韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が7日、新政府の初代金融監督院長に李卜鉉(イ・ボクヒョン)元検事を任命した。共に民主党の「検捜完剥」(検察捜査権完全剥奪)立法に反発して辞表を出した李氏は、5月18日に免職処理されてから3週ぶりに金融監督機構の首長になった。検察出身の金融監督院長は1999年の金融監督院設立以降初めてとなる。
そうでなくとも「検察共和国」という批判が激しいうえ、李氏本人も拒否したというが、尹大統領があえて任命を強行した理由は何か。この日、出勤する際、検察出身者が要職を占めているという批判をどう考えるかという記者の質問に対し「我々の人事原則は適材適所に有能な人物を起用すること」と答えた。大統領室の関係者も「検察在職当時、大型の経済犯罪捜査で経済正義を実現し、遵法経営環境をつくった適任者」と説明した。大統領室はソウル大経済学科を出て公認会計士の資格を取得した後、司法試験に合格した履歴も強調した。
法曹界の内外では李氏について「金融・租税犯罪捜査で頭角を現した」と評価する。しかし一般的な見方は「尹錫悦師団の最年少」というものだ。1972年生まれで2000年に司法試験に合格した李氏が尹大統領と初めて縁を結んだのは2006年。当時、最高検察庁中央捜査部第1課長としてヒョンデ(現代自動車)秘密資金事件とローンスター外換銀行不正売却事件を捜査中だった尹大統領の捜査チームに群山(クンサン)支庁所属だった李氏が合流した。李氏の「鋭い捜査」に注目した尹大統領はその後、2013年の国家情報院書き込み事件、2016年の朴槿恵(パク・クネ)政権国政壟断事件捜査にも李氏を呼んだ。
「ボス気質」の尹大統領と仕事をした李氏は大統領選後の4月、「検捜完剥」に消極的だった当時の検察首脳部に向けて「砂の中に頭を埋めるダチョウのように消えてしまった方々を組織を率いる先輩として迎えているのが恥ずかしい」と公開批判し、辞意を明らかにした。
その李氏の金融監督院長任命をついて、与党の一部では「捜査局面の序幕」という見方もある。金融界の事情に詳しい国民の力議員によると、昨年の大統領選挙の国民の力党内選挙の序盤、大庄洞(デジャンドン)不正開発事件の報告を受けた尹大統領は「この件だけでも30人は拘束されるべき」と話したという。にもかかわらず金融監督機構や捜査機関がまともに反応しないのをみて問題意識が高まったということだ。この議員は「大庄洞だけでなくM&A(企業の合併・買収)を口実にしたマネーゲームなど今の金融市場は非常に混乱しているというのが尹大統領の判断」とし「これを正すことができる『外科医師』が必要だというレベルで李元検事を金融監督院長に座らせた」と伝えた。
問題は尹錫悦政権の要職に検察出身者があまりにも多いという点だ。ある目的を達成するための効率が高い一方で、他の意見が黙殺される可能性もあるからだ。牽制と均衡という民主政治の基本原理が作動しにくくなるという憂慮もある。いくつか敏感な情報をキャッチした金融監督院が検察に捜査を依頼すれば、速戦即決で犯罪を明らかにすることが可能である半面、その速さは周辺を眺める機会を奪ったりもする。政府部処の業務処理には、効率性ほど相互間の牽制や均衡が重要な場合が多いという点で特に懸念される。
金融監督院だけではない。新政権の最初の公正取引委員長に挙がっている姜修真(カン・スジン)高麗大ロースクール教授も検事出身であり、過去に尹大統領と同じ支庁に通勤したという縁がある。
人事領域で検察出身者の過度な抜てきはすでに遡上に載せられている。推薦と検証を検事や検察出身者が担当する構造だからだ。大統領室人事企画官の卜斗奎(ボク・ドゥギュ)元最高検察庁事務局長、人事秘書官の李元模(イ・ウォンモ)元検事ラインを通じて主要職務に対する人選を推薦すれば、自他共に認める「尹の男」韓東勲(ハン・ドンフン)法務部長官が頂点にいる法務部の人事情報管理団で検証する。人事検証作業を最終的に確認し、大統領室の職員をはじめとする行政府公務員の紀綱を指揮する公職紀綱秘書官もイ・シウォン元検事だ。さらに民情首席秘書官の役割を受け継いだ法律秘書官も朱晋佑(チュ・ジンウ)元検事で、総務秘書官(ユン・ジェスン元最高検察庁運営支援課長)と付属室長(カン・ウィグ元検察総長秘書官)も検察の家族だった。
金融監督院長まで…尹政権の要職に多数の検察出身者(2)
そうでなくとも「検察共和国」という批判が激しいうえ、李氏本人も拒否したというが、尹大統領があえて任命を強行した理由は何か。この日、出勤する際、検察出身者が要職を占めているという批判をどう考えるかという記者の質問に対し「我々の人事原則は適材適所に有能な人物を起用すること」と答えた。大統領室の関係者も「検察在職当時、大型の経済犯罪捜査で経済正義を実現し、遵法経営環境をつくった適任者」と説明した。大統領室はソウル大経済学科を出て公認会計士の資格を取得した後、司法試験に合格した履歴も強調した。
法曹界の内外では李氏について「金融・租税犯罪捜査で頭角を現した」と評価する。しかし一般的な見方は「尹錫悦師団の最年少」というものだ。1972年生まれで2000年に司法試験に合格した李氏が尹大統領と初めて縁を結んだのは2006年。当時、最高検察庁中央捜査部第1課長としてヒョンデ(現代自動車)秘密資金事件とローンスター外換銀行不正売却事件を捜査中だった尹大統領の捜査チームに群山(クンサン)支庁所属だった李氏が合流した。李氏の「鋭い捜査」に注目した尹大統領はその後、2013年の国家情報院書き込み事件、2016年の朴槿恵(パク・クネ)政権国政壟断事件捜査にも李氏を呼んだ。
「ボス気質」の尹大統領と仕事をした李氏は大統領選後の4月、「検捜完剥」に消極的だった当時の検察首脳部に向けて「砂の中に頭を埋めるダチョウのように消えてしまった方々を組織を率いる先輩として迎えているのが恥ずかしい」と公開批判し、辞意を明らかにした。
その李氏の金融監督院長任命をついて、与党の一部では「捜査局面の序幕」という見方もある。金融界の事情に詳しい国民の力議員によると、昨年の大統領選挙の国民の力党内選挙の序盤、大庄洞(デジャンドン)不正開発事件の報告を受けた尹大統領は「この件だけでも30人は拘束されるべき」と話したという。にもかかわらず金融監督機構や捜査機関がまともに反応しないのをみて問題意識が高まったということだ。この議員は「大庄洞だけでなくM&A(企業の合併・買収)を口実にしたマネーゲームなど今の金融市場は非常に混乱しているというのが尹大統領の判断」とし「これを正すことができる『外科医師』が必要だというレベルで李元検事を金融監督院長に座らせた」と伝えた。
問題は尹錫悦政権の要職に検察出身者があまりにも多いという点だ。ある目的を達成するための効率が高い一方で、他の意見が黙殺される可能性もあるからだ。牽制と均衡という民主政治の基本原理が作動しにくくなるという憂慮もある。いくつか敏感な情報をキャッチした金融監督院が検察に捜査を依頼すれば、速戦即決で犯罪を明らかにすることが可能である半面、その速さは周辺を眺める機会を奪ったりもする。政府部処の業務処理には、効率性ほど相互間の牽制や均衡が重要な場合が多いという点で特に懸念される。
金融監督院だけではない。新政権の最初の公正取引委員長に挙がっている姜修真(カン・スジン)高麗大ロースクール教授も検事出身であり、過去に尹大統領と同じ支庁に通勤したという縁がある。
人事領域で検察出身者の過度な抜てきはすでに遡上に載せられている。推薦と検証を検事や検察出身者が担当する構造だからだ。大統領室人事企画官の卜斗奎(ボク・ドゥギュ)元最高検察庁事務局長、人事秘書官の李元模(イ・ウォンモ)元検事ラインを通じて主要職務に対する人選を推薦すれば、自他共に認める「尹の男」韓東勲(ハン・ドンフン)法務部長官が頂点にいる法務部の人事情報管理団で検証する。人事検証作業を最終的に確認し、大統領室の職員をはじめとする行政府公務員の紀綱を指揮する公職紀綱秘書官もイ・シウォン元検事だ。さらに民情首席秘書官の役割を受け継いだ法律秘書官も朱晋佑(チュ・ジンウ)元検事で、総務秘書官(ユン・ジェスン元最高検察庁運営支援課長)と付属室長(カン・ウィグ元検察総長秘書官)も検察の家族だった。
金融監督院長まで…尹政権の要職に多数の検察出身者(2)
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