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【コラム】危機の韓国経済、生きる道は科学技術力

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
韓国経済が危険だ。今年1-3月期の韓国経済は前四半期比0.3%の成長にとどまった。昨年10-12月期-0.3%で逆成長したことに続く低成長だ。半導体などの輸出の勢いがしぼんでしまった。先月の輸出は522億ドル(約7兆2700億円)で、昨年同期比15.2%減って8カ月連続で減少した。問題は輸出主力商品の競争力がますます弱まっている点だ。全国経済人連合会(全経連)の調査の結果、輸出トップ10品目のうち半導体など電子機器、機械、自動車、船舶など7品目の輸出競争力が過去10年間で低下した。

韓国経済を支えていた中国特需も消えた。韓国はそれまで中国に中間材や部品を供給して中国成長の恩恵を享受してきた。ところで今では中国の技術力が高まり、価格競争力がある自国製品を使って韓国製の中間材・部品を買わなくてもよくなった。その結果、韓国輸出の30%を占めていた対中輸出が12カ月連続で減少した。

成長基盤も弱まっている。今年1-3月期の合計出生率は0.78で歴代最低水準を記録した反面、生産可能人口(15~64歳)100人に対する高齢(65歳以上)人口比重を意味する高齢者扶養率は26.1人で歴代最高水準だ。働く人は減っているのに彼らが養わなければならない老年層は急速に増加している。


国際格付け機関ムーディーズは「韓国経済成長の長期的なリスクは人口統計学的圧力が大きくなること」としながら韓国の潜在成長率が2025年以後、約2.0%水準に鈍化すると予想した。韓国開発研究院(KDI)は昨年下半期の経済展望で「2020年代以降、人口減少や急速な高齢化などの人口構造変化で成長は次第に鈍化して2050年には経済成長率が0.5%水準に下落するだろう」と展望した。

少子高齢化は韓国の未来展望を暗くしている。イ・ヨンウクKDI研究委員によると、「子女世代の社会経済的地位が高まる可能性がある」と回答した比率は2011年41.7%から2021年30.3%へ10%ポイント以上減った。

高所得層と低所得層の所得格差はさらに広がっている。統計庁が先月25日に発表した2023年1-3月期の家計動向によると、所得上位20%である第V階級世帯の実質所得は1年前より1.2%増加した反面、所得下位20%である第I階級世帯の実質所得は1.5%減少した。

韓国が直面した危機を克服するには成長基盤を広げることが急務だ。まず少子高齢化を緩和する政策が必要だ。保育・教育政策を改革して子女を産み育てやすい環境を作らなければならない。今は子女を産み育てるために非常に多くの時間と金が必要だ。「一人の子どもを育てるには地域の力が必要だ」という言葉のように育児は個人ではなく共同体・国家が責任を負わなければならない。また、私教育に頼らなくても子女教育に大きな問題がないように公教育が本来の役割を果たさなくてはならない。両親が老後に備えることができないほど子女私教育に投資しなければならない国は正常ではない。持続可能な高齢化社会のための年金改革と定年延長、移民拡大が必要だ。どれも抵抗が難しい事案だ。しかし現在の危機状況を克服するには必要な改革だ。

特に成長潜在力を高めるには科学技術人材の養成が切実だ。半導体・バッテリー・人工知能など未来産業の競争力は人材養成にかかっている。ところで医大に行こうと理工系を忌避する現象が深刻だ。韓国の未来産業エコシステムに致命的だ。理工系優待政策とあわせて医大定員を増やして医師不足を解消し、医師の希少性を緩和する必要がある。

これと合わせて中産層を厚くする政策が必要だ。中産層は国家を支える砦だ。中産層が崩壊すれば社会は両極化して深刻な葛藤に陥る可能性がある。貧富の差が激しい中南米で投票者の心を狙ったポピュリズム政策で国家が秩序を失う事例が少なくない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が先月23日の国務会議で「厚い中産層は国家の安全弁」としながら「政府は活気に満ちた市場政策で良質の雇用を数多く創出することによって脆弱層が中産層に厚く編入されるように努力する」と明らかにしたのは望ましい方向だ。

脆弱層が中産層へと活発に移動するには政治的・経済的包容性が大きくならなければならない。政治的包容性と経済的包容性は互いリンクして正のスパイラルとなる。韓国は経済成長と民主主義争奪を通じて政治的・経済的包容性を拡大してきた代表的な国家だ。選挙で二大政党が大きくなりすぎたり群小政党が小さくなりすぎたりしないように選挙制度改編を通じて政治的包容性を拡大して、過度に広がった正規職・非正規職、大企業・中小企業、男女の賃金格差を縮めて経済的包容性を拡大する政策が必要だ。

チョン・ジェホン/国際外交安保エディター



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