27日午前3時55分ごろ、ソウル拘置所の前で拘束令状の棄却について話す李在明(イ・ジェミョン)共に民主党代表 ソン・ソンベ記者
実際、江戸幕府は徹底的にキリスト教徒を取り締まった。代表的なのが1629年から約230年間にわたり実施した「踏み絵」だ。隠れキリシタンを見つけ出すためにイエス・キリストや聖母マリアが描かれた絵を踏ませたり、唾を吐かせたりした。これをためらえば連行して拷問、処刑した。長崎にある「妻子別れの涙岩」は、当時処刑場に連れて行かれた人たちが家族、親戚との最後に別れで涙を流した場所だ。宗教の自由、良心の自由などは関係のない野蛮な形態が横行した歴史の現場だ。
#2.400年前の日本の踏み絵が大韓民国の汝矣島(ヨイド)で復活した。最大野党・民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表に対する拘束令状は棄却されたが、逮捕同意案の表決以降に民主党で生じた一連の事態は致命的だ。党指導部は可決票を投じたと疑われる議員を見つけ出して懲戒すると述べた。政治的処刑だ。すると、先を競うように「私は否決票を投じた」と認証リレーが始まった。無記名秘密投票で、党論を規定していないにもかかわらずだ。
他人のせいにすることでもない。秘密投票と党論の正確な意味も知らない、知りながらも知らないふりする国会議員を選んだ我々の責任だ。党指導部は李代表令状棄却嘆願書を全員に提出するよう公文書を回した。裁判の過程でもなく拘束令状審査段階で嘆願書の提出とはあきれるが、「嘆願書に署名するかどうかは自由選択だが、その名簿は公開する」というのは脅迫と変わらない。可決票を投じて、また署名もしない「キリシタン」議員はただでは済まないという2023年バージョンの踏み絵だった。
脅迫が通じたのか、可決票を投じた30人の議員のうち24人がサインした。これが判事の拘束令状棄却にどれほど「心理的踏み絵」になったかは分からない。熱烈支持者は歓呼するが、68年の歴史と伝統の党の格は没落した。
#3.実際、党の格まで話すことでもない。党の格を論じる前に議員一人一人の格が崩れたということだ。金宜謙(キム・ウィギョム)議員は検察が令状担当判事が韓東勲(ハン・ドンフン)法務部長官の大学の同期だと言った。事実でないことが確認されると、「また脅そうとする」「韓長官が怯えている」「気をもんでいるのは我々だけではないことを韓長官の神経質な反応が立証している」などと話した。「フェイクニュース」と指摘されても、ただ間違っただけだと言って頭を下げない。いつも文句をつける。彼は報道官だった当時も嘘を言って「その程度の小技はこの業界では通用する」と発言した。これほどになると不治の病に近い。
実際、党代表代行格の鄭清来(チョン・チョンレ)最高委員も5年前にそうだった。放送に出て「文在寅(ムン・ジェイン)-トランプ大統領の通話を原資料ですべて受けて見た」と話したのが論議を呼ぶと、「少しの味付けは私の識見とユーモア、そして文学的想像力だった」と語った。味付けと小技で統治するのがクセになった政治家、政党に未来はない。魔女狩りも、弾圧も、政治的処刑も味付け、小技だと言って包装するのだろう。後進的な踏み絵の江戸幕府もそのようにして防ごうとしたが、結局は審判の対象になった。李代表が令状棄却後にソウル拘置所の前で話したように「相手を殺してなくす戦争」でなく「相手を抱き込む政治」をしなければならない時だ。「ああ、民主党は今日も雨だった」という別れの歌、涙の歌が出ないようにするために。
金玄基(キム・ヒョンギ)/巡回特派員/東京総局長
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