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【コラム】退任する文在寅大統領の最後の責務(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
紀元前5世紀、古代ローマの伝説的な将軍キンキナトゥスが歩んだ道を選択したのだ。キンキナトゥスは強力な外敵の侵入でローマが危機を迎えると、6カ月任期の独裁官に任命された。国を救った後、任期が5カ月間ほど残っていたが、すぐに農夫に戻った。古代ローマの英雄カイザル、英清教徒革命の主役クロムウェルは自ら絶対権力になって共和政を倒した。しかしワシントンは18世紀のキンキナトゥスとなり、未熟な新生アメリカ合衆国を民主共和国に生まれ変わらせた。「反軍の首魁」ワシントンと戦った英国王ジョージ3世も「彼は世の中で最も偉大な人間」として頭を下げた。

ワシントンは1798年、万人の熱望によってやむを得ず初代大統領に就任した。2期目の任期が始まる前には望まず「死刑場に連れて行かれる犯罪者」とまで表現した。終身大統領になってほしいという勧誘を受けたが、任期終了6カ月前に辞任のあいさつ(Farewell Address)をし、自ら独裁者になる可能性を遮断した。2期目を終えて帰郷して農場主になった時、同じ時代の欧州の風雲児ナポレオンは「子孫は彼を偉大な帝国の創設者として崇拝しながら語るだろう。その時、私の名前は革命の渦の中で忘れられるはずだ」と予言した。

ワシントンは国王にも終身大統領にもなれたが、農夫となって公生涯を終えた。法も先例もなかった時代、超人的な節制で「2選後退任」という不文律で健康な米国大統領制の神話を創造した。終身執権を目指した韓国の独裁者大統領、5年間国家を分裂させて任期末に次期大統領と不和を見せる文大統領とは違った。


文大統領の任期は残り1週間だ。道は遠く日は暮れた黄昏の瞬間を迎えた。無限の責任を担った彼を苦しめた不眠の夜も、もう次期大統領のものだ。文大統領は「退任後に忘れられた生活を送りたい」と語った。それが本心なら、もう自分のものではない熱望すべてを手放して、政治と関係のない凡夫の日常に早く帰還することを望む。曲折が多い韓国の大統領制をそれなりに一歩前進させる道だ。

李夏慶(イ・ハギョン)/主筆/副社長


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