韓国の代表的渡り鳥渡来地である慶尚南道昌原の注南貯水池にあるヤナギの群落がカワウの排泄物による白化現象で真っ白になり枯れている。先月21日午後の様子だ。アン・デフン記者
しかし彼らが一瞬驚く場所があった。貯水池の中にコの字型に造成された約1万平方メートル規模のヤナギの群落の前でだ。探訪客は「雪が降ったのか」「あそこだけ白い」と話した。彼らの視線の先には、60株のヤナギが雪をかぶったように白く枯れていた。
当時昌原地域の積雪量はゼロで雪は降っていなかった。昌原市は「白化現象」によりヤナギが変色したと把握した。ヤナギの群落に巣を作ったカワウの群れの排泄物にヤナギが覆われたのだ。
◇カワウの排泄物被害…毎年冬に繰り返される
昌原市は注南貯水池を訪れるカワウの排泄物による被害に神経を尖らせている。毎年冬になると繰り返される現象だからだ。冬の渡り鳥の一種であるカワウは早ければ10月から翌年3月まで注南貯水池で越冬する。市のモニタリングの結果、この時期に毎月少なくて500~600羽から多くて2000~3000羽が注南貯水池にとどまる。
問題はカワウの排泄物には尿酸成分などが多く含まれている点だ。これは樹木や土壌などを荒廃化させる。市関係者は「鳥類は体が軽くなければならず、食べたら消化して排出するが、この時消化液も一緒に排出される」と説明した。
実際に環境部傘下の国立生物資源館が2021年に調査した「カワウの生態的影響把握と管理対策策定研究」を見ると、カワウ関連被害のひとつに水質と土壌の悪化が挙げらる。排泄物が貯まり窒素とリンが増加するためだ。また、集団繁殖による植生への影響も懸念される。
ただし、市は現在までカワウ排泄物被害区域は貯水池の規模に比べ少なく生態系に及ぼす影響も大きくないとみている。ヤナギの群落は注南貯水池の総面積898万平方メートルの898分の1水準だ。
◇大食いのカワウ…漁業活動にも悪影響
それに加えカワウの途方もない食性は漁業活動に被害を与え、魚類の多様性減少など水生生態系環境にも否定的な影響を及ぼす。国立生物資源館の研究によると、生息地の状況によって異なるが、カワウの1日の食事摂取量は250~800グラムに達する。
韓国の研究では繁殖期にカワウのつがいが3カ月間に食べる魚類の量が約250キログラムという評価もある。1日1.3キログラム食べる計算だ。これは2.6~3.7キログラムのカワウの体重の半分に迫るが、人でいえば体重70キログラムの成人が1日に120グラムのごはん292杯を食べるのに相当する。
漁業被害などでカワウ捕獲に出た自治体は京畿道(キョンギド)、江原道(カンウォンド)忠清北道(チュンチョンブクド)、全羅南道(チョンラナムド)など韓国各地にある。慶尚南道山清郡(サンチョングン)では昨年銃器捕獲団を設けカワウ84羽を捕獲した。当時山清郡が集計したカワウ漁業被害規模推定値を見ると、2018年と2019年の各12億ウォンから2020年には24億ウォンと1年で2倍になった。
◇有害鳥獣に指定も「渡り鳥飛来地で発砲は…」
環境部は2023年12月にカワウを有害野生動物に指定した。これにより銃砲類を使った捕獲が可能になった。これはカワウの個体数が急増しその被害が広がっているためだ。1999年には全国に269羽にすぎなかったカワウは、2022年には3万2196羽と120倍に増加したと推定される。
ただし、市は注南貯水池ですぐに銃器を活用したカワウ捕獲は難しいという立場だ。市関係者は「渡り鳥飛来地のため銃器を使う場合、他の渡り鳥にも影響を及ぼす。周辺に集落もあり人命被害の危険があるので生半可に銃砲類は使い難い」と話している。
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