世界的サプライチェーンをめぐる米国と中国の争いが激化する見通しだ。米国が中国を狙った半導体輸出統制をますます引き締める中で、中国は１日から次世代素材に挙げられるガリウムとゲルマニウムに対する輸出統制を始めた。市場では中国の措置がすぐに世界のサプライチェーンに及ぼす影響は大きくないとみながらも、中国が別の鉱物に「資源武器化」戦線を広げるかもしれないと懸念する。

新華社通信などによると、中国商務部はこの日からガリウムとゲルマニウムに対する輸出統制措置に入った。中国でこの金属を輸出するにはだれが輸入しようとしているのか商務部に詳しく報告した後に国務院の許可を受けなければならない。グローバルタイムズはこの日、「今回の措置により最初に影響を受ける企業は中国に類似の規制を加えて核心利益を害した国の企業だろう。米国と欧州が他の国を取り締まるために輸出統制のような措置を使ったように、中国も自国の利益に沿って統制を使う権利がある」と主張した。今回の措置が中国を相手に貿易制裁を続けてきた西側を狙った報復であることを明確にしたのだ。

米国と中国のサプライチェーン競争は最近深化している。米国は昨年１０月から１８ナノメートルＤＲＡＭ、１４ナノメートル以下のシステム半導体など先端半導体の対中輸出を統制している。世界的な半導体装備会社を持つ日本とオランダを圧迫し米国と同水準の輸出統制措置を導入させた。日本は先月から露光装置など先端半導体製造装備に対する輸出規制を始め、オランダは来月から半導体装備企業が特定の装備を輸出する際に当局の許可を受けるよう義務付けた。


米国のバイデン政権はさらに対中半導体輸出統制範囲を２８ナノメートル以上の旧世代半導体であるレガシーチップに拡大し、半導体、人工知能（ＡＩ）、量子コンピュータ分野などで米国企業の対中投資を禁止する措置に出るという。中国の先端技術開発とそれに必要な財源であるドル流入も防ぐという趣旨だ。

中国は資源供給を防ぎ西側の先端製品生産を困らせる戦略で対抗している。中国は世界のガリウム生産量の９４％、ゲルマニウム生産量の６７％以上を占める最大の生産国だ。ガリウムは次世代半導体、太陽光パネル、有機ＥＬ、電気自動車に使われてゲルマニウムは光ファイバー通信、半導体工程用ガス素材などに使われる。

ただ今回の措置が業界に及ぼす影響は大きくない見通しだ。ガリウムはまだ研究段階で主に使用され、ゲルマニウムは他の国でも供給できるためだ。米国の窒化ガリウム（ＧａＮ）半導体企業のナビタスセミコンダクターは「中国の輸出統制は事業に悪影響を及ぼさないだろう」という立場を出した。中国の措置が「警告射撃」水準という評価が出ている理由だ。

問題は世界の鉱物市場を掌握した中国が戦線を拡大する場合だ。欧州連合（ＥＵ）の核心原材料報告書によると、２０１６～２０２０年に中国が生産１位を占めた鉱物はレアアース１５種を含む核心原材料５１種のうち３３種だ。特に原子番号が高く重くて高価なレアアースであるテルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、ルテニウムなど１０種類は中国のシェアが１００％だ。

魏建国元中国商務次官は先月チャイナデイリーとのインタビューで「ガリウムとゲルマニウムの統制は反撃の開始にすぎない。中国は（先端技術産業に）もっと大きな困難を与えられる能力がある」と話した。