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【時視各角】1876兆ウォン家計負債、忘却と歪曲=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
7-9月期末現在1876兆ウォン(約206兆円)の家計負債は韓国経済の急所だ。

2020年7-9月期末から国内総生産(GDP)の100%を超えた(国際決済銀行資料)。こうした国はオーストラリアやスイスなどごく少数だ。4-6月期基準で米国は73.7%、ドイツは53.5%、英国は80.7%だ。

韓国銀行によると、この割合が80%を超えれば成長率が低くなり景気低迷の確率が高まる。借金が多ければ利子を払ったり元金を返そうとしたりして消費するお金が減る。これは総負債元利金償還比率(DSR)で確認できる。韓国銀行の試算で家計向け融資を受けている人の平均DSRは4-6月期末39.9%に達する。所得の相当部分を負債元利金返済に使っていることになる。負債に押さえつけられて消費が萎縮し、これが成長率を引き下げるという話はそのために出てくる。それでも金利を下げれば家計負債が増え、上げれば貸出者が倒れる。進退両難だ。


韓国国民はもともと負債に厳格だった。1990年代だけでもGDP比の家計負債比率は40%台だった。少子化がそうであるように家計負債もある日突然増えたのではない。歴代政権ごとに責任がある。それでも急増した特定の時期がある。文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に家計負債は約500兆ウォン増えた。他の政権を圧倒した。もちろんコロナ禍という変数はあった。韓国銀行は金利を引き下げた。0%台の金利が1年半以上続いた。世界が超低金利だった。各国政府も金融を緩和した。

だが特に韓国の家計負債が大きく増えた。規制で市場を押さえるという不動産との戦争が家計負債急騰の引き金を引いた。文在寅政権前半期に不動産政策の指令塔だった金秀顕(キム・スヒョン)大統領秘書室政策室長は「適正な時期にさらに強い貸付規制と家計負債管理に出られなかったことが最も重要な不動産失敗の原因」と主張する(『不動産と政治』)。

しかし前後関係の解釈に誤りがある。韓国銀行と金融当局が貸付の引き締めが緩くて住宅価格が高騰したのではなく、不動産急騰が借入爆発を招いたものだった。金融当局は15億ウォンを超える住宅担保貸付の禁止など強硬な貸付抑制策を吐き出した。それでも不動産は出遅れるかも知れないという不安感からなりふりかまわず融資を受ける動きを防ぐことはできなかった。低金利は雪だるま式に増えた負債の危険性を隠した。コロナ禍が終わり金利が跳ね上がると負債の恐ろしさが現実に近づいた。文政権の脱原発後遺症が現政権に乗り越えてきたように。

人間は忘却の動物だ。失政は忘れられ、政治は失政の責任を歪曲して押し付ける。来年4月の総選挙は景気低迷と家計負債の責任攻防で熱くなるだろう。通常国会でその前兆があらわれた。文政権時代の与党である「共に民主党」は政策当局者を追及した。梁敬淑(ヤン・ギョンスク)議員は李昌鏞(イ・チャンヨン)韓国銀行総裁に「大多数の国民が負債地獄で苦しんでいるが中央銀行総裁はいったい何をしているのか」と言った。ついに金周顕(キム・ジュヒョン)金融委員長は「本当にこんなことまで言いたくはないが、前政権で途轍もない不動産規制をしたがその時に家計向け融資が途轍もなく増えた」と反論した。ファクトは金委員長の言葉が正しい。現政権で家計負債は約13兆ウォン増加した。

失政は過ぎ去り莫大な借金は残った。李総裁は「企業負債は構造調整で減らすことができるが、家計負債はそれが難しい」と吐露する。むやみに負債を棒引きすることもできない。朴春燮(パク・チュンソプ)経済首席秘書官は「GDP比の家計負債比率が80%まで下げるべきではないか」と話した。だが家計負債を短期間で減らす妙手はない。オランダは家計負債比率を100%以下に下げるのに18.5年、デンマークは17.7年かかった。長くて苦痛な「負債との戦争」が待っている。家計は長くベルトをきつく締めなければならない。その間に巨大負債の種がどのようにまかれたかは忘れられるかもしれない。しかし記憶してこそ悪い政策が繰り返されるのを防ぐことができる。記憶が力だ。

イ・サンリョル/論説委員



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