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<Mr.ミリタリー>「ソウルを守るためにNYを犠牲にできるのか」 韓半島版ドゴールの疑心(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
「パリを守るためにニューヨークを犠牲にする覚悟があるのか」。ドゴール仏大統領が1961年、ジョン・F・ケネディ米大統領に会った時に話した言葉だ。当時、米国はソ連の核攻撃を核の傘で阻止するとしてフランスの核開発を引き止めていた。しかしドゴール大統領は核開発をした後、NATO(北大西洋条約機構)を脱退した。米国の核の傘を疑ったからだ。

韓半島(朝鮮半島)が核の時代に入っている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は8-10日の労働党全員会議拡大会議で「自衛権は国権守護問題」とし「正面勝負」を明らかにした。これに先立ち4月の閲兵式(軍事パレード)では核兵器の先制的使用に言及した。核戦略を防御から攻勢的に変えた。

これに対し尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は先月21日、バイデン米大統領との首脳会談で「核対応」を声明に明示した。米国の核の傘が含まれた拡大抑止力で北朝鮮の核の脅威を抑止する「核には核」戦略だ。尹大統領は先月25日、北朝鮮がミサイルを発射すれば拡大抑止力の実質的な措置を取るよう指示した。


◆北朝鮮の戦術核攻撃は防御が難しい

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の13日の発表によると、北朝鮮は20個の核弾頭を保有し、45-55個の核弾頭を作ることができる核物質を保有していると推定される。北朝鮮は核弾頭を搭載する弾道ミサイルの開発にも注力している。今年だけで大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む弾道ミサイルを18回も発射した。ICBMは米国を狙う。

北朝鮮が近く7回目の核実験を終えれば、重量200キロ以内の戦術核弾頭も製作する可能性があるという。こうした小型核弾頭を今年も数回発射した北朝鮮版イスカンデルM(KN-23)ミサイルに搭載すれば防御は事実上不可能だ。新型短距離弾道ミサイルKN-23は射程距離が600キロで、韓半島全体が射程圏に入るが、不規則な動きのため迎撃が難しい。北朝鮮は遠からず100個以上の多様な核弾頭を確保すると予想される。核弾頭が短距離弾道ミサイルのほか、米国を脅かすICBMとSLBM(潜水艦用ミサイル)にも搭載される。

北朝鮮の目標は、1次核攻撃を終えた後に韓米連合軍の報復を受けても2次核攻撃ができる能力の確保だ。誰も北朝鮮に触れられないようにすることだ。問題は、北朝鮮が核戦争力を他の核保有国とは違って攻撃用として使用する可能性があるという点だ。その対象は韓国と米国、日本だ。

◆元駐韓米国代理大使「北朝鮮の核は朝鮮半島統一用」

北朝鮮の核問題に長く関与してきたエバンズ・リビア元駐韓米国代理大使は5月19日、韓米協会セミナーで「北朝鮮の核は(金正恩)政権維持でなく朝鮮半島統一用だ」と述べた。リビア氏は「もう北朝鮮の非核化はほぼ不可能」とし「核を保有した北朝鮮に対処すべき時だ」と述べた。リビア氏は韓国の選択権は2つのうち1つだと語った。北朝鮮の核に屈服するか、北朝鮮が核兵器を使用すれば必ず破滅するという点を見せる正面突破だ。

北核の対応で真っ先に思いつくのが韓国の核武装だ。シカゴ国際問題協議会(CCGA)が2月に韓国国民1500人を対象にした世論調査では、71%が核武装を支持したことが明らかになった。北朝鮮までが核で武装する中、米国も韓国の核武装を悩む時だという主張もあるが、今は選択が容易でないカードだ。核武装には大きな損失が伴い、強い覚悟が必要だ。それでも最後のオプションとしては残さなければならない。

韓国が核武装をしなければ米国の核兵器を利用するしかない。米国が提供するという拡大抑止力だ。核の傘、ミサイル防衛システム、指揮統制システムなどで構成されている。米国防総省が定義する拡大抑止は「(敵が)結果に対する恐れから行動をとれないよう予防すること」だ。ところが北朝鮮がより大きな損害を覚悟して核の挑発をする場合、米国がためらえば拡大抑止は失敗する。ウクライナ戦争は通常兵器による戦争だが、戦争抑止に失敗した事例だ。


<Mr.ミリタリー>「ソウルを守るためにNYを犠牲にできるのか」 韓半島版ドゴールの疑心(2)

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