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【時論】「パーフェクトストーム」に見舞われた韓国経済

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

イラスト=キム・ジユン記者

新型コロナが全世界に広がってから3年が経過し、事実上、風土病(Endemic)に変身している。さらに昨年2月末に始まったロシアのウクライナ侵略戦争は年を越えて世界経済に依然として大きな衝撃を与えている。疫病と戦争、ここに大飢饉もあれば、歴史の本に出てくるような乱世の条件がすべてそろう。

では、どのように乗り越えていけばよいのだろうか。2023年の世界経済は薄氷の上を歩いている。当初は「V字反騰」が予想されたコロナ後の経済は、戦争の影響を受けて回復が抑えられている。今年の世界経済の成長率は中国の経済回復傾向にもかかわらず2%半ばと予想される。回復どころか、また深刻な沈滞に向かわないか心配だ。実際、欧州などは事実上スタグフレーション状況であり、他の国々も沈滞を迎えながらもインフレを抑えようという切迫感のため他の選択肢に目を向ける余裕がない。

金利急上昇により民間負債の負担が実物に転移して急激な沈滞につながるリスク、コロナ期間に悪化した財政による政策ジレンマ、そして依然として高い地政学的リスクが今年の世界経済の足かせになっている。しばらく続くサプライチェーン分断化と国際連携破片化現象は楽観的な見方をためらわせる。


景気沈滞の予想にもかかわらず失業率は依然として低く、政策当局者を混乱させている。ここにはコロナにより新しく形成された労働市場がある。パンデミック以降、労働市場構造が非対面産業中心に変わったという構造的変化論でよく説明される。

しかし求人難の背後には複数の要因がある。パンデミック以後、いくつかの理由で労働市場に進入しない非経済活動人口が増加した。すでに重要な役割をしているにもかかわらずあまり認識されていない国際的労働移動、すなわち季節労働と短期労働も減少した。労働供給を円滑にする定性的措置が必要な時だ。

今年の韓国経済はどのような部分に留意すべきだろうか。半導体など主力輸出品の景気鈍化、高いエネルギー価格、海外観光の再開による経常赤字などが挙げられる。貸借対照表再調整がもたらす衝撃、ノンバンク金融仲介部門の脆弱性、新興国の通貨危機と先進国国債市場の不安定など短期的金融問題にも留意する必要がある。回復の遅れで非常に敏感になった市場に対応する政策の組み合わせが求められる。

物価安定と金融安定の間の適切な調節と先制的指針の合理的運用が重要になる。財政健全化を進めるものの脆弱層の支援と未来成長動力への投資は持続しなければいけない。先端技術分野で民間部門の適応を考慮した安定的サプライチェーン構築に努力し、対外金融不安による変動性拡大にも備えなければいけない。そのほかにも点検すべき対外変数が多い。韓国に大きな影響を与える中国の場合、「ウィズコロナ」政策に突然転換した。これによる衝撃は短いが大きく、主に上半期に集中するとみられる。

不動産市場の沈滞が続いて金融・財政リスクに拡大する可能性があるが、これは年内続く可能性があるリスク要素だ。天然ガス市場の構造変化と肥料需給問題で、今年はエネルギー価格と食料価格は高い水準で不安定に推移すると予想される。サプライチェーン問題は少しずつ解消しているが、パンデミック以前には戻れないだろう。

米国に続いて欧州の半導体やバッテリーなど戦略資産自国回帰戦略は韓国に大きな悩みを抱かせる。インド太平洋経済枠組み(IPEF)交渉は今年のアジア太平洋経済協力会議(APEC))首脳会談前に終了することを目標に進行している。しかし労働・環境・人権・デジタル・サプライチェーン・反腐敗・租税などさまざまな議題を含んでいて、市場接近分野が除外されたとはいえ、きめ細かく対応する必要がある。欧州連合(EU)の「炭素国境調整」制度は10月にモニタリングから日程が始まる。

フーバー大統領(1874-1964)は1930年代の大恐慌で「繁栄は曲がり角まできている」という儚い希望メッセージで後世の嘲弄対象になった。うまくやれば繁栄があるとは言えない。しかしいくつかの変数を確認して屈折した現状の原因を細かくチェックすれば大きな危険は避けられるはずだ。希望を持とう。

金興鍾(キム・フンジョン)/対外経済政策研究院(KIEP)院長

◇外部執筆者のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。



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