現実では3種類の案が適切に組み合わされる。これまでの政府の対応もそうだったし、今後もそうするだろう。ドル高の傾向に逆らわないで(ウォン安容認)、大規模ドル売りに出た先週15~16日のように必要な時は市場に介入した。
来月基準金利を決めなくてはならない韓国銀行金融通貨委員会の悩みが深まった。これまで李昌ヨン(イ・チャンヨン)韓国銀行総裁のフォワードガイダンス(金利政策方向事前提示)は0.25%の引き上げだった。だが米国をはじめとする各国が緊縮強度を高めているだけに0.5%引き上げの見通しの可能性が大きくなる雰囲気だ。
◇0.25%引き上げ時は世論の不満耐えなくては
0.25%引き上げ案はひとまず0.25%上げて今後さらに大幅の金利引き上げを予告する方式と予想される。通貨政策余力を節約できるのが長所だが、ウォン安に積極的に対応することを望む世論と政界の不満に耐えなければならない。
反対に0.5%引き上げ案は高物価とドル高に苦しむ世論の支持を受けることができ、韓国銀行内部でも同調が多そうだ。成長優先の政府に振り回されてきた過去の韓国銀行の痛い思い出のせいで韓国銀行内部ではタカ派的(緊縮)選択を好む傾向がある。
だが今回0.5%引き上げれば年末にもまた0.5%上げることになる可能性が大きい。下半期に月別で経常収支赤字がふくらんだり中国の経済封鎖と不動産市場沈滞で人民元安が続く心配が多いからだ。国際金融市場ではウォンを人民元の代理通貨とみている。人民元が揺れればウォンも不安だ。
米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)は12日、各国中央銀行が「調整されていない」利上げに出たせいで世界経済が歴史的な沈滞危機に陥ったと分析した。金利を決めて他の中央銀行と相談しろという話ではない。他国の中央銀行の決定が自国経済に及ぼす影響をよく判断しろという意味だ。米国など先進国の緊縮は世界経済沈滞を加速化するもので、貿易国の韓国も打撃を受けるだろう。これをともに考慮してこそ物価を抑えてウォンの急変動を防ぎ景気にもあまり衝撃を与えない適切な利上げ水準を探すことができる。
◇0.5%引き上げ時は来年の景気に負担
韓国銀行は最近修正経済見通しで来年の経済成長率を2.1%とみた。だが「プラスを記録するだけでも善戦」(金容範元企画財政部第1次官)という憂鬱な分析まで出てきた状態だ。経済が良くなく企業の業績が悪化すれば海外に抜け出る外国人資金が増える恐れがある。
来月の金融通貨委員会がどちらを選択するかはわからない。米国が1%上げれば大きな悩みなく0.5%引き上げでついて行くだろう。問題は0.75%引き上げだが、世論の雰囲気で見ると0.25%引き上げる側が李総裁としてはむしろ厳しい選択になりかねないとみる。「この際韓国銀行がちょっと立ち上がれ」という世論と韓国銀行内部を説得しなければならないリーダーシップを見せなければならないためだ。
蛇足をひとつ。ウォンの価値が落ち外国為替市場が不安になるたびに米国と通貨スワップを締結しようという主張が出てくる。近く行われる韓米首脳会談で必ず成功させろという注文まである。だが韓米通貨スワップは万病に効く薬でない。2008年の韓米通貨スワップ締結直後にはウォンの価値が大きく上がったが、20日ほどで元の水準に戻った。米国が通貨スワップをする時はさまざまな国と同時にする。2008年と2020年もそうした。2国間会談で議論する問題でないという話だ。米国は韓国の「通貨スワップへの情熱」をよく理解できていない。ドル流動性に問題があるのでもないのになぜ通貨スワップの話を頻繁にするのかいぶかしがるという。逆説的に韓国にドルが不足するような本当の危機がくれば通貨スワップは稲妻のようにくるだろう。
脈絡のない通貨スワップ締結主張でむなしくなる代わりに外国為替市場安定に向け自分たちができることから探してやらなければならない。最も急がれるのが電気料金の現実化だ。上半期の貿易収支減少の75%である210億ドルが昨年上半期より60%以上上がった原油価格のせいだった。電気料金負担能力がある大量電力消費処から段階的に料金を上げれば貿易収支とウォン相場防衛に役立つだろう。ドル高の時代を韓国経済の悪習を直す「非正常の正常化」の契機にすれば良い。
ソ・ギョンホ/論説委員
【コラム】韓国経済の悪習正す「非正常の正常化」でドル高乗り越えよう(1)
来月基準金利を決めなくてはならない韓国銀行金融通貨委員会の悩みが深まった。これまで李昌ヨン(イ・チャンヨン)韓国銀行総裁のフォワードガイダンス(金利政策方向事前提示)は0.25%の引き上げだった。だが米国をはじめとする各国が緊縮強度を高めているだけに0.5%引き上げの見通しの可能性が大きくなる雰囲気だ。
◇0.25%引き上げ時は世論の不満耐えなくては
0.25%引き上げ案はひとまず0.25%上げて今後さらに大幅の金利引き上げを予告する方式と予想される。通貨政策余力を節約できるのが長所だが、ウォン安に積極的に対応することを望む世論と政界の不満に耐えなければならない。
反対に0.5%引き上げ案は高物価とドル高に苦しむ世論の支持を受けることができ、韓国銀行内部でも同調が多そうだ。成長優先の政府に振り回されてきた過去の韓国銀行の痛い思い出のせいで韓国銀行内部ではタカ派的(緊縮)選択を好む傾向がある。
だが今回0.5%引き上げれば年末にもまた0.5%上げることになる可能性が大きい。下半期に月別で経常収支赤字がふくらんだり中国の経済封鎖と不動産市場沈滞で人民元安が続く心配が多いからだ。国際金融市場ではウォンを人民元の代理通貨とみている。人民元が揺れればウォンも不安だ。
米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)は12日、各国中央銀行が「調整されていない」利上げに出たせいで世界経済が歴史的な沈滞危機に陥ったと分析した。金利を決めて他の中央銀行と相談しろという話ではない。他国の中央銀行の決定が自国経済に及ぼす影響をよく判断しろという意味だ。米国など先進国の緊縮は世界経済沈滞を加速化するもので、貿易国の韓国も打撃を受けるだろう。これをともに考慮してこそ物価を抑えてウォンの急変動を防ぎ景気にもあまり衝撃を与えない適切な利上げ水準を探すことができる。
◇0.5%引き上げ時は来年の景気に負担
韓国銀行は最近修正経済見通しで来年の経済成長率を2.1%とみた。だが「プラスを記録するだけでも善戦」(金容範元企画財政部第1次官)という憂鬱な分析まで出てきた状態だ。経済が良くなく企業の業績が悪化すれば海外に抜け出る外国人資金が増える恐れがある。
来月の金融通貨委員会がどちらを選択するかはわからない。米国が1%上げれば大きな悩みなく0.5%引き上げでついて行くだろう。問題は0.75%引き上げだが、世論の雰囲気で見ると0.25%引き上げる側が李総裁としてはむしろ厳しい選択になりかねないとみる。「この際韓国銀行がちょっと立ち上がれ」という世論と韓国銀行内部を説得しなければならないリーダーシップを見せなければならないためだ。
蛇足をひとつ。ウォンの価値が落ち外国為替市場が不安になるたびに米国と通貨スワップを締結しようという主張が出てくる。近く行われる韓米首脳会談で必ず成功させろという注文まである。だが韓米通貨スワップは万病に効く薬でない。2008年の韓米通貨スワップ締結直後にはウォンの価値が大きく上がったが、20日ほどで元の水準に戻った。米国が通貨スワップをする時はさまざまな国と同時にする。2008年と2020年もそうした。2国間会談で議論する問題でないという話だ。米国は韓国の「通貨スワップへの情熱」をよく理解できていない。ドル流動性に問題があるのでもないのになぜ通貨スワップの話を頻繁にするのかいぶかしがるという。逆説的に韓国にドルが不足するような本当の危機がくれば通貨スワップは稲妻のようにくるだろう。
脈絡のない通貨スワップ締結主張でむなしくなる代わりに外国為替市場安定に向け自分たちができることから探してやらなければならない。最も急がれるのが電気料金の現実化だ。上半期の貿易収支減少の75%である210億ドルが昨年上半期より60%以上上がった原油価格のせいだった。電気料金負担能力がある大量電力消費処から段階的に料金を上げれば貿易収支とウォン相場防衛に役立つだろう。ドル高の時代を韓国経済の悪習を直す「非正常の正常化」の契機にすれば良い。
ソ・ギョンホ/論説委員
【コラム】韓国経済の悪習正す「非正常の正常化」でドル高乗り越えよう(1)
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