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【コラム】ヘンリー王子の『スペア』

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

ヘンリー王子の回顧録『スペア』

英国で最近最も話題の本は、ヘンリー王子が書いた回顧録『スペア(Spare)』だ。出版初日の1月10日(現地時間)、40万部が売れた。これはノンフィクション部門で歴代1位の記録だという。この本の人気の秘訣は相当な水準の暴露のおかげだ。自分の性生活や麻薬経験だけでなく、父親のチャールズ3世とカミラ王妃の再婚や兄ウィリアム皇太子との物理的衝突なども詳細に書かれている。家族に対する攻撃的内容が少なくない。このような意図はタイトルからもある程度表れている。『スペア』は「代替財」「予備」などを意味する言葉だ。ヘンリーは自分の存在が兄ウィリアムの非常時に備えた代替品のような待遇を受けて育ったと吐露した。

長男相続制は東アジアだけでなく、欧州王族や貴族も同じだった。そのため、長男以外には自らチャンスを創り出さなければならなかった。司祭になって宗教界の指導者になるか、新大陸の開拓が代表的だ。西アフリカ沿岸航路を開拓し、大航海時代を切り開いたエンリケ航海王子もジョアン1世の三男だった。

それでも近代以前は「スペア」らにもチャンスが少なかった。例えば、朝鮮27人の王の中で正常に長男が王位を継承した場合は、文宗(ムンジョン)、端宗(タンジョン)、燕山君(ヨンサングン)、仁宗(インジョン)、顕宗(ヒョンジョン)、粛宗(スクジョン)、景宗(キョンジョン)の7人に過ぎなかった。しかし、医療技術の発達などで変数が少なくなり、長男の他に王位が受け継がれるケースはますます減った。また、過去のように宗教界や新大陸を図ることも容易ではない環境だ。ヘンリー王子は王室の物語を売って富を生み出すスペアの現代的モデルを作ったのかもしれない。


ユ・ソンウン/文化部記者



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