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一日にロシア戦闘機6台撃墜…ウクライナを守る「キエフの幽霊」の実体

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

2019年4月、ウクライナ国防省は「フランス産ヘルメットの性能をテスト中」というコメントを載せた。ポロシェンコ元大統領が「キエフの幽霊」と紹介した人物の写真と同じだ。 [ツイッター]

英雄は乱世が呼ぶ。ロシア軍の軍靴に領土を蹂りんされるウクライナの国民にも英雄が必要だった。「キエフの幽霊(ghost of kyiv)」はそのように誕生した。

実体さえも明確でないミグ29機1機が、ロシアに抵抗するウクライナ人の士気を高めている。開戦初日の24日(現地時間)、ミグ29機の操縦士が6機のロシア軍用航空機を撃墜したという内容がオンライン上で広まった。キエフ上空で撮影されたというミグ機の映像があり「キエフの幽霊」と呼ばれている。




祖国を守ろうとするウクライナの国民に「キエフの幽霊」はまさに守護霊だ。こうした念願を込めたのか、英雄ストーリーはさらに膨らんだ。計10機のロシア軍用航空機を撃墜したという内容た。ウクライナ国防省は27日(現地時間)、「キエフの幽霊」として知られるミグ29機の操縦士がロシア軍用航空機計10機を撃墜したという内容のツイートを、特にコメントも付けずリツイートした。

本当に21世紀のエース(空中戦で5機以上の敵機を撃墜した操縦士)の出現だろうか。まだ「キエフの幽霊」が実存するかどうかは確認されていない。

実際、噂をさらに拡大したのはウクライナのポロシェンコ元大統領だった。26日、ツイッターにウクライナの操縦士の写真を載せ、「写真のミグ29機の操縦士は『キエフの幽霊』と同じ人物」とし「彼はロシアの操縦士を相手に6回勝利した」とコメントした。そして「敵には恐怖を、ウクライナ人には自負心を誘発する」とし「こうした強い人物と共にウクライナは勝利する」と書いた。ウクライナを応援する各国のインターネットユーザーは「ウクライナの元大統領が『キエフの幽霊』の存在を確認した」として喜んだ。

しかしこの操縦士の姿は、ウクライナ国防省が2019年4月に公開した写真の1枚だったという事実が明らかになった。とはいえ「キエフの幽霊」が完全な虚構という証拠ではない。ウクライナ国防省は25日、「転役した機長から将軍まで、数十人の熟練パイロットが空軍に復帰している」とし「キエフ人がよく見るミグ29機の空中アベンジャーズは彼らの中の一人であるはず」と明らかにした。

25日は「キエフの幽霊」の噂が広まり始めた時だった。その後、ウクライナ国防省は「キエフの幽霊」には直接言及せず、関連コメントをリツイートしている。軍レベルで大衆の関心を引きながらも、「キエフの幽霊」が実存人物なのか、1人なのかなどの疑問点はクエスチョンマークで残している。

軍事専門家はこれを一種の心理戦と見ている。21世紀軍事研究所のリュ・ソンヨプ情報分析官および専門研究委員は「多くの操縦士が領空を守っているという事実を一人の人物で表現した認知戦の一種と見ている」と述べた。「ウクライナは開戦前から国民に情報を流して状況を詳しく知らせ、『キエフの幽霊』を含む多くの英雄物語を作り出しながら国民に希望を与えている」と話しながらだ。

峨山政策研究院のヤン・ウク外交安保センター副研究委員も「戦闘機の塗装が同じであるため、機体だけ見て誰であるかは識別できない」とし「敵軍に恐怖感を植え付けるための心理戦の一環」と評価した。続いて「ウクライナ空軍でミグ29は主力機種の一つ」とし「持続的に表れるミグ29機の操縦士を一人の人物として象徴化したとみられる」と話した。

このような戦術を併用しながらウクライナ空軍は粘り強く対抗している。ウクライナ国防省によると、ウクライナ軍は26日までロシア軍用航空機46機、ヘリコプター26機を撃墜した。

リュ委員は「ウクライナ空軍と防空網がよく持ちこたえている」とし「ロシア空軍側に被害が発生しているのは事実」と述べた。ヤン委員は「ウクライナの善戦かもしれず、ロシア空軍力の失敗かもしれない」とし「意外にもロシアの空地合同(地上軍と空軍が合同で敵を攻撃する方式)がうまくいっていない」と伝えた。



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