◆韓国は敗退したが、８強・４強・決勝戦の現場報告書が必要

『懲ヒ録』と『西遊見聞』は失敗から学び、先進文化から学ぼうという本だ。ＷＢＣ１次ラウンドで敗退した後、私は韓国野球関係者が８強チームが集まるマイアミに行くかどうかが気になった。しかし誰が行ってどんなリポートがあるという話は聞こえなかった。あまり関心がないようだった。『懲ヒ録』は過去の過ちを警戒して後難を防ぐという趣旨で壬辰倭乱（文禄・慶長の役）の痛みを記録した国宝だ。『西遊見聞』も似ている。野球の先進国は韓国ではない。規模もそうだが、産業的、文化的に米国、日本が進んでいる。それを知ろうということだ。学んで真似るのはその次だ。

大谷は学校だけで学んだのだろうか。彼はインタビューに答える時「最近読んだ本では…」として引用をよくする。日本、米国の書店に行くと、多くの野球の本が並んでいるのに驚く。自ら知識を身につけて蓄積できる本という「道具」が十分にある環境だ。韓国社会は野球を、スポーツを、文化的・社会的知識の分野と考えない。試合をする人たちの専門的な領域として見る。なら、野球界がそのような試みをするべきだが、現実はその逆だ。現場の関係者、指導者（私はこの表現をぎこちなく感じる）は技術を強調し、「野球人」という不明確なアイデンティティを強調し、既得権に友好的な構造をさらに強める。野球を習う学生は、本や他の装置を通して素養を高める環境に近づきにくい。韓国の野球には、球速１６０キロを投げる能力よりも、そのような知識・素養を身につけることができる教育・文化的な環境が切実だ。


◆我々のスポーツリテラシー、その文化のために

読んで、書いて、話す能力。すなわちリテラシーはその分野の文化を築き、結局、人の差をつくる。最近、現役から引退した我々のレジェンドの中には「話す人（Ｔａｌｋｅｒ）」が多いのに対して「行動する人（Ｄｏｅｒ）」は少ない。断片的な比較かもしれないが、日本の野茂英雄、イチローのようなレジェンドが社会人野球、青少年野球に注ぐ努力と我々のレジェンドが娯楽番組に出演して見せる姿はかなり異なる。

１９９３年にプロサッカー「Ｊリーグ」を発足させた当時「Ｊリーグ百年構想」というビジョンを提示した日本は、２０１４年に「侍ジャパン」という国家代表野球ブランドと運営組織を新設した。この組織とシステムを通じて幼少年、女子野球から青少年、成人野球代表チームがシステム的に運営される。こうした生態系の体系化は結局、その社会が野球という文化を持続的に成長、発展させる基礎となる。我々があるビジョンを持ち、それに真摯に取り組むのなら、これを推進するための計画を体系的に設計、実行し、そのビジョンを成し遂げるまであきらめてはいけない。ここで私は韓国野球界の方々に尋ねたい。「我々は野球に真摯なのか？、それは目的なのか、手段なのか？」。

イ・テイル／スポーティズン副社長


【コラム】韓日戦、野球で負けた？　本当の理由を教えてくれる大谷の「リテラシー」（１）