世界的貿易戦争に備えるため自動車メーカーが海外生産を増やし国内の自動車部品産業が萎縮するだろうという懸念が出ている。写真は京畿道安城の自動車部品メーカー、コリアFTで燃料タンクパイプを生産する様子。[中央フォト]
兆候はすでにあった。自動車部品業界によると、2023年の自動車輸出額は708億6400万ドルで、前年比31.1%増で過去最高値を記録したが、自動車部品輸出額は1.6%減った229億5400万ドルだった。現在の通商環境を考慮して自動車メーカーが海外生産を拡大すれば現地で部品を調達する可能性が大きくなり、韓国の部品メーカーには悪材料だ。韓国自動車部品協会政策研究所のイ・ギョンジン所長は「韓国の部品メーカー1万5000社のうち海外進出能力がある1次協力会社700社を除いた残り数千社は生産移転の衝撃にさらされている。30年にわたり自動車部品業界は自動車の善戦にともなうトリクルダウン効果で生きてきたが、これからは本当に生き残るのが難しくなる構造になりそうだ」と分析した。
規模が小さい2次・3次協力会社の雇用から打撃を受ける恐れがある。昨年韓国自動車研究院が発表した「自動車部品産業実態調査」によると、部品産業従事者数は28万1373人、企業は1万5239社となった。このうち従業員4人未満の事業者が50.3%と過半数を占め、売上額5億ウォン未満の事業者が27.6%だった。大徳(テドク)大学未来自動車学科のイ・ホグン教授は「自動車メーカーと1次協力会社は比較的雇用安定性が高い方だが規模が小さい2次・3次協力会社は納品額が減ればすぐに人員から削減するだろう」と話した。
自動車融合技術院によると、2023年の外部監査対象部品企業1480社の平均営業利益率は3%で、自動車5社平均の9.1%の3分の1にとどまった。外部監査対象ではない小規模業者まで含めば部品産業の平均営業利益率はさらに低くなると推定される。一方、同じ期間に欧州連合(EU)の研究開発投資スコアボードに上がった世界的自動車企業50社の平均営業利益率は7.61%、自動車部品企業104社の平均営業利益率は7.53%だった。
韓国国内の部品市場が縮小すれば未来自動車産業生態系を育てるのは難しい。韓国自動車研究院の調査で韓国の部品メーカーのうち92.9%は未来自動車対応に向けた事業多角化を準備していないことがわかった。資金不足が26.7%、情報不足が23.1%、技術不足が21.6%など理由に挙げられた。韓国輸出入銀行海外経済研究所のキム・ホゴン責任研究員は「韓国の自動車部品産業は中小企業中心に市場が形成されているだけに人材育成と研究開発支援を通じて部品産業の競争力を高めなければならない」と話した。
供給網競争力の側面でも部品産業は重要だ。産業研究院のチョ・チョル選任研究委員は「今後も相当期間国内外でエンジン車と電気自動車が同時に生産されるが韓国の部品メーカーが倒産すれば産業供給網に問題が生じる。企業と政府が関心を持って育成しなければならない」と話した。
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