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【韓国、加速する民間宇宙時代】初の民間宇宙ロケット打ち上げへ(1)

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版

打ち上げ台設置に先立ち最終点検中の試験ロケット「ハンビットTLV」。高さ16.3メートル、直径1メートル、重さ8.4トンの1段ロケットだ。[写真 イノスペース]

19日午後6時、民間企業が宇宙開拓を主導する「韓国版スペースX」時代の幕が上がる。この日韓国の宇宙ロケット製造スタートアップのイノスペースは独自開発したエンジン検証用試験ロケット「ハンビットTLV」を初めて大気圏と宇宙の境界とされる上空100キロメートルの準軌道に打ち上げる試験を行う。イノスペースは打ち上げ試験を通じ、現在開発中の韓国初の民間宇宙ロケットで、2段型小型衛星ロケットである「ハンビットナノ」に使われる15トン級ハイブリッドロケット(固体燃料と液体酸化剤使用)エンジンの正常稼動と推進力などの性能を検証するという構想だ。

◇韓国には手続き・法規なくブラジルで打ち上げ

打ち上げ場所はブラジルのアルカンタラ宇宙センター。イノスペースは準備状況と気象条件などを考慮してブラジル空軍との最終協議を経て打ち上げ日時を確定した。純国産技術で作られたロケットなのに打ち上げはなぜ韓国ではなくブラジルでするのか。「2019年から打ち上げ試験場を訪ね歩いたが韓国国内には民間がロケットを打ち上げられる所がなかった。関連手続きや法規もなかった。このためブラジル政府にあてもなく連絡し、ブラジル政府の肯定的な検討の末に年末の打ち上げ試験が承認されたとイノスペースのキム・スジョン代表が6月の中央SUNDAYとのインタビューで語っている。


今回の打ち上げ試験に成功すればイノスペースは世界的顧客確保に弾みが付く見通しだ。この会社はハンビットナノを通じ2024年に1回当たり打ち上げ費用20億ウォンで50キログラムの衛星を500キロメートル上空まで打ち上げる衛星打ち上げ事業を始める計画だ。これまで国(政府)を中心に進められた韓国の宇宙産業の歴史が最近このように民間主導にシフトしている。韓国版スペースX時代の序幕といえるほどだ。スペースXはテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が設立した米国の宇宙探査企業だ。この会社は2020年に世界で初めて民間有人宇宙探査時代を開き、軌道ロケットの100回以上の再使用にも成功するなど21世紀の世界的な宇宙産業基調である民間中心の宇宙開発で尖兵の役割をしている。米国の非営利宇宙機関スペースファンデーションによると、現在世界の宇宙産業の割合は各国政府が21%にすぎないのに対し、民間が79%に達する。

しかし韓国はこれまで官主導の20世紀型宇宙産業のパラダイムに閉じ込められこうした世界的な流れに参加できていなかった。宇宙産業で民間主導に進めるのがなぜ重要なのだろうか。建国(コングク)大学航空宇宙情報システム工学科のイ・チャンジン教授は「韓国は政府が30年余りにわたり宇宙開発に力を入れ、『ナロ号』『ヌリ号』『タヌリ号』の打ち上げ成功など注目するほどの成果を出した」としながらも、「こうしたハードウエア技術を足がかりに試みることができる経済的需要創出の面ではまだ物足りなさがある」と話す。先進国の技術発展速度に追いつきながら究極的には収益実現という宇宙産業の先進化構造を作るには民間の果敢な革新が必須という話だ。

実際に韓国の宇宙産業売り上げは2017年の4兆1457億ウォンから2020年に3兆4293億ウォンと3年間でむしろ17%ほど減った。各国が過去の冷戦時代を経ながら国家的自尊心または安全保障の領域だと考えていた宇宙産業を民間中心に育成中なのも商業化の重要性のためだ。航空宇宙産業の付加価値率(付加価値の出荷額に対する割合)は48%で、全産業のうち「21世紀の産業のコメ」と呼ばれる半導体の64%に次いで2番目に高い。それだけ高付加価値産業であり、民間の革新を燃料にして新たな収益源として育てようとするのだ。このように民間が主導した世界の宇宙産業規模は2017年の3835億ドルから2020年には4470億ドルと3年間で14%成長した。

◇エンジン・開発など韓国の民間技術力は世界水準

事実韓国の民間の技術力は世界市場に挑戦できるほど上がってきた。1999年に韓国初の液体エンジンロケットを開発したハンファエアロスペースは今年打ち上げに成功したヌリ号に使われるエンジン6基を開発した。1段75トン級4基、2段75トン級1基、3段7トン級1基など合計300トン級の推進力で1.5トン級の衛星を上空600~800キロメートルまで打ち上げる先進核心技術力を30年ほどで備えた。ハンファエアロスペースは来年から2031年までヌリ号の後続次世代ロケット「KSLV3」と、これに使われる100トン級エンジンの開発に乗り出す。同社のシン・ヒョンウ代表は「韓国政府の2030年無人月探査目標に合わせヌリ号より輸送力を3倍に拡大した未来先導技術確保にまい進するだろう」と明らかにした。


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