サムスン電子の李在鎔会長が3日にソウル高裁で開かれたグループ経営権継承関連の不当合併・会計不正疑惑控訴審宣告公判に出席している。キム・ギョンロク記者
3日に開かれたサムスン物産と第一毛織の不当合併疑惑事件の控訴審でも無罪判決を受けたサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長に対する財界の期待だ。「失われた8年」の間に積もった課題が彼を待っている。
ソウル高裁は3日、資本市場法上の不正取引行為・相場操縦、業務上背任など19の容疑で起訴された李会長に無罪を言い渡した。昨年2月の1審宣告結果と同じだった。残る大法院(最高裁)での3審の判決が2審の判断の違法性だけを問う「法律審」であるだけに、財界では司法リスクはほとんど解消されたとみている。
李会長の50代は裁判所とともに流れた。検察が関連事件で李会長を起訴したのは2020年9月だ。「国政壟断事件」後2017年2月に拘束起訴された時まで遡れば李会長は8年にわたり司法リスクで足かせをかけられた。サムスン電子人事チーム長(専務)を務めたイ・グンミョン元人事革新処長は「長期にわたるリーダーシップ空白期間に李会長の静中動の歩みから抜け出す契機が用意された」と評価した。
3月の株主総会で李会長の登記理事復帰の有無に関心が傾く。登記理事として理事会に参加するならば「責任経営」の意志を見せることができる。復帰するならば2019年から5年ぶりだ。財界関係者は「登記理事に上がるならば、より積極的に『李在鎔リーダーシップ』を展開するという意志と解釈できる」と話した。
サムスン電子の機敏さがよみがえるかも注目される。この間に世界のIT産業は人工知能(AI)の戦場に変わった。だがサムスンでは目立った買収合併事例がほとんどなかった。2017年に李会長が直接推進した電装・オーディオ会社のハーマンを80億ドルで買収したのが最後だ。投資の時計が止まっている間に競合会社は買収合併で急成長した。インテルはイスラエルの自動運転企業モバイルアイを2017年に買収し、エヌビディアはAIディープラーニング企業スウィフトスタックを2019年に買収した。クアルコムはアップル出身者が作った半導体設計スタートアップのヌビアを2021年に買収した。
仁川(インチョン)大学経営学部のホン・ギヨン教授は「最近AI戦争が数十兆~数百兆ウォン単位の『銭の戦争』に突き進む様相であるだけに、一気に遅れをとった技術力に追いついて市場を先取りするためにも優良企業の買収合併を急がなければならない」と助言した。
未来の収益源に対する投資も急がれる。サムスンにとって新事業発掘は企業体質を改善してクォンタムジャンプをする契機だった。『サムスン・ウェイ』の著者のソウル大学経営学部のイ・ギョンムク教授は「創業者の李秉喆(イ・ビョンチョル)、半導体とスマートフォンの成功神話を作った李健熙(イ・ゴンヒ)会長と違い『李在鎔の○○』はまだ出ていない。既存の市場で1位を追求するのではなく、TSMCやエヌビディアのように新しい市場で1位になる時がきた」と話した。
その上いまは「トランプリスク」という新たな課題が追加された。個人技が必要な課題だ。メタ、アマゾン、グーグルのような米国ビッグテックの大物だけでなく、ソフトバンクグループの孫正義会長のような海外企業の最高経営責任者(CEO)もトランプ大統領と関係を構築するために求愛中だ。現代自動車がトランプ大統領就任式に100万ドルを寄付する渦中にもサムスンは静かだった。
世宗(セジョン)大学経営学科のキム・テジョン教授は「サムスンは半導体など主力事業がトランプノミクスの直撃弾を受ける懸念が大きい。(司法リスクを解消しただけに)李在鎔会長とサムスンのグローバルネットワークを活用し本格的にトランプリスク対応に出なければならない」と話した。
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