灰色のサイは問題を引き起こすと予想はされても見逃がちな危険要因を意味する。韓国経済官僚は、昨年末から米国の利上げなどを「灰色のサイ」と挙げてきた。ペク・ジョンヒョン記者
米国の緊縮などで韓国経済が危機に直面する可能性があるという警告は昨年末から政府当局者の口から出ていた。洪副首相は昨年9月30日マクロ経済金融会議で「『灰色のサイ』のような危険要因を確実で先制的に除去しよう」と話した。灰色のサイとは、予想はできても人々が見逃しがちな危険要因を意味する。
当時、洪副首相が挙げた危険要因は以下のようだ。▼家計負債▼米国の緊縮基調転換▼国際石油価格・原材料価格の上昇にともなうインフレーション▼グローバル供給のボトルネック解消の遅延--などだ。ロシアのウクライナ侵攻を除いては最近韓国経済危機論に火をつけている要素と全く同じだ。
問題は、灰色のサイが目の前に近づくまで家計負債を引き締めること以外にこれといった対策を出すことができなかったという点だ。インフレーションを懸念したが補正予算など金融緩和は続き、手遅れ対応で尿素水大乱など供給のボトルネック現状のツケが回ってきた。
灰色のサイを蔑ろにする傾向は最近まで続いた。大統領選挙期間には候補ごとに金融緩和を約束し、選挙が終わった後には青瓦台(チョンワデ、大統領府)移転や大宇(テウ)造船海洋の地上げ屋論争などに時間を割いた。新旧権力の葛藤で新しい韓国銀行総裁の人事が遅れ、金融通貨委員会は初めて総裁なしで開かれることになった。
まだ与党・共に民主党は「検察捜査権の完全剥奪」だけを前面に出している。「尋常でない物価高など市民の暮らしを政権交代期局面でも支えるべき国会が極端の対決によって『動物国会』になるのではないか懸念される」(正義党のチャン・テス報道官)という指摘が出るしかない。
憤ったサイは遭遇しないのが最善だ。すでにサイが突進したなら方法は一つだけだ。灰色のサイの概念を初めて使った米国の政策アナリストのミシェル・ウッカー氏の言葉を引用すれば、「本来の席に身動きもせず立っているとダメだ」。最近引継ぎ委員会は物価との戦争を宣言した。新政府の機敏で正しい対応を望むばかりだ。
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