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【コラム】「統計改ざんは国民と経済を実験対象とした犯罪」=韓国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

2017年5月24日、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が執務室に設置した雇用状況板の前でプレゼンテーションしている。[中央フォト]

文在寅(ムン・ジェイン)政府で起きた統計改ざんと歪曲(わいきょく)実態が監査院の監査を通じて明らかになった。監査院は関連者に対する捜査も依頼した。これが事実なら国基紊乱犯罪が汎政府次元で組織的に行われていた衝撃的な事件だ。国家政策は正確な統計を基に樹立される。この統計を改ざんあるいは歪曲したということは政策を思うままに動かしたということで、国民を欺いたことと違うところがない。

◇雇用惨事の借金は最低賃金の引き上げ

それなら文政府はなぜこのように想像することさえ難しい犯罪を敢行したのだろうか。その出発線上に文政府の国政哲学が位置する。「所得主導成長」だ。所得は生産や革新、すなわち成長の対価だ。前後関係がはっきりしている。所得主導成長はこの順序をひっくり返した。だいたい実現そのものが難しい。そのため学界では「所得主導成長論は論理的飛躍と不安定性が存在して、その因果関係が実証的に立証されていない仮説にすぎない」と一蹴する。文政府がこの理論を国政の骨子として前面に出したのは検証されていない仮説を国家経済と国民を相手に実験するという呆れるような国政運営をしたということになる。


その最初の実験対象は最低賃金だった。2017年文政府が発足してその翌年に適用する最低賃金を16.8%も急激に引き上げた。すぐに労働市場が動揺した。外食・宿泊業はもちろん、製造業就業者も後退するなど雇用が大きな衝撃を受けた。「雇用惨事」という用語が日常化した。

初めての実験の結果が失敗の兆しを見せると政府が切った次なるカードは「雇用安定資金」だった。国家が企業に雇用された労働者の賃金を代わりに支給するという、世界中どんな国でも見たことのない珍しい政策だ。「バラマキ政策」の始まりでもある。労働市場はさらに深い沼に落ちていった。失敗を挽回しようと登場する無理な政策に市場は頼るところがなかったためだ。

解決のために選んだのが雇用統計という政策“問診票”をゆがめることだった。張夏成(チャン・ハソン)当時青瓦台政策室長は「最低賃金が上がった後、労働時間は減ったが、雇用は減らなかった」と話した。あきれる論理だ。雇用総量は雇用人員(n)に労働時間(h)をかけて算出する。したがって労働時間が減ったというのは雇用が減ったということだ。最低賃金が急激に上がって人件費負担を感じた雇用主はまず労働時間を減らす。すぐには人を減らすことができないので人件費の総額を合わせようとする苦肉の策だ。雇用縮小の前段階が労働時間の縮小ということだ。張室長の論理は無惨にも崩れ去った。

◇政策アリバイ探そうと歪曲反復

こうなると文政府はまた別の政策アリバイ探しに出た。2018年8月文前大統領は「雇用の量と質が改善された」と話した。「常用職が増えた」という解釈を付けながらだ。言葉だけ聞くと正規職のような良質な雇用が増えたような気がする。とんでもない話だ。正規職と非正規職は雇用の形態で区分する概念だ。

常用職は臨時職や日雇いと区分する概念にすぎないため正規職とは何の関係もない。1年以上働けば全員常用職に分類される。労働期間が3カ月なら臨時職、一日ならば日雇いだ。アルバイトを1年以上やっても常用職で、飲食店で働く人、環境美化員、家事手伝い(メイド)も常用職であるのは同じだ。これが雇用の質と何の関連があるのか、理解できない。事実、歴代すべての政府で常用職は増加してきた。これを巧妙に政策失敗を覆うための包装紙に利用したのだ。なのに文政府では常用職増加傾向にもブレーキがかかった。2018年には前年より32%も減った。


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