韓米が北朝鮮の核・ミサイルの高度化の速度を遅らせるための共助レベルを高める中で、米国政府が暗号資産ハッキングを兵器開発の核心資金源と名指しした。

米政府系ラジオのボイス・オブ・アメリカ（ＶＯＡ）は１９日、マヨルカス米国土安全保障長官が前日に開かれたシンガポール国際サイバー週間サミット（ＳＩＣＷＳ）での演説で、「この２年間に北朝鮮が１０億ドル以上の暗号資産を奪取し兵器開発に使った」と話したと報道した。

マヨルカス長官は特に「北朝鮮が各国の機関を対象にこうしたサイバー強奪行為を行っているがほとんど処罰を受けずにいる」として暗号資産奪取などを通じた北朝鮮の資金源を遮断する構想を持っていることを示唆した。


北朝鮮は高水準の国際制裁のため既存の外貨稼ぎ手段がほとんど遮断されており、世界に向かった全方向ハッキングを新たな資金確保手段に定め積極的に育成している。

北朝鮮が国レベルで介入した代表的ハッキング組織は偵察総局と関連したと推定される「ラザルスグループ」だ。ラザルスは３月にブロックチェーンビデオゲームのアクシーインフィニティで発行した６億ドル相当の暗号資産を奪取した。また、金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長をからかうような映画を作った米ソニーピクチャーズのハッキングとバングラデシュ中央銀行現金奪取事件の背後とも指摘されている。

ハッキングを通じた北朝鮮のサイバー犯罪は個人と機関などを制裁リストに上げる既存の制裁方式の死角地帯と呼ばれる。実際に米ブロックチェーン分析業者のチェイナリシスは今年発生した暗号資産奪取事件の６０％ほどが北朝鮮と関連したハッカーの仕業であると推定する。北朝鮮がこの５年間にこうして盗み出した暗号資産の規模は１６億ドルに達するとみられる。

問題は制裁網を避けて奪取した莫大な資金が核兵器開発資金に流れている点だ。ニューバーガー米国家安全保障担当副補佐官（サイバー・先端技術担当）はこれと関連し、７月に「北朝鮮がサイバー活動によりミサイル開発に必要な財源の最大３分の１を充当している」と明らかにしている。

韓国もやはり暗号資産を北朝鮮の核心資金源と認識して米国との共助を強化している。

外交部は１４日、北朝鮮の個人１５人と１６機関を独自制裁対象に追加で指定し、「韓米は北朝鮮の多様なハッカー組織と関係者に対するサイバー分野の制裁を深く検討している。８月に北朝鮮のサイバー脅威対応関連ワーキンググループを開き、彼らを追跡・防止するさまざまな創意的方策を話し合った」と明らかにした。

韓国政府は特に北朝鮮が暗号資産奪取だけでなく韓国の基幹通信網をダウンさせるなどのサイバーテロをより露骨に行う可能性にも注目している。外交界ではすでに「北朝鮮が伝統的な意味の軍事挑発とともにこれからは露骨にコンピュータネットワークをダウンさせた後に金品を要求するランサムウェアなどによるサイバーテロを露骨に敢行する可能性がある」という観測が出ている。

実際に北朝鮮は１５日の板橋（パンギョ）データセンター火災による「カカオ大乱」に乗じて「サービス障害復旧と緊急措置案内」という題名のフィッシングメールを送るなどハッキングを試みた事例が確認されている。大統領室も今回の事態を契機に国家安保室に「サイバー安保タスクフォース」を構成したが、ここでも北朝鮮のサイバーテロ対応が取り扱われる可能性が大きい。

イーストセキュリティのセキュリティ対応センター長を務めるムン・ジョンヒョン氏は「北朝鮮のサイバー脅威を座視する場合、国家安全保障が深刻な水準に陥る状況。政府も国力次元でサイバー能力強化に心血を注いでいるので北朝鮮のサイバー脅威に積極的に対応するだろう」と話した。