[外為市場・証券市場緊急診断]日本・中国専門家インタビュー
世界で3番目に多く取引される基軸通貨の円と東南アジアの最大貿易相手国である中国の人民元がこのところ尋常でない。円は一時1ドル=145円まで値を下げ25年ぶりの安値を記録し、人民元はマジノ線とされる1ドル=7元を超えた。円・人民元ともに価値が下落するのは韓国をはじめと原材料輸入と輸出で生きるアジア全域に大きな影響を及ぼす。第2のアジア通貨危機になりかねないという分析まで出ている。ブルームバーグは25日、「円と人民元がともに急落して市場に対する恐怖を育て、1997年の通貨危機のように大規模資金離脱が発生する可能性がある」と警告した。ゴールドマン・サックスのエコノミストを務めたジム・オニール氏も1ドル=150円を突破すれば通貨危機水準の混乱を呼びかねないと予測した。彼は特にウォンをフィリピン・ペソ、タイ・バーツとともに最も弱い通貨のひとつに選んでいる。問題は円・人民元の下落を防ぐこれといった方法がない点だ。日本の経済学者と中国の専門家に円・人民元の影響などを尋ねた。
「手の打ちようがない」。
早稲田大学政治経済学部の深川由起子教授(副学長)は最近の円急落について「日本の国家財政はすべて使い果たし、負債が多く長期金利を凍結し続けるほかない」としてこのように話した。世界が政策金利を上げベルトをきつく締めているが、日本は依然としてゼロ金利を維持している。日本の国の債務は1065兆円で、日本の財務省によると金利が1%上がれば利子負担は2025年基準で3兆7000億円増加する。世界知識フォーラム参加のため韓国を訪れた深川教授と先月21日にソウルで会った。深川教授は日本貿易振興機構(JETRO)と長期信用銀行研究所(LTCBR)で勤務し、産業構造審議会、経済産業省などで政府諮問活動をしたりもした。
Q:円下落に懸念の声が大きい。
A:「一時的に1ドル=150円まで進みそうだ。だが150円まで落ちても政府が無理に介入するのは難しい。いくら外貨が多くてもヘッジファンドと戦って外貨を全部使ってしまえば通貨危機に広がりかねないためだ。下落を見守りウクライナ情勢など周辺状況がある程度整理されれば調整するしかなさそうだ」。
Q:ただ手をこまねいていることはできないのではないか。
A:「150円までは政府が無理に介入する理由がない。ただ160円、170円になれば政府が当然何かをするだろう。可能性が最初からないとは言えないが、160円、170円まで進むという観測は事実多くない。為替相場は金利差だけで動くのではなく物価の影響もあるが、日本の物価上昇速度は遅い方だ」。
Q:円安が日本経済に役立つか。
A:「経済全体として見れば、円高よりは円安が役立つ。このところ観光業界は好況だが、こうした部分が成長が停滞した日本経済には多いに役立つとみられる。ただ正常な状況ならば円安で輸出もやはり大きく増えなくてはならないが、現在はそうしたことを期待するのは難しい状況だ。緊縮に対する懸念で世界経済が萎縮しているためだ。しかも日本は内需市場が堅固で韓国のように輸出依存度が高い国でもない」。
Q:円安政策は続くだろうか。
A:「過去の円安政策は理由のない円高を統制しなければならないという側面で選択の余地がなかった。しかしいまは過度に円の価値が低くエネルギー不安が拡散している。日本企業は国際原油価格高騰と円安で負担が2倍になった。日本銀行の黒田東彦総裁が円安政策であるアベノミクスの代表人物であるのは事実だが、合理的な手段が必要ならば措置を取るというのが公式立場だ。円安を維持するというのではなく、いまは手の施しようがないためとりあえずは(円安を)見守るのだ。日本の立場ではいまが機会だ。他の国に比べ金利が安いので海外資本誘致や日本企業の国内投資を引き出さなければならない。そのようにできれば当初円安政策が意図した効果も最大化できる」。
Q:ウォン下落はどのように見るか。
A:「韓国は1997年の通貨危機当時のように負債の国ではない。むしろ資産が多い。だからウォン下落に敏感にならざるをえないが、それでも過度に通貨危機の記憶を召還しているようだ。米国に韓米通貨スワップを提案したというが、どうしてそのように考えたのだろうか。米国は(韓米通貨スワップを)まったく考えていないだろう。2008年は米国が厳しい時期だったので通貨スワップをした側面がある。最近は『米国だけ生きれば良い』という認識が強い。そして米国が韓国とだけ通貨スワップを締結する理由もない」。
Q:韓国経済は危機に進まないという話なのか。
A:「そうだ。そのような可能性は低い。ただ韓国の不動産価格が急落すればその時は本当に大きな衝撃を受けるかもしれない。家計負債のうち相当量が不良債権になるだろう。財政的に韓国の借金が日本ほど増える恐れがある。それでも韓国は財政的にまだ余裕があり日本よりは状況が良いとみる」。
Q:現在の状況で両国は何をすべきか。
A:「アジア域内自由貿易体系を利用できそうだ。地域的な包括的経済連携(RCEP)も始まった。アジア域内自由貿易体系を利用して半導体や電気自動車などの分野で協力を強化し、おもちゃや服など内需材に品目を広げて貿易を自由にして消費を促進しなければならない。自由貿易効果を十分に得られるよう韓日中が役割をする時だ」。
世界で3番目に多く取引される基軸通貨の円と東南アジアの最大貿易相手国である中国の人民元がこのところ尋常でない。円は一時1ドル=145円まで値を下げ25年ぶりの安値を記録し、人民元はマジノ線とされる1ドル=7元を超えた。円・人民元ともに価値が下落するのは韓国をはじめと原材料輸入と輸出で生きるアジア全域に大きな影響を及ぼす。第2のアジア通貨危機になりかねないという分析まで出ている。ブルームバーグは25日、「円と人民元がともに急落して市場に対する恐怖を育て、1997年の通貨危機のように大規模資金離脱が発生する可能性がある」と警告した。ゴールドマン・サックスのエコノミストを務めたジム・オニール氏も1ドル=150円を突破すれば通貨危機水準の混乱を呼びかねないと予測した。彼は特にウォンをフィリピン・ペソ、タイ・バーツとともに最も弱い通貨のひとつに選んでいる。問題は円・人民元の下落を防ぐこれといった方法がない点だ。日本の経済学者と中国の専門家に円・人民元の影響などを尋ねた。
「手の打ちようがない」。
早稲田大学政治経済学部の深川由起子教授(副学長)は最近の円急落について「日本の国家財政はすべて使い果たし、負債が多く長期金利を凍結し続けるほかない」としてこのように話した。世界が政策金利を上げベルトをきつく締めているが、日本は依然としてゼロ金利を維持している。日本の国の債務は1065兆円で、日本の財務省によると金利が1%上がれば利子負担は2025年基準で3兆7000億円増加する。世界知識フォーラム参加のため韓国を訪れた深川教授と先月21日にソウルで会った。深川教授は日本貿易振興機構(JETRO)と長期信用銀行研究所(LTCBR)で勤務し、産業構造審議会、経済産業省などで政府諮問活動をしたりもした。
Q:円下落に懸念の声が大きい。
A:「一時的に1ドル=150円まで進みそうだ。だが150円まで落ちても政府が無理に介入するのは難しい。いくら外貨が多くてもヘッジファンドと戦って外貨を全部使ってしまえば通貨危機に広がりかねないためだ。下落を見守りウクライナ情勢など周辺状況がある程度整理されれば調整するしかなさそうだ」。
Q:ただ手をこまねいていることはできないのではないか。
A:「150円までは政府が無理に介入する理由がない。ただ160円、170円になれば政府が当然何かをするだろう。可能性が最初からないとは言えないが、160円、170円まで進むという観測は事実多くない。為替相場は金利差だけで動くのではなく物価の影響もあるが、日本の物価上昇速度は遅い方だ」。
Q:円安が日本経済に役立つか。
A:「経済全体として見れば、円高よりは円安が役立つ。このところ観光業界は好況だが、こうした部分が成長が停滞した日本経済には多いに役立つとみられる。ただ正常な状況ならば円安で輸出もやはり大きく増えなくてはならないが、現在はそうしたことを期待するのは難しい状況だ。緊縮に対する懸念で世界経済が萎縮しているためだ。しかも日本は内需市場が堅固で韓国のように輸出依存度が高い国でもない」。
Q:円安政策は続くだろうか。
A:「過去の円安政策は理由のない円高を統制しなければならないという側面で選択の余地がなかった。しかしいまは過度に円の価値が低くエネルギー不安が拡散している。日本企業は国際原油価格高騰と円安で負担が2倍になった。日本銀行の黒田東彦総裁が円安政策であるアベノミクスの代表人物であるのは事実だが、合理的な手段が必要ならば措置を取るというのが公式立場だ。円安を維持するというのではなく、いまは手の施しようがないためとりあえずは(円安を)見守るのだ。日本の立場ではいまが機会だ。他の国に比べ金利が安いので海外資本誘致や日本企業の国内投資を引き出さなければならない。そのようにできれば当初円安政策が意図した効果も最大化できる」。
Q:ウォン下落はどのように見るか。
A:「韓国は1997年の通貨危機当時のように負債の国ではない。むしろ資産が多い。だからウォン下落に敏感にならざるをえないが、それでも過度に通貨危機の記憶を召還しているようだ。米国に韓米通貨スワップを提案したというが、どうしてそのように考えたのだろうか。米国は(韓米通貨スワップを)まったく考えていないだろう。2008年は米国が厳しい時期だったので通貨スワップをした側面がある。最近は『米国だけ生きれば良い』という認識が強い。そして米国が韓国とだけ通貨スワップを締結する理由もない」。
Q:韓国経済は危機に進まないという話なのか。
A:「そうだ。そのような可能性は低い。ただ韓国の不動産価格が急落すればその時は本当に大きな衝撃を受けるかもしれない。家計負債のうち相当量が不良債権になるだろう。財政的に韓国の借金が日本ほど増える恐れがある。それでも韓国は財政的にまだ余裕があり日本よりは状況が良いとみる」。
Q:現在の状況で両国は何をすべきか。
A:「アジア域内自由貿易体系を利用できそうだ。地域的な包括的経済連携(RCEP)も始まった。アジア域内自由貿易体系を利用して半導体や電気自動車などの分野で協力を強化し、おもちゃや服など内需材に品目を広げて貿易を自由にして消費を促進しなければならない。自由貿易効果を十分に得られるよう韓日中が役割をする時だ」。
この記事を読んで…