の対米関税率や非関税障壁を考慮して「相互関税」を課す計画だ。全世界は米国が招いた国際秩序の混沌の中に急速に吸い込まれている。
ところが金融市場で破裂音が出始めた。米国市場から資金が抜ける兆候が表れている。「米国関税賦課→相手国の報復関税→米国の報復関税」という悪循環のため、成長を見せていた米国経済が沈滞の沼にはまるのではという不安感が漂い始めた。当初、トランプ関税政策は物価にはある程度の影響を与えても景気には大きな衝撃は与えないという見方が多かった。しかし関税戦争が本格化しながら「トランプセッション(トランプ発景気沈滞、Trump+recession)」懸念が増幅した。ブルームバーグによると、JPモルガンチェースは米国景気沈滞の可能性を昨年11月末の17%から4日には31%に、ゴールドマンサックスは1月の14%から4日には23%にそれぞれ高めた。株式市場は落ち幅が拡大し、ドル安も進んだ。その間、資金が米国金融市場から欧州など他の国に抜けたからだ。米国株式市場は最近下落が続き、トランプ大統領就任前の水準にまで下がった。特に主要銘柄のエヌビディアとテスラの株価はトランプ大統領の就任前に比べてそれぞれ25%、63%も下落した。
もう世界各国はトランプ大統領が撃った関税爆弾を避けるために関税障壁を用意し、国家間の合従連衡もする見通しだ。国家間の関係は道徳や理念よりも国益で決まる流れが加速するしかない。19世紀半ばの英国帝国主義当時に首相を務めたパーマストン卿が述べたように「我々(英国)には永遠の友邦も永遠の敵もない。永遠なものは我々の利益だけ」という時代になった。今は多極化の時代であり、各自が生きる時代だ。我々の先祖は旧韓末に弱小国の悲哀を痛感した。政治混乱期の今、韓国にあまりにも大きな挑戦が近づいている。
キム・チャンギュ/経済産業エディター
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