１４日にサッカー・ワールドカップ（Ｗ杯）カタール大会アルゼンチンとクロアチアの準決勝戦が開かれたカタールのルサイルスタジアム。アルゼンチンが３－０でリードする中で主審の試合終了のホイッスルが鳴ると、アルゼンチンのリオネル・スカローニ監督（４４）はベンチを飛び出しグラウンドに駆け付けた。息を切らすアルゼンチンの攻撃手リオネル・メッシ（３５）を抱きしめ熱い涙を流した。メッシは明るく笑いながらスカローニ監督の背中をたたいた。

スカローニ監督は今大会に出場した３２カ国の監督で最も若い。彼は２０１８年のロシア大会直後にアルゼンチン代表チーム監督を引き受けた。アルゼンチンはロシア大会で１勝１敗１分けの不安な成績でベスト１６に上がり、結局フランスに３－４で敗れ脱落した。エースのメッシはフランスを相手にしたゴールも決められない不振にアルゼンチンのファンからの叱責を受けた。スカローニ監督は引退まで考慮したメッシを説得した。スカローニ監督は現役時代にメッシとともに２００６年のドイツ大会にともに出場した経験がある。当時メッシは初めてＷ杯のステージを踏んだ１９歳の新鋭だった。スカローニ監督は兄のような存在だった。２人は名前もリオネルで同じだ。

メッシを引き留めたスカローニ監督は果敢に世代交代を断行して新旧調和を作り出した。華麗な「ポゼッションサッカー」を捨て、強い圧迫と速い逆襲で勝利を勝ち取る「実用サッカー」をアルゼンチン代表チームに移植した。この日もクロアチアを相手にボール支配率では３８％と押されたが、速い攻撃を展開して有効シュート数ではむしろリードした。アルゼンチンは６本のうち３本をゴールにつなげた。クロアチアは２本の有効シュートだけ記録した。


スカローニ監督は特に「メッシ使用法」を最もよくわかっている指導者だ。戦術的にメッシを最もうまく活用するという意味だ。メッシがポジションとフォーメーションにしばられないようにフリーロールを与えた。グラウンドのあちこちを自由に駆け回るメッシは守備が集まればチームメートにチャンスを作り、チャンスがきた時は直接鋭いシュートを飛ばした。ファンらは「所属チームで勢いよく飛び回り代表チームでは縮こまっていたメッシが変わった。全盛期級の試合力」としながら喜んだ。メッシ率いるアルゼンチンはカタール大会を控え３６試合連続無敗（２７勝９分け）を記録した。特に昨年の南米サッカー選手権コパ・アメリカでチャンピオンとなり、メッシはメジャー大会での無冠を脱した。メッシは今大会５ゴール３アシストでスカローニ監督の信頼にこたえた。同時に生涯の夢だった初めてのＷ杯優勝まであと１勝を残すだけとなった。

スカローニ監督は「メッシが最高の選手であるという点は疑う余地がない。彼とともにやるのは光栄なこと。アルゼンチン国民としてＷ杯優勝は常に夢見てきたことだ。国民は私たちを熱烈に声援している。歴史を新たに書きたい」と誓った。