金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長
単純な思考では地政学的複合性時代に生き残れない。非核化の第一歩を踏み出す前から「平和の春」を歌った民族的感傷主義者、金正恩は核を下ろして経済を選んだという純真な読心術士は政策から手を切らなければいけない。金正恩は絶対に核を放棄しないという単純な現実主義者も同じだ。独裁者の権力を崩す要因は外部より内部から始まるケースが多い。絶対独裁者のタブーは「絶対」という言葉がある。権力維持を除いたすべてのものは相対的だ。必要に応じて交換することができるという意味だ。非核化を国際関係の枠組みの中に入れて解釈すれば政策の空間を探すことができない。
何より単純な思考の最大の捕虜は金正恩だ。核だけでは権力を維持できない。アラブの春の出発点になったチュニジアでもデモの導火線は経済問題だった。ウクライナ事態の根因も、ソ連解体後に核を放棄したためでなく経済の失敗と腐敗のためだった。金正恩が核に執着するほど経済が厳しくなり、むしろ権力の維持を害する。別の見方をすれば、金正恩が鳥かごに自らを入れた。鳥かごの中で見る世の中が全部だと考える彼の狭い視野が北朝鮮を亡ぼしている。よく見えないまま飛ぼうとする鳥は墜落する。
キム・ビョンヨン/ソウル大国家未来戦略院長
【中央時評】金正恩を閉じ込めていた鳥かごが開いた(1)
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