12日午前に訪れたソウル冠岳区(クァナクク)の半地下のA君の家。冷蔵庫とシューズラックは泥だらけになって倒れていて、床は泥でぬるぬるしていた。A君は自分で購入した家財道具が使用できなくなり、使えそうなものは水にぬれた服と靴だけと話した。記録的な豪雨となった8日、A君の住居が無防備のまま「水爆弾」を浴びた後だった。A君は満18歳を過ぎてて児童養護施設を出た。韓国土地住宅公社(LH)の支援を受けて保証金7500万ウォンのうち100万ウォン(約10万円)だけを出せばよいここに1カ月前から暮らし始めたが、このようなことになるとは想像もしていなかった。A君は「復旧すればまた家に入るが、またこのようなことが起こらないか心配」とし「別のところに移りたいが、今は難しい」と語った。
最近の半地下住宅惨事のため、目をそらしていた不都合な問題が水面上に浮上した。半地下住宅をなくそうという雰囲気が形成されている。今回の事件をきっかけに住居貧困という枠組みで幅広く脆弱層を見直すべきだという声が出ている。特に19歳以下の青少年は家で過ごす時間が長く、住居環境の影響を複合的に受けるだけに、こうした世帯をまず支援する対策が急がれると、専門家らは提言する。
韓国都市研究所は▼地下・屋上▼防水・面積などが住居基本法で定める最低住居基準に満たない▼畜舎・ビニールハウス・コンテナなど住宅以外のところに住む世帯を「住居貧困」状態にあるとみる。このようなところで子どもと共に暮らす家庭は全国で約57万世帯(2015年統計庁人口住宅総調査)にのぼる。住居貧困児童世帯は減ってはいるが、昨年、地方自治体と都市研究所が共同で出したソウル・京畿道(キョンギド)地域の児童世帯の実態調査によると、依然としてソウルに12万6058世帯(全体児童世帯の15%)、京畿道に10万1657世帯(6.9%)ある。
都市研究所のチェ・ウンヨン所長は報告書「最低住居基準に満たない児童世帯の実態と政策提言」(2019)で「住居環境が劣悪なところに居住する世帯は、温かく寝て、温かい水でシャワーをするなど、基本的な欲求を解決するのが難しい」と「リラックスして横になれる住居空間で休むことができず、悪条件からの防御に多くの時間を使う」と指摘した。最低住居基準では8歳以上の異性の子どもの相互分離を原則としているが、子どもの分離はもちろん、父と娘、母と息子を分離できない世帯も多い。
京畿道のある畜舎の隣に建てられた仮設の住宅で、中高校生の息子2人、妻と10年近くに暮らしているB氏もそうだ。B氏は「サンドイッチパネルの家なので基本的に断熱がなく、寒さと暑さに弱い」とし「家の中の空間を仕切って分離したが、扉がない形態であり、思春期の子どもには多くの不便がある」と話した。
18日午後に訪れた小学生C君のビニールハウスの家は、あたかも農地の上に建てられているようだった。C君は京畿道南部のあるビニールハウス村に暮らしている。4年前に親が離婚した後、70代の祖母と一緒にここで暮らすことになった。集中豪雨から10日ほどが過ぎたが、家の前は泥だらけで歩けないほどだった。扉は針金の曲げて作った掛け金で閉めていて、風が吹けばガタガタと音を立てる。夏は暑いため扉は開けっ放しにしている。扉を開けるとすぐに台所空間だ。床がなく、濡れた土がそのまま露出している。壁にはあちこちにカビが生えていた。台所から一段上がると部屋がある。木板で段を高め、スチロフォームと工事現場で使われる養生布、分厚い油紙を敷いて暮らす。ここで祖母と食事をし、寝て、宿題もする。C君の祖母は「夏と冬を過ごすのが地獄のようだ」と話す。C君は夏にエアコンがある地域の児童センターなどを転々としながら過ごしている。
C君は「火事が一番怖い」という。数年前のこの村で火事が発生し、高校生を含む多くの死亡者が出たからだ。今回の豪雨では他の家と違って雨漏りしなかったのがよかったと語った。蚊やゴキブリにはいつも苦しめられるという。最近は新型コロナのため遠隔授業があったが、特に苦労した。C君は「家にインターネットがないので学校のコンピューター室に行った」とし「他の友達はみんな自宅で授業を受けていた」と話した。
緑の傘子ども財団ソウル地域本部のリュ・サンヒ擁護事業チーム課長は「家は児童の健康、安全と直結するところ」とし「劣悪な住居環境は浸水など安全の問題だけでなく、児童の健康な成長に障害となる。住居権はもちろん健康権、教育権、遊ぶ権利、私生活権などを侵害し、児童の全般的な生活に大きな影響を与える」と述べた。
耳にゴキブリが入った…「住居貧困」児童たちの涙=韓国(2)
最近の半地下住宅惨事のため、目をそらしていた不都合な問題が水面上に浮上した。半地下住宅をなくそうという雰囲気が形成されている。今回の事件をきっかけに住居貧困という枠組みで幅広く脆弱層を見直すべきだという声が出ている。特に19歳以下の青少年は家で過ごす時間が長く、住居環境の影響を複合的に受けるだけに、こうした世帯をまず支援する対策が急がれると、専門家らは提言する。
韓国都市研究所は▼地下・屋上▼防水・面積などが住居基本法で定める最低住居基準に満たない▼畜舎・ビニールハウス・コンテナなど住宅以外のところに住む世帯を「住居貧困」状態にあるとみる。このようなところで子どもと共に暮らす家庭は全国で約57万世帯(2015年統計庁人口住宅総調査)にのぼる。住居貧困児童世帯は減ってはいるが、昨年、地方自治体と都市研究所が共同で出したソウル・京畿道(キョンギド)地域の児童世帯の実態調査によると、依然としてソウルに12万6058世帯(全体児童世帯の15%)、京畿道に10万1657世帯(6.9%)ある。
都市研究所のチェ・ウンヨン所長は報告書「最低住居基準に満たない児童世帯の実態と政策提言」(2019)で「住居環境が劣悪なところに居住する世帯は、温かく寝て、温かい水でシャワーをするなど、基本的な欲求を解決するのが難しい」と「リラックスして横になれる住居空間で休むことができず、悪条件からの防御に多くの時間を使う」と指摘した。最低住居基準では8歳以上の異性の子どもの相互分離を原則としているが、子どもの分離はもちろん、父と娘、母と息子を分離できない世帯も多い。
京畿道のある畜舎の隣に建てられた仮設の住宅で、中高校生の息子2人、妻と10年近くに暮らしているB氏もそうだ。B氏は「サンドイッチパネルの家なので基本的に断熱がなく、寒さと暑さに弱い」とし「家の中の空間を仕切って分離したが、扉がない形態であり、思春期の子どもには多くの不便がある」と話した。
18日午後に訪れた小学生C君のビニールハウスの家は、あたかも農地の上に建てられているようだった。C君は京畿道南部のあるビニールハウス村に暮らしている。4年前に親が離婚した後、70代の祖母と一緒にここで暮らすことになった。集中豪雨から10日ほどが過ぎたが、家の前は泥だらけで歩けないほどだった。扉は針金の曲げて作った掛け金で閉めていて、風が吹けばガタガタと音を立てる。夏は暑いため扉は開けっ放しにしている。扉を開けるとすぐに台所空間だ。床がなく、濡れた土がそのまま露出している。壁にはあちこちにカビが生えていた。台所から一段上がると部屋がある。木板で段を高め、スチロフォームと工事現場で使われる養生布、分厚い油紙を敷いて暮らす。ここで祖母と食事をし、寝て、宿題もする。C君の祖母は「夏と冬を過ごすのが地獄のようだ」と話す。C君は夏にエアコンがある地域の児童センターなどを転々としながら過ごしている。
C君は「火事が一番怖い」という。数年前のこの村で火事が発生し、高校生を含む多くの死亡者が出たからだ。今回の豪雨では他の家と違って雨漏りしなかったのがよかったと語った。蚊やゴキブリにはいつも苦しめられるという。最近は新型コロナのため遠隔授業があったが、特に苦労した。C君は「家にインターネットがないので学校のコンピューター室に行った」とし「他の友達はみんな自宅で授業を受けていた」と話した。
緑の傘子ども財団ソウル地域本部のリュ・サンヒ擁護事業チーム課長は「家は児童の健康、安全と直結するところ」とし「劣悪な住居環境は浸水など安全の問題だけでなく、児童の健康な成長に障害となる。住居権はもちろん健康権、教育権、遊ぶ権利、私生活権などを侵害し、児童の全般的な生活に大きな影響を与える」と述べた。
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