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【コラム】韓国の青年、北京五輪になぜ怒るのか…愛国心より「自分にも被害」という不安

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

7日午後、中国北京首都体育館で開かれたショートトラック男子1000メートル準決勝で黄大憲(右から2番目)が中国選手との接触を避けている。黄大憲はこの過程でペナルティが与えられて失格になった。キム・ギョンロク記者

「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義および平和の基礎」。

1948年12月に国連総会で採択された「世界人権宣言」の最初の部分だ。人類が第2次世界大戦中の野蛮な犯罪を反省するために作成した文書で、個人の自由と権利を叙述している。今回の北京冬季オリンピック(五輪)ショートトラック種目で浮上した「不公正判定」論争を世界人権宣言の精神と結びつけるのは大げさなのだろうか。そうではない。

今回の不公正判定論争で韓国国民、特に人権感受性が高い20・30代が怒りを表しているのは愛国心のためだけではない。韓国の選手だけでなく同等な資格の各国選手が不公正判定の被害を受けることに納得できないのだ。その根底には、今の時代に重視されている公正が守られないことに対する怒りがある。


これは権利の普遍性に直結する。世界人権宣言のほとんどの条項で主語は「すべての人は」となっている。人間として誰もが当然有する権利、このような基本的権利の普遍性を確立することが世界人権宣言の目標であるからだ。

北京五輪で私たちが目撃したのは、同等な資格を持つ選手の一部の普遍的権利が侵害される場面だった。ある選手は手も触れていないのに失格となり、ある選手は両手を使って押してもいかなる不利益も受けなかった。

誤審も競技の一部とはいえ、繰り返される誤審は意図的な権利の侵害として映るしかない。同じ規則の下で競争する選手の一部に公正でない結果を強要するのは「すべての人は法の下において平等」という世界人権宣言第7条の精神に反するのと変わらない。

誰もが有する普遍的権利、人権が重要な理由はここにある。普遍的権利が守られない場合、誰であっても被害者になり得るからだ。

少し角度を変えてみよう。五輪という祭典の裏面にある普遍的な権利侵害だ。米国の主導で進められた「外交的ボイコット」(選手団だけが参加し、政府代表団は派遣しない)の原因になった新疆ウイグル族人権弾圧問題だ。

中国政府は否定するが、合理的な疑いは絶えない。中国が再教育施設と主張する収容所では性暴力をはじめ拷問が行われていると、国際人権団体アムネスティなどは証言に基づいて指摘する。殴打と電気衝撃、苦痛な姿勢の維持、睡眠剥奪などが報告されている。ウイグル族の出生率と人口密度を低めるための不妊手術と堕胎を強要したという主張もあった。

米国が外交的ボイコットを決定しながらウイグル族に対する人権弾圧を「反人道犯罪」と規定したのもこのためだ。韓国の外交的ボイコット不参加決定が残念なのは、不参加それ自体のためではない。中国国内の人権問題に対してまともに公式的な立場も出せなかったからだ。

鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官は政府が中国人権問題に公開的な立場表明を自制する理由について「韓中間の特殊関係に照らして、わが政府は中国の内部問題に対する具体的な言及をずっと自制してきた」(昨年5月の会見)と述べた。普遍的価値である人権問題に対して堂々と「特殊関係」を理由に挙げた。

普遍性の破壊が与える恐怖は、自分にも起こり得るという点にある。中国で見られる人権侵害の被害者が韓国人になり得るということだ。とても距離が遠い、あきれるような話なのだろうか。そうではない。

昨年9月に太永浩(テ・ヨンホ)国民の力議員が外交部から受けた資料によると、中国国内に収監されている韓国人から「刑務官が電機棒を両足に使って意識を失った」などの深刻な証言があった。これに対する中国側の立場は「規定が受刑者に対する電気こん棒の使用を認めている」というものだった。普遍的権利の保護に対する恣意的な解釈の結果だ。

北京五輪の不公正判定論争に対する怒りはすぐに冷めていくだろう。しかし忘れてはいけないのは、こうした普遍的権利を守らなければならない理由、こうした普遍的権利が守られなければ誰にでも恐ろしいことが起こり得るという点だ。

ユ・ジヘ/記者



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