文在寅(ムン・ジェイン)政権の5年がついに暮れようとしている。9日午後6時を前後して文大統領が青瓦台を離れれば「前大統領」の身分になる。10日0時から尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領時代が開かれる。世論調査基準で50%以上が政権交代を待ち望んだというからそんな国民の目に5年は一刻如三秋という言葉のように時間が遅く流れただろう。
これに対し5年ぶりに政権を失った政治陣営の喪失感は言い表すのが難しそうだ。「(文政権の)政策が根を張るためには再執権が重要だ。政策が根を張るには少なくとも10~20年かかる」。2018年8月の退任記者会見で「20年執権論」を力説した当時の李海チャン(イ・ヘチャン)民主党代表はいまどんな悔恨と感傷にひたっているのか気がかりだ。
1987年の直接選挙制復活後、右派と左派の10年周期政権交代説が今回初めて壊れた。朴智元(パク・チウォン)国家情報院長は金大中(キム・デジュン)政権時代に「権不十年」(10年維持できる権力はない)を「政権を取れば少なくとも10年は維持できる」と独特に解釈したが、今度はどんな創意的な解釈を出すのか期待される。
「私はリングに上がったことがない」と強弁したが、おそらく文大統領はだれより大統領選挙敗北を痛く受け止めないだろうかと思う。国政を広報してきたKTVと青瓦台(チョンワデ、大統領府)が共同制作した4部作ドキュメンタリー「文在寅政権5年の記録、だれも揺さぶることはできない国」を見ると、政権再創出失敗後の文大統領のやりにくさといらだちが読み取れた。JTBCの番組「対談-文在寅の5年」まで十分に活用して文大統領は前例がないほど強い語調で自身の治績を激情的に吐露したが、自画自賛を超え牽強付会が多かった。
自慢だけあふれて反省が抜けているのでむなしかった。対談を見て到底うなずくことはできない文大統領の一方的主張に驚いた。疎通が上手だったという文大統領のごり押しだった。だが記者会見回数などを比較すると過去の不通政権と特に変わらない「不通大統領」だったという批判は避け難い。政治的に不利な問題が起きれば裏に隠れることに汲々とした。それでもいまになって突然に疎通を上手にした大統領だとして賛美一色にした。疎通不足の責任を新型コロナウイルスのせいにした部分が圧巻だった。
だが文大統領退任が差し迫ったいまも解けない疑問がたくさん残っている。半分の真実だけ入れた御用史草でなく正確な真実に向けた「歴史の反論」次元で最後にいくつかの質問を記録として残す。
最初に、文大統領は本当に貧しい庶民のために働いたか。政策ミスで不動産価格が急騰し無住宅者と借家人が苦痛を受けたのに「韓国の不動産価格上昇は一番小さい方だ」としながら低金利のせいにした。さらにコロナと必死に資金をかき集めて投資をしたためという弁解を並べたが、どんな国民がこうした主張に共感するだろうか。
2番目、文大統領は本当に国と青年の未来に向けた解決法を悩んだのか。時代錯誤的な所得主導成長論に執着して最低賃金を急激に引き上げて自営業者が廃業し青年アルバイト生が仕事を失った。5年間に公務員13万人を増やして税金負担を増やし、年金改革は話も出さなかった。
3番目に、文大統領は本当に「人権弁護士」を自任できるのか。科学より政治を前面に出したせいで昨年11月の「ウィズコロナ」と大統領選挙前後の「ウィズオミクロン」政策の誤判断で多くの国民が犠牲になった。北朝鮮に殺害された海洋水産部公務員の息子とした約束も最終的に背を向けた。国民の暮らしの責任を負うと言ったのに、人が先だとしていた人権弁護士の面貌は見られなかった。
4番目、文大統領は本当に金正恩(キム・ジョンウン)委員長の非核化の意志を信じたのか。 本当に信じたとすれば純真で無責任だ。5年間に見た目だけ良い平和論に陥って虚しく歳月を過ごす間に北朝鮮は韓国側の同胞に向かって核先制使用の可能性をはばかることなく口にする。深刻な安保危機を招いた。対北朝鮮ビラ禁止法を作って北朝鮮同胞の知る権利を封じ込め、脱北者は裏切り者扱いされた。
最後に、文大統領は本当に自由民主主義大韓民国を愛したか。国民が体感する自由と民主主義が5年間停滞したり後退したという指摘にどのように釈明するのか気になる。
去りゆく大統領に「これまで本当に苦労をたくさんされた」と快く拍手を送ることができない気持ちは複雑だ。文大統領は「退任すれば忘れられたい」という話を数回した。退任後の暮らしについて「行ったことのないところに夫婦一緒に行ってみて、おいしいものも食べながらただ淡々と暮らしたい」という希望を表明した。そんな素朴な望みがかなうことを祈る。前大統領が現実の政界に連累して召喚される悲劇が再びないことを望む。
チャン・セジョン/論説委員
これに対し5年ぶりに政権を失った政治陣営の喪失感は言い表すのが難しそうだ。「(文政権の)政策が根を張るためには再執権が重要だ。政策が根を張るには少なくとも10~20年かかる」。2018年8月の退任記者会見で「20年執権論」を力説した当時の李海チャン(イ・ヘチャン)民主党代表はいまどんな悔恨と感傷にひたっているのか気がかりだ。
1987年の直接選挙制復活後、右派と左派の10年周期政権交代説が今回初めて壊れた。朴智元(パク・チウォン)国家情報院長は金大中(キム・デジュン)政権時代に「権不十年」(10年維持できる権力はない)を「政権を取れば少なくとも10年は維持できる」と独特に解釈したが、今度はどんな創意的な解釈を出すのか期待される。
「私はリングに上がったことがない」と強弁したが、おそらく文大統領はだれより大統領選挙敗北を痛く受け止めないだろうかと思う。国政を広報してきたKTVと青瓦台(チョンワデ、大統領府)が共同制作した4部作ドキュメンタリー「文在寅政権5年の記録、だれも揺さぶることはできない国」を見ると、政権再創出失敗後の文大統領のやりにくさといらだちが読み取れた。JTBCの番組「対談-文在寅の5年」まで十分に活用して文大統領は前例がないほど強い語調で自身の治績を激情的に吐露したが、自画自賛を超え牽強付会が多かった。
自慢だけあふれて反省が抜けているのでむなしかった。対談を見て到底うなずくことはできない文大統領の一方的主張に驚いた。疎通が上手だったという文大統領のごり押しだった。だが記者会見回数などを比較すると過去の不通政権と特に変わらない「不通大統領」だったという批判は避け難い。政治的に不利な問題が起きれば裏に隠れることに汲々とした。それでもいまになって突然に疎通を上手にした大統領だとして賛美一色にした。疎通不足の責任を新型コロナウイルスのせいにした部分が圧巻だった。
だが文大統領退任が差し迫ったいまも解けない疑問がたくさん残っている。半分の真実だけ入れた御用史草でなく正確な真実に向けた「歴史の反論」次元で最後にいくつかの質問を記録として残す。
最初に、文大統領は本当に貧しい庶民のために働いたか。政策ミスで不動産価格が急騰し無住宅者と借家人が苦痛を受けたのに「韓国の不動産価格上昇は一番小さい方だ」としながら低金利のせいにした。さらにコロナと必死に資金をかき集めて投資をしたためという弁解を並べたが、どんな国民がこうした主張に共感するだろうか。
2番目、文大統領は本当に国と青年の未来に向けた解決法を悩んだのか。時代錯誤的な所得主導成長論に執着して最低賃金を急激に引き上げて自営業者が廃業し青年アルバイト生が仕事を失った。5年間に公務員13万人を増やして税金負担を増やし、年金改革は話も出さなかった。
3番目に、文大統領は本当に「人権弁護士」を自任できるのか。科学より政治を前面に出したせいで昨年11月の「ウィズコロナ」と大統領選挙前後の「ウィズオミクロン」政策の誤判断で多くの国民が犠牲になった。北朝鮮に殺害された海洋水産部公務員の息子とした約束も最終的に背を向けた。国民の暮らしの責任を負うと言ったのに、人が先だとしていた人権弁護士の面貌は見られなかった。
4番目、文大統領は本当に金正恩(キム・ジョンウン)委員長の非核化の意志を信じたのか。 本当に信じたとすれば純真で無責任だ。5年間に見た目だけ良い平和論に陥って虚しく歳月を過ごす間に北朝鮮は韓国側の同胞に向かって核先制使用の可能性をはばかることなく口にする。深刻な安保危機を招いた。対北朝鮮ビラ禁止法を作って北朝鮮同胞の知る権利を封じ込め、脱北者は裏切り者扱いされた。
最後に、文大統領は本当に自由民主主義大韓民国を愛したか。国民が体感する自由と民主主義が5年間停滞したり後退したという指摘にどのように釈明するのか気になる。
去りゆく大統領に「これまで本当に苦労をたくさんされた」と快く拍手を送ることができない気持ちは複雑だ。文大統領は「退任すれば忘れられたい」という話を数回した。退任後の暮らしについて「行ったことのないところに夫婦一緒に行ってみて、おいしいものも食べながらただ淡々と暮らしたい」という希望を表明した。そんな素朴な望みがかなうことを祈る。前大統領が現実の政界に連累して召喚される悲劇が再びないことを望む。
チャン・セジョン/論説委員
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