米国は再び自由世界の指導力を回復し、民主主義同盟に対する長期ビジョンを提示しようと努力している。5月に発足した尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府は自由・人権・平和・繁栄の価値を掲げ、自由民主主義国家間の連帯を強化することで民主主義同盟を構築する上で中枢的な役割を果たそうとしている。しかし、民主主義同盟をきちんと構築するためには、3つの面で韓国国内体制の整備が必要だ。
第一に、政治家はこの30年間、民主化時代の功罪を深く省察し、政権党は自由民主主義発展2.0計画を提示し、正しい民主主義の政治文化を作り、民主主義を行動で実践することを示さなければならない。
民主化時代において進歩政権は相手政派に対する攻撃機制の発展に集中した結果、功利公論は多かった反面、これといった実質的な民主的業績を残すことができなかった。保守政権は攻撃を繰り返している進歩政派に対して防御メカニズムだけを発達させてきた結果、攻撃側に機会を奪われ、きちんとした防御もできない現象を見せた。ワールドカップ(W杯)で攻撃と守備にバランスが取れてこそ優秀なチームになれるという常識を韓国政治では見当たらない。
米国の民主主義も痛恨の後退経験を経験した。自己中心主義と選挙結果に承服しない反民主的不法性を見せたトランプ氏は、米国民主主義に大きな傷を残した。しかし、米国の有権者は政権を交代し、11月中間選挙でトランプ派の「レッドの波」に対する懸念を静めた。
権威主義政府と差別化される民主主義政府の最大のメリットは賢明な有権者の存在だ。有権者は政治争いに冷静と忍耐を示し、投票を通じて誤った政府の方向打を変えることができる。民主主義をさらに発展させるために、尹錫悦政府は国内政治の慢性的な攻撃・防御の渦に気を使ってはならない。国民が韓国民主主義の真の発展のために求められる事項を収れんして民主主義発展2.0計画を設定し、主導的にアジェンダを設定していき、無口多数の支持層を結集して韓国に真の自由民主主義の文化を定着させ、政治家が社会的責任を果たせる制度を発展させていく必要がある。そうしてこそ、韓国が国際社会で民主同盟の先導的役割を果たすことができる。
第二に、韓国は経済安保をきちんと追求できる国内政策決定体系を整備し、韓米間の定期的戦略経済対話協議体を運営しなければならない。先週ワシントンで開催された第20回韓米世論主導層会議で最も重要な話題となったのは経済安保だった。米国は韓国より先に中国主導のサプライチェーンを阻止し、米国中心のサプライチェーン再編のために経済安保概念を提示した。バイデン政権が経済安全保障を提示し、その最初のターゲットに半導体・バッテリーの米国内リショアリング、米国議会で電気自動車産業の保護のためにインフレ削減法を制定し、排他的な補助金と税額控除の恩恵を決定した。韓国に対しては経済・技術同盟を提案した。
しかし、現在ワシントンでは経済安保概念だけを提示し、民主党の中間選挙と2024年大統領選挙での勝利に向けた機会創出の要素として韓国の投資誘致を活用する段階にとどまっている。米国内でもホワイトハウスや経済部署、産業界、学界などを網羅した極めて緻密で長期的な経済安保戦略を構想し、履行するためのメカニズムを探る段階にある。
韓国はこれまで「経済は中国に、安保は米国に」という考えを持ち、経済的効率性だけを考えて中国投資にすべてをかける時期があり、中国中心のサプライチェーンの構築と経済覇権を狙う中国の地政学的戦略を念頭に入れることができなかった。今や韓国は中長期的国益を反映し、地政学的リスクのないサプライチェーンの構築と経済安保政策・戦略を緻密に策定・履行していく課題を抱えることになった。中国との経済関係では競争分野、協力分野、脱中国化および代案市場構築の分野に区分し、政府・産業界・学界・国会の知恵を総動員して細かい戦略構想と代案を準備する時になった。
また、尹錫悦政府とバイデン政権は包括的戦略同盟の発展という目標の下、中国の経済覇権構想を阻止し、韓米が中心となって両国の経済利益が公平に反映されるサプライチェーンの再編と技術優位を確保するため、韓米間の戦略経済対話協議体を発足させて運営していく時になった。韓米が経済安保戦略と政策作りの過程に共同参加、共同決定、共同利益分配などのメカニズムを構築することが必要だ。
第三に、外交分野では、韓国の対外援助を活用して援助対象国の自由民主主義の向上に向けたインセンティブ提供と韓国に有利なサプライチェーン構築のための戦略資源確保のため、この分野が連携した包括外交政策を作る必要がある。そして、外交人材が軍事・経済・技術・保健・環境など包括安保を担当できる外交力を育てるプログラムを設置し、外交部の編制も包括外交・安保を遂行できる体制に変えていこうとする取り組みが伴われる必要がある。
ハン・ヨンソプ/慶南(キョンナム)大学招へい教授、国防大学元副学長
【韓半島平和ウォッチ】「安保は米国に、経済は中国に」は昔話…経済・安全保障を連携した包括外交の展開を(1)
第一に、政治家はこの30年間、民主化時代の功罪を深く省察し、政権党は自由民主主義発展2.0計画を提示し、正しい民主主義の政治文化を作り、民主主義を行動で実践することを示さなければならない。
民主化時代において進歩政権は相手政派に対する攻撃機制の発展に集中した結果、功利公論は多かった反面、これといった実質的な民主的業績を残すことができなかった。保守政権は攻撃を繰り返している進歩政派に対して防御メカニズムだけを発達させてきた結果、攻撃側に機会を奪われ、きちんとした防御もできない現象を見せた。ワールドカップ(W杯)で攻撃と守備にバランスが取れてこそ優秀なチームになれるという常識を韓国政治では見当たらない。
米国の民主主義も痛恨の後退経験を経験した。自己中心主義と選挙結果に承服しない反民主的不法性を見せたトランプ氏は、米国民主主義に大きな傷を残した。しかし、米国の有権者は政権を交代し、11月中間選挙でトランプ派の「レッドの波」に対する懸念を静めた。
権威主義政府と差別化される民主主義政府の最大のメリットは賢明な有権者の存在だ。有権者は政治争いに冷静と忍耐を示し、投票を通じて誤った政府の方向打を変えることができる。民主主義をさらに発展させるために、尹錫悦政府は国内政治の慢性的な攻撃・防御の渦に気を使ってはならない。国民が韓国民主主義の真の発展のために求められる事項を収れんして民主主義発展2.0計画を設定し、主導的にアジェンダを設定していき、無口多数の支持層を結集して韓国に真の自由民主主義の文化を定着させ、政治家が社会的責任を果たせる制度を発展させていく必要がある。そうしてこそ、韓国が国際社会で民主同盟の先導的役割を果たすことができる。
第二に、韓国は経済安保をきちんと追求できる国内政策決定体系を整備し、韓米間の定期的戦略経済対話協議体を運営しなければならない。先週ワシントンで開催された第20回韓米世論主導層会議で最も重要な話題となったのは経済安保だった。米国は韓国より先に中国主導のサプライチェーンを阻止し、米国中心のサプライチェーン再編のために経済安保概念を提示した。バイデン政権が経済安全保障を提示し、その最初のターゲットに半導体・バッテリーの米国内リショアリング、米国議会で電気自動車産業の保護のためにインフレ削減法を制定し、排他的な補助金と税額控除の恩恵を決定した。韓国に対しては経済・技術同盟を提案した。
しかし、現在ワシントンでは経済安保概念だけを提示し、民主党の中間選挙と2024年大統領選挙での勝利に向けた機会創出の要素として韓国の投資誘致を活用する段階にとどまっている。米国内でもホワイトハウスや経済部署、産業界、学界などを網羅した極めて緻密で長期的な経済安保戦略を構想し、履行するためのメカニズムを探る段階にある。
韓国はこれまで「経済は中国に、安保は米国に」という考えを持ち、経済的効率性だけを考えて中国投資にすべてをかける時期があり、中国中心のサプライチェーンの構築と経済覇権を狙う中国の地政学的戦略を念頭に入れることができなかった。今や韓国は中長期的国益を反映し、地政学的リスクのないサプライチェーンの構築と経済安保政策・戦略を緻密に策定・履行していく課題を抱えることになった。中国との経済関係では競争分野、協力分野、脱中国化および代案市場構築の分野に区分し、政府・産業界・学界・国会の知恵を総動員して細かい戦略構想と代案を準備する時になった。
また、尹錫悦政府とバイデン政権は包括的戦略同盟の発展という目標の下、中国の経済覇権構想を阻止し、韓米が中心となって両国の経済利益が公平に反映されるサプライチェーンの再編と技術優位を確保するため、韓米間の戦略経済対話協議体を発足させて運営していく時になった。韓米が経済安保戦略と政策作りの過程に共同参加、共同決定、共同利益分配などのメカニズムを構築することが必要だ。
第三に、外交分野では、韓国の対外援助を活用して援助対象国の自由民主主義の向上に向けたインセンティブ提供と韓国に有利なサプライチェーン構築のための戦略資源確保のため、この分野が連携した包括外交政策を作る必要がある。そして、外交人材が軍事・経済・技術・保健・環境など包括安保を担当できる外交力を育てるプログラムを設置し、外交部の編制も包括外交・安保を遂行できる体制に変えていこうとする取り組みが伴われる必要がある。
ハン・ヨンソプ/慶南(キョンナム)大学招へい教授、国防大学元副学長
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