アルメニアの国旗
両国はこの地域で大小の衝突を続けてきた。2020年に6週間の全面戦争の末にアゼルバイジャンが領土の大部分を掌握し、同地域のアルメニア人の孤立が深刻化した。当時ロシアが仲介した停戦協定の一環でナゴルノカラバフとアルメニアを結ぶ唯一のルートであるラチン回廊を通じて住民に向け食料と医薬品が供給された。
しかし最近アゼルバイジャンが回廊を封鎖し住民らが栄養失調に苦しめられるなど危機が深刻化していた。国際刑事裁判所(ICC)の元首席検事ルイス・モレノ・オカンポ氏はアゼルバイジャンの回廊封鎖に対し「現在進行中の大量虐殺」と非難した。
専門家らは今回の事態が「ロシアの裏庭」の権力力学変化を見せた事件だと評した。国際危機グループ(ICG)のロシア担当アナリストであるオレク・イグナトフ氏は「アゼルバイジャンの攻撃は南カフカスの状況に対しロシアが地域紛争を防ぐ能力を喪失したことを見せている」とした。
これまでアゼルバイジャンはトルコの支援を受けており、アルメニアはロシアをパートナーとして勢力バランスを保っていた。しかしロシアがウクライナ侵攻で足止めされるとアゼルバイジャンは「領内のグレーゾーンをなくす」と乗り出したのだ。
ロシアの影響力が減り、アルメニアは米国と西側に手を差し出している。今月初めにアルメニアは首都エレバン郊外で10日間にわたり自国軍と米陸軍欧州・アフリカ司令部の兵士との合同軍事演習をした。
◇米国、24時間以内に外交介入の可能性
国際社会は両国に「武力衝突を中断し対話を再開すべき」と促した。欧州連合(EU)のボレル外務・安全保障政策上級代表(外相)はこの日の声明で、「軍事活動を中断するよう促す。平和と(関係)正常化対話に有利な環境を作るには暴力を止めなければならない」とアゼルバイジャンを糾弾した。
米国務省高官はAFPに「今後24時間以内にブリンケン長官がアルメニアとアゼルバイジャンの緊張問題をめぐり外交的に関与する可能性が大きい」とした。また別の国務省関係者も「今回の事案は深刻で危険なため米国はすべての当事者と接触するだろう」と明らかにした。
フランスのマクロン大統領は紛争解決に向け国連安全保障理事会会議を招集しなければならないと明らかにした。ドイツ政府もやはりアゼルバイジャンが軍事的行動に頼らないという約束を破ったと非難した。
ロシアの裏庭で「武力衝突」アゼルバイジャンとアルメニア、停戦に合意(1)
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