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「なぜドルが世界を支配するのか」徐々に勢力伸ばす中国人民元

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

米国のドル

米国のドル覇権に亀裂が生じている。中国はドル依存度を低くしようとする国を中心に「人民元国際化」の速度を高めている。

「毎晩私はなぜすべての国がドルを基盤に貿易しなければならないのか自問した」。中国を国賓訪問したブラジルのルラ大統領は13日、上海の新開発銀行(NDB)での演説でこのように話した。「なぜわれわれは自国通貨で貿易できないのか。金本位制が消えた後ドルを(国際通用)通貨に決めたのはだれだったのか」と指摘しながらだ。

主要外信が17日に伝えたところによると、最近中国とブラジルは両国間の貿易で「脱ドル」の動きを本格化した。両国間の取引で人民元とブラジルの通貨レアルを使うことに合意したもので、ドルを回避する大規模貿易金融取引と評価される。中国は2009年からブラジルの最大の貿易相手となり、ブラジルは中国にとって10番目の貿易パートナーだ。中国は昨年ブラジルから900億ドル相当の商品を輸入した。


人民元は国際貿易金融でシェアを高めている。国際銀行間通信協会(スイフト)の貿易金融データによると、市場価値基準で人民元のシェアは2月に4.5%で、1年前より2倍以上高まった。シェア6%を占めるユーロと競争構図を形成する見通しだ。反対にドルのシェアは1年前より2.5ポイント下落した84.3%と集計された。シンガポール銀行のチーフエコノミスト、マンスール・モヒウディン氏は「相当な動き」と評価した。

専門家らはロシアのウクライナ侵攻という地政学的原因に注目する。西側の制裁を受けることになったロシアが人民元を支払い手段に使ったためだ。中国とロシアの貿易額は昨年1850億ドルで過去最大を記録した。先月プーチン大統領は「習近平主席と設定した貿易額2000億ドルの目標が2024年ではなく今年実現されると信じる」と期待した。

さらに中国は中東の産油国とも密着し人民元の勢力を拡張している。特に昨年の習主席のサウジアラビア国賓訪問後に人民元の支配力が拡大している。中国輸出入銀行は先月サウジアラビア国営銀行に貿易代金決済用として人民元貸付を初めて実施した。サウジ国営企業アラムコは中国の民間石油会社の栄盛石化の株式10%を総額246億元で取得し人民元を使うことにした。エネルギー取引には慣行的にドルを使ったが、人民元が亀裂を起こしている格好だ。

この1年間の米連邦準備制度理事会(FRB)の急激な利上げも人民元国際化を加速した原因に挙げられる。ドル高で米国以外の国の資金調達費用が大きくなり、相対的に人民元人気が高まったという解釈だ。特に為替変動に敏感な新興国を中心に「ドル覇権」に不満が募った。マレーシアのアンワル首相は「ドルに依存し続ける理由はない」として中国とアジア版の国際通貨基金(IMF)となるアジア通貨基金(AMF)の創設を議論したと明らかにしている。

中国は新興国に対する救済金融を増やすなど「チャイナマネー」の威力を育ててきた。ニューヨーク・タイムズは中国が2000年以降に経済難に陥った国に提供した緊急資金は2400億ドル規模だと報道した。緊急資金の基準通貨は90%以上が人民元だ。中国の中央銀行である人民銀行は人民元を貸し付ける際に通貨スワップ協定を結ぶ。債務国が負債を返す時はドルを使い、自国の中央銀行には人民元を積むようにしようとする意図だ。

ただ人民元がドルに代わる水準まで支配力を拡大できるかに対してはまだ先は長いというのが大半の意見だ。中国が厳格な資本統制を施行しており、人民元の信頼度と透明性が落ちるという指摘からだ。

米ジョージ・メイソン大学のタイラー・コーエン教授は「資本市場が開放されない限り、人民元はドルの強力な競争者になれない」と指摘した。ドルを他の通貨で代替する「出口障壁」が高いという評価も出ている。米国の経済規模が大きく他の国との貿易関係も中国よりはるかに幅広いためだ。米国の経済学者ピーター・アール氏は「脱ドルが数十年続いても人民元が世界の機軸通貨になる可能性は希薄だ」とみている。



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